コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

Re: Rain ( No.8 )
日時: 2015/12/03 19:30
名前: 逢逶 (ID: Ft4.l7ID)
参照: http://0ja.jp/song/A2014102213.html

episode7
title キミの夢を見ていた


もうすぐ眠りそうだったのに、小鳥の声で目を覚ます。

俺はおとぎの世界にでも行ってしまったのだろうか。


ぴぴぴぴっ

現実に引き戻したのは、目覚まし時計。
いつもいつも同じ時間に騒ぎ立てるこいつ。
相当暇だな。


♪♪♪♪♪

今度はなんだよ!
携帯が鳴る。

「もしもし?」

《もしもしじゃないよ!今日は子供達と遊んでくれるって言ったでしょ?!》

「ごめん、すぐ行く」

…元嫁の玲架である。

三年前に別れた。
子供は二人。

玲架とは中学生の頃から付き合って結婚までした。
が、終わりはあっけない。

すれ違いがすれ違いをうんで、最後は互いのことを全然わからなかった。

親権は玲架。
俺は毎週末会いに行く。



電車にゆられること三十分。

玲架と子供達は家の前で待っていた。


子供達が飛びついて来て、俺は小さな頭を撫でる。

こんなに愛しているのに会えるのは週末。
子供達の為に離婚なんてやめときゃ良かったかな。

「久しぶり。…って、先週も会ったか」

玲架は照れ臭そうに微笑んだ。
こんな表情するんだ…。


「中入って」

週一回のこの平屋。
とても慣れない。

自分の生活とはあまりに違いすぎて。

「…どーぞ」

出されたコーヒーを啜る。

「仕事どう?」

「最近は楽しくやってる」

玲架の質問に当たり障りない答えを出すけど、どこかぎこちなくて。

「玲架は?」

「うん、普通?笑」

不覚にも…その表情が可愛らしく見えて。
忘れていた胸の高鳴りが襲う。

「普通ってなんだよ笑」

「だって本当に普通なんだもん笑」

「はは笑」




もし君の夢をこれから毎日見て、会いたくなったとしても…


離婚間際には見られなかった玲架の笑顔と、たまに会った時に思い切り抱きついてくれる子供達がいるから…


近い将来、「ずっと君の夢を見ていた」と言える日が来ると信じてるから…




今はまだこの距離のままでいてもいいかな…。