コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: Rain ( No.6 )
- 日時: 2015/04/16 06:34
- 名前: 逢逶 (ID: 6nOSsJSp)
- 参照: http://0ja.jp/song/A2003070905.html
episode5
title ONLY LOVE
愛はきっと…、疑わないこと。
そんなの幻想。
僕は今までどれだけの女に裏切られてきたことか。
付き合ってはフられて…、軽い女性恐怖症。
只今…、
合コンに来ているけど信用できそうな女はいないからテキトーに相槌をうっている。
俺の向かい側に座っている子はおしとやかそうで、なんとなく安心する。
「…名前教えて?」
その子に尋ねると少し俯いた。
名前教えたくないのかな…?
「…あ、なんかごめんね」
若干その場の空気も盛り下がり、一緒に来ていた奴は俺に気を遣ってビールを差し出した。
いや、別に呑みたくねぇし。
「…ごめん、教えたくないとかじゃなくて」
その子は目をきょろきょろ泳がし、戸惑いがちにそう言った。
「…え、と?」
「あの…、だから…。覚えてないんだなぁ、とか思って…」
どういうことか理解できず、首を傾げた。
周りの目が気になって、移動しよう、と小声で言った。
小さい居酒屋だからゆっくりできる場所があるわけではなく、誰もいないトイレの前で話すことにした。
「…で、どうしたの?」
「…私、千野香澄。覚えてる…?」
覚えてないわけがない…。
千野香澄は、俺が初めて付き合った子。
そして、俺をフった子。
全然気付かなかった。
香澄の雰囲気は付き合ってる頃に比べて大人になった。
「…元気だった?」
そんな言葉しかかけれない。
お互い相手の様子を伺って、踏み込むことが出来ない。
肝心なところには触れない。
「…うん」
「香澄は彼氏とかいるの?」
「いたらこんなところ来てないよ」
ふふっ、と小さく笑った香澄。
この笑顔が好きだったなぁ、なんてちっぽけな青春を思い出す。
ちっぽけでもなんでも色をつけてくれた香澄がいたことは俺の生涯の財産だろう。
…だけど、それを受け入れられるほど簡単にはできていない。
俺がフられたという苦い過去は、青春にどす黒い影を落とした。
「…ねぇ、なんで核心に触れてこないの?」
香澄は涙声で訴えかけるように言った。
「…どうして俺のことフったの?」
恐らく核心とはこのことだろう。
気になって気になって…、でも怖くて聞けなかった最大のクエスチョン。
「…彼氏がモテると大変なんだよ?私が勝手に不安になって二股かけられてるってデマ信じちゃった…、好きだったのに信じられなかった」
「うん、」
「私はずっと好きだった。ごめんね…」
「謝んないで」
「私ね、会えたこと凄い嬉しいんだ」
あ…、
今どうしようもなく胸が高鳴った。
俺はまた人を好きになってしまいそうで怖かった。
多分、これからまた会えば香澄のこと好きになる。
「…俺も嬉しい。また会おう?」
「うん」
もう、とっくに恋に落ちていたのかもしれない。
香澄と恋をしたあの青い春から月日は流れ、また香澄と出逢う。
巡り合わせとは神が起こした最大の奇跡だと思う。
その奇跡を見つけることこそが、俺たち生物の役割で…
愛する人を探し見つける。
とんでもない確率で、出逢えたパートナーは一人だけ。
それが誰だとしても世界にただ一人のONLY LOVEであることに変わりはない。