コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: A quirk of fate〜運命の悪戯、君に届けたい〜 ( No.8 )
- 日時: 2015/05/19 17:48
- 名前: 音宮 ◆93nWkRSozk (ID: laaGvqHD)
5day
おいおい……、何着付けされちまってんだよー、私!!
バカバカ……、なんで許可してんだよー、なにオッケー出してんだよ。
『ありえないんですけど!!』
くわっと目を見開いて叫ぶ。すると、ドレスの着付けをしていたメイドさんたちが肩をふるわせて驚いた。
実はあのあと、バカな私は神様否、ショウ様の申し出をオッケーしてしまい、私は婚約者候補となってしまったのです。
まぁ……、候補だからぁ?
別に……、ね?
ね?じゃねーよ、ヤバいんだってこれが。
一か月後に何十人といるショウ様の婚約候補者と私が、舞踏会でダンスやショウ様との相性などの100項目を競い合って、その中の一番となった方がもちろん、ショウ様の婚約者となるわけで。
「しかも……」
これの一番にならないと、私、死刑なんだって……。
え!?って感じだよね?
理由は、……私はもう王族をサードネームで呼んでしまっている。
ショウ様の策略だとは知らずに……、くそっ。
イイ人だなと思っていた私がバカだった。
ショウ様曰く、
『あなたに一目ぼれしたんです。でも……、あなたを手に入れるにはこうするしかないので』
はぁ!?だからと言ってこんなやり方は卑怯だぜ、坊ちゃんよぉ……。
あなたがショウと呼べというから私は素直に従ってやったんじゃないか。
ああ、私の純粋な心を返せ……、バカショウ、バカバカ。
「はぁ……」
というわけで私は着付けをされているのでした。
- Re: A quirk of fate〜運命の悪戯、君に届けたい〜 ( No.9 )
- 日時: 2015/05/30 15:27
- 名前: ・ス・ス・ス{ ◆93nWkRSozk (ID: laaGvqHD)
5day—in the afternoon—
「こちらが麗様の先生、フデリック=ハースター様です」
いかつい顔で現れた男、そうこの男こそ、私の先生。
通称フレッド。私がつけましたよ、この通称名。
だって呼びにくいんだもんッ。
「更科麗です、よろしくお願いします、先生」
にこっとどこかの令嬢のようにふるまう。
ま、どうよ、この演技力。どんな伯爵だろうが、どんな婦人だろうが、ごまかせちゃうんだからねー、ふっふふんー。
「よろしくお願いします、麗様」
先生は、金髪でやはり外国人の象徴碧瞳を持っている。
身長は180㎝以上と断定でき、いかにも紳士っぽいのだが、眉を寄せているせいでいかつい顔に見られてしまう。
残念な先生だ、ホント。
聞いてみると、やはり独身だそうで、今は奥さんを募集中だそう。
だろうな、その顔だよ、やっぱり。眉間にしわをよせなければかっこいいのにと私も思ったほどだ。
「では、授業を始めますか」
その言葉と共に私の悲劇の学習時間は始まった。
先生は鬼そのものだった。まさに、地獄の真ん中に立っておられる閻魔さまのように。
私が、一つ間違えると、私のお楽しみ……否、ショウ様の写真が切り刻まれ、夕食も一つずつおかずが減っていく。
「く……ッ」
なぜ、ここまで先生は……するんだろうと思うほど、厳しかった。
てゆうか、歩き方の練習ってなんすか?
歩き方に正解なんてあるんでしょうか、先生。
「ほら……そこッ、もっと右に歩け、バカ」
こんな感じです。紳士的なあの態度はいずこにいったのでしょう。
馬鹿だとか、おたんこなすだとか、ものすごい勢いでののしられ、私の心はズタズタになるとともに、身体的な意味でもかなりの疲れ。
正直、きつくて投げ出したい。
たかが、目の保養としてなりたっていたショウ様にご結婚を申込みされただけで、私はこんなにも苦労をしなければならない否、ショウ様にご結婚を申込みされた……ショウ様だから。
ショウ様は綺麗で、可愛くて、紳士で、なんでも完璧な男。
非の打ち所がない、結婚にも完璧で優良物件。だけれども、その地位は次期国王。だからみんなの手の届かない人でそんな人に私は好かれている。
それってかなりの幸せだと思われるんだと思うんだ、はたから見たらね。
でも、私はただ、目の保養の存在で良かったんだよ、ショウ様は。
私の器には収まらない、手に負えない男なんて夫にしても楽しくない。
「もう……いや」
私は……、やっと終わった授業を思い出しながらベットで泣いたんだ。