コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: Rain ( No.10 )
- 日時: 2015/12/03 19:31
- 名前: 逢逶 (ID: Ft4.l7ID)
- 参照: http://0ja.jp/song/A2003090302.html
episode9
title ココロチラリ
あなたの心が見えません。
いつも隣にいるのに。
「私のこと好き?」
「今はどうでもよくね?」
いつも答えてくれない。
それはきっと私のことなんて好きじゃないからだ。
高校二年生、春。
私からの告白。
あなたは良いよ、と呟いたけど…正直、彼女が欲しかっただけなんだろう、と思う。
一年経ってもあなたは一度も好きだと言わない。
今だってあなたの家に来ているのに、甘い雰囲気どころか私のことを一切見ずに、テレビを見ている。
「…好きです。私は、あなたが。…でも、もう別れよう」
家を飛び出した。
「ちょ…、待て!」
遊ぶのに丁度いい女がいなくなってあなたは困る?
また次に行けば良いじゃない。
私はもう辛いの。
誰もいない広場で涙を流した。
「…おい!」
「なんで、来てるの…?」
私のことなんて見てないくせに。
学校でだって一言も話してくれないくせに。
登下校も一緒にさせてくれないくせに。
…どうして、そんな辛そうな顔するの?
「…別れるってなんだよ」
「だって…」
涙が溢れて視界がぼやける。
何か温かいものに包まれた。
私は彼に抱きしめられていた。
「俺…別れる気ねぇし」
「私のことなんて見てないじゃん…」
「お前が好きだ」
初めて。
初めて好きと言ってくれた。
嬉しくて嬉しくて。
「…私だって好きだバカ!」
「俺の方がずっと前から好きだ!」
「でも言ってくれなかったじゃん!」
「ごめん」
「…今更、なんなの!」
「ごめん。俺…、中学生の時からお前のこと好きだ」
初めて。
初めて聞く事実。
「でもほとんど話したことなかったじゃん」
「ほとんど無かったけど、ちょっと話したことあるじゃん」
「うん」
「話した時に…、好きになって。ずっとずっとお前のこと目で追って。お前見つけると嬉しくて。でも告白なんてできなくて、高校でお前から告白してくれて死ぬほど嬉しかった。…ごめん、好きすぎてなんて伝えたら良いかわかんなかった」
「…嬉しいから許す」
「めっちゃ好き。…これからもずっと…、一生離してやらねぇから」
「私だって、離れる気ないし」
大好きなあなたに別れを告げた日が、最高の日になるなんて思わなかった。
それはあなたが私に伝えてくれた気持ちが、とても大きくてずっしりと重くて…そして暖かかったから。
こんなに世界が綺麗に見えるのは、あなたが隣にいて好きだと囁いてくれるから。
私たちの心が再び離れそうになっても、きっとお互いに心を見せ合って、永遠を誓う。
心がチラリと顔を覗けば私たちはまた、大きな幸せを掴むのだろう。