コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

Re: Rain ( No.4 )
日時: 2015/12/03 20:47
名前: 逢逶 (ID: Ft4.l7ID)
参照: http://0ja.jp/song/A2007050201.html

episode3
title We can make it!

今日は彼と付き合って一年の大事な大事な記念日。

なのに…、家に帰ってこない。
知ってるよ…、私が本命じゃないことぐらい。

知ってるよ…、違う女と会ってることぐらい。

最近はめっきり会えなくなった彼。
電話で会いたい、って言っても断れれてた。
もう終わりだってことはわかってる。
だけど好きなんだよ…。

「…好きなんだよ」

一人部屋で呟いた。
なんだか虚しくなってベッドに寝転がった。
寒い季節。温めてくれるのが彼であってほしかった。
私の心は凍えていて。

「会いたいよ…」

彼に届くことのない言葉は、部屋にさみしくこだました。

いっそ、誰か温めて?
涙で視界が滲んで、今晩は眠れそうにないことを悟った。

起き上がって冷蔵庫からプリンを取り出した。
彼の大好物。意外な可愛い一面を知ってからは、いつも冷蔵庫には彼のためのプリンがあった。
それを自分で食べる日が来るなんて、もう終わりだなぁ。

ピーンポーン

インターフォンが響いた。
この時間に誰だろう…。

食べかけのプリンをテーブルに置いて、ドアを開けた。

「一年記念日。遅れてごめん」

「…な、んで?」

花束を持った彼がいた。
あまりに突然のことに思わず涙がこぼれた。
さっきも泣いたのに。

「…泣くなよ」

抱きしめられて、彼の胸に顔をうずめ泣いた。

「…ごめんなぁ、最近会えなくて」

「他に…、彼女いたんでしょ…?」

抱き続けた疑問を投げかけた。

「…中で話そっか?」

答えてくれない彼。
靴を脱いで、家にあがった。

コーヒーを淹れて、彼の前のテーブルに置いた。

「ありがと」

彼は私の食べかけのプリンを悲しそうな瞳で見つめていた。
私は彼の向かい側に座って、次の言葉を待つ。
…でも、中々口を開こうとしない。

「…なんか言ってよ」

「うん。…俺が何したと思ってる?」

「…他に、いるでしょ?」

「どうしてそう思う?」

「…最近会ってくれないし、携帯に〝伊織さん〟って人から着信あったの見ちゃったんだ」

携帯をチェックしてたわけではない。
…この間、私の家に来て彼が風呂に入っていると時、彼の携帯が震えて女の人の名前が表示されて。

「…そっか。ごめん。不安にさせて」

「…」

「ごめん、今日に間に合わせたかったんだ」

彼の意味深な言葉は、私の不安をさらに煽る。

「…どういうこと?」

「俺と結婚してください」

ポケットから出された小さなケース。
それを彼が開けると、中に輝く指輪があった。
…急なプロポーズに目を丸くする。

「…え?」

「…不安にさせてごめん。最近会えなかったのは指輪を頼んでたんだ。伊織さんってジュエリーアーティストに…、プロポーズ用の指輪を作ってもらってた」

無言で指輪を受け取る。
真っ赤なハートの上に彼の大好きなプリンと、私の大好きなかすみ草そして、カラフルな石。
よく見るダイヤの指輪とかじゃなくて…、しっかりと彼の愛が感じられる指輪だった。

「返事は…?」

「もちろんイエス!」

嬉しそうな彼と目を見合わせて笑った。

「好きだよ…」

彼の隣に座って、キスをした。


私のほんの少しの勘違い。




私たちは、すれ違いで…、関係を壊すことができる。

だけど…、
わかりあうことで


今まで以上の幸せを手に入れることができる。


だから…


これからはどんなことでも…

…We can make it!