コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

=青田我子の場合.1= ( No.6 )
日時: 2015/04/23 16:24
名前: 四之神綾芽 (ID: GIxrqpJQ)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel1/index.cgi?mode

最近、転校して来た男子が、美羽ととてもなかがいい。らしい。

「美羽ばっか、だね」
「ああ・・・・・・そうだね」

美羽──彼女は、一番私が認めたくない相手。
何故って?
だって。私よりも頭悪いし、顔だって・・・・・・。

そう。女子は無意識にそうやって人を格付けする。

けど__

「我子ちゃん、ビーカー、とってくれる?」
「ああ・・・・・・いいよ。はい、美羽ちゃん」

それを、顔に出さないのも、女子である。

「本当に、アイツは男誑しだよね」
「ホント、ウザ」

女子は、影で言うのが大好きだ。
男子の悪口の倍はいっていると思う。

「あーあ。マジこのクラス最悪」
「アイツがいるだけでな」
「それな!」

そして、賛同して、友達の輪は、広がる。

当の彼女は気づいているのか、分からない。

「アタシラでなんかしない?」
「えー?例えば?」
「んー・・・・・・あ、便覧とか、ファイルとか、隠す?」

誰かがそう言いだしてしまえば、日ごろの妬みが賛同していく。

「いいね!」
「やろうよ」

クラスに絶対、一人はいる中心核の女子が「やる」といえば、逆らいたくない、一人になりたくない私のような人間は

「さんせー」
「やろう!」

賛同する。

心の中で、危険信号が鳴り響く。
けど、【周りの雰囲気】にのる。
ダメだ、と分かっていながらものる。


これが、始まり。

Re:=青田我子の場合.2= ( No.7 )
日時: 2015/04/26 10:30
名前: SINODA KEIN (ユキ) (ID: GIxrqpJQ)

だが、中心核は手をださない。
ばれたときの為だ。

そしてそういう奴に限って、先生に気に入られている。

世の中、堕ちたと思う。

「ねぇ....みーちゃん達、本気かな」
「どうだろ......流石にしないと思うよ」
「口だけだって」

流される人間は、中心核に利用されるだけ。

「でも、逆らったらウチラに来るじゃん」
「無理無理.....」

仲良くしとけばいじめられない。
従えば一人にはならない。

はあ。
どうしよう。


「郁ちゃん、大丈夫?」
「うん。ありがと、美羽」

「アイツ本当にイラつく」
「マジいなくなれ」

美羽も気づけばいいのに。
いや、気づいているのかも。

みーちゃん達は本当に美羽が嫌いなんだ。
男子と仲がいいから?
先生受けがいいから?

分からないけど。

私は別に......。

Re:=青田我子の場合.3= ( No.8 )
日時: 2015/04/28 20:14
名前: 四之神綾芽 (ID: GIxrqpJQ)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel1/index.cgi?mode

みーちゃん達のように、美羽も悪口をいっている。
・・・・・・まあ、女子だしな。

だけど、どうして男子と仲良く喋ってるんだろう。
どうして・・・・・・?

「北村ー」
「んー?」

どうして・・・・・・どうして。
これが、嫉妬という奴なんだろう。

「ファイル、とってくんね?」
「えー?・・・・・・まあ、いいけどさー」
「ありがとな」

ゴソゴソ、とファイルを探している。

「あ、あった。はい」
「おう、サンキュ」
「じゃ・・・・・・あれ?」

美羽の探す手が止まった。

「どうかしたの、美羽」
「んー?いや・・・・・・」

え・・・・・・もしかして。
私は、一緒に行動している、綾美の顔を見る。

「ファイルが、みつかんなくてさー」
「えー?忘れたんじゃない?」
「あー、そっかあ・・・・・・」

美羽は、納得のいかない顔をしていた。

「ねえ・・・・・・もしかして」
「・・・・・・」

いわなくても分かる。

みーちゃん達の顔を見れば__。

「せんせー、ファイル忘れましたー」
「ああー?珍しいな、北村さん」
「ですよねー」
「バッカじゃねーの!?」
「うっさい!」

男子が茶化し、みーちゃん等は笑っている。
つられて綾美も笑っていたが、私は笑えなかった。

Re: 愛する君へ。僕からの20年分の気持ち 【青田我子の場合】 ( No.9 )
日時: 2015/04/28 21:28
名前: NATU (ID: lwyoqLK1)

こんばんはー! 遊びに来たよん♪
え、待って待って。 参照数が半端じゃない。
私が抜かれてしまうではないか…
よし。頑張ろ。

というわけで((どういうわけだよ  ゆきちゃんも頑張ってね!!

Re:=青田我子の場合.4= ( No.10 )
日時: 2015/04/30 19:08
名前: 四之神綾芽 (ID: GIxrqpJQ)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel1/index.cgi?mode

まさか・・・・・・まさか、本当にするなんて。

どうせ、やらないだろうって思ってたのに・・・・・・。


「これで、アイツ成績下がるだろうね」
「もっとやっちゃう?」
「えー?」

みーちゃんたちは、声を上げて笑った。

「さってとー・・・・・・あ、じつは私さ、水筒を隠そっかなーって思ってさ」
「あ、じゃあ、次それにしよっか」
「じゃあさ、金曜日が良いんじゃない?・・・・・・ね、綾美もそう思うよね?」

みーちゃんの右腕といっても過言ではない、彩夏ちゃんが綾美にいった。

「えっ・・・・・・」

綾美は、たじろいだ。

「ナニ?良いと思わないわけ?」
「どうしたの、綾美?」

みーちゃんと彩夏ちゃんがすこし冷たい声を出した。

「い、いやっ。それで、良いと思うよ」
「そう?だよねぇ」

彩夏ちゃんが、ニッコリ笑った。

私は・・・・・・私は、背筋がゾクリとした。

「じゃあさ、ココに隠そうよ」
「いいや・・・・・・」

みーちゃんたちは、やる気満々。

悪い・・・・・・悪い事だって。
分かってるけど。

「・・・・・・」

私は、何も言えなかった。


 ——————————————— 
|>なつさん           |
|ありがとうございます!     |
|お互い、がんばりましょう♪   |  
|また、お邪魔させていただきます!|
|ご訪問、ありがとうございました!|
 ———————————————

Re:=青田我子の場合.5= ( No.11 )
日時: 2015/06/07 17:47
名前: 四之神綾芽 (ID: GIxrqpJQ)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel1/index.cgi?mode

「綾美・・・・・・」
「何?」
「私、やっぱりこの関係、嫌だ」
「・・・・・・」
「同学年なのに、どうして彼女等の下みたいなの。どうして彼女等の言うことを聞かないといけないの」
「・・・・・・」

綾美は、ずっとだまって、私の目をみていた。

「綾美も思ってるでしょう、本当は。ファイル隠したのだって、みーちゃんたちがやったんだし。しかも、次は水筒でしょ?もう、私、嫌だよ」

嫌だ。
私は、そんなことしたくない。
人の物なんか、隠したくない。

「・・・・・・そう」

綾美は、ゆっくりと、いった。

「我子は逃げるんだね」

私は、息を呑んだ。

「逃げる?私が・・・・・・何から?」
「そうでしょ。我子は、今まで一緒になって、みーちゃんたちと、美羽を笑ってきたのに。ファイル隠したのだって、黙ってた」

綾美が、ものすごく冷たい目をしていた。

「今、逃げれば、美羽に本当のことをいえば、それで済むだろうね。でもね、そんなことをしたら、我子だよ、次は」

ドクン・・・・・・心臓が、なった。

「次は、美羽のように、嫌がらせをうけるのは、我子だよ?・・・・・・私は、親友にそんな風になってほしくない」

私が、嫌がらせの標的になるってこと・・・・・・?

「・・・・・・」
「私は、我子と一緒にいたい。だから、お願いだから、考え直して」

私の決意は・・・・・・もう、やめたいって決意は・・・・・・。

「ね?」

綾美がもう一度、「ね?」と繰り返したときには、私はうなずいていた。

Re:青田我子の場合.6 ( No.12 )
日時: 2015/05/09 19:29
名前: 四之神綾芽 (ID: GIxrqpJQ)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel1/index.cgi?mode

私は、本当に弱いと思う。
綾美と別れて、廊下を歩きながら、思った。

弱いし、卑怯。

でも、怖い。

みーちゃん達に逆らったら、ぜったい仲間はずれにされる。
多分、綾美も離れてしまう。
嫌だ。

「本当に・・・・・・馬鹿だなあ、私」

溜め息を吐いた。

「ねえ、我子ちゃん」
「え?」

私が溜め息を付いた時。
教室に入ろうとしたときに、呼び止められた。

「なに・・・・・・美羽」

一番、喋りたくない相手に。

「ちょっと・・・・・・いいかな」
「ああ、うん」

できるだけ、声が震えないようにきをつけながら、返事をした。

Re:=青田我子の場合.7= ( No.13 )
日時: 2015/05/12 19:45
名前: 四之神綾芽 (ID: GIxrqpJQ)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel1/index.cgi?mode

「辛くないの」

美羽は、そういった。

「え・・・・・・?」
「辛くないの」

もう一度、繰り返した。

「それは・・・・・・どういうこと?」
「我子ちゃんが、辛そうだから」
「・・・・・・」

私が、辛そう。
・・・・・・ああ、そう。辛いよ、今。

「私は、大丈夫だよ。私は・・・・・・」
「辛く、ないんだね」
「うん」
「泣きたく、ないんだね」
「うん」
「悩んで、ないんだね」
「・・・・・・うん」
「そっか」

美羽は、そういって背中を向けた。

彼女の姿が見えなくなるまで、見送った。

「辛くないのか、ね」

誰のせいで、辛いのか。
美羽のせいだ・・・・・・

泣きたくないのか。
泣きたくなんか、ない。

悩んでいるのか。
・・・・・・なやんでいる。
これ以上、私は「いじめ」みたいなこと、したくない。
けど。
私は、一人になりたくない・・・・・・綾美と一緒に、いたい。


ポタ__


(・・・・・・え?)

私は、目元を触った。

(濡れてる)

まさか・・・・・・涙?

(・・・・・・)

私は、黙って目を押さえた。

Re:=青田我子の場合.8= ( No.14 )
日時: 2015/05/16 08:04
名前: 四之神綾芽 (ID: GIxrqpJQ)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel1/index.cgi?mode

「じゃあ、よろしくね、我子」
「う、うん・・・・・・」

したくない、したくないけれど。
仕方ないんだ。

そういいきかせて、そっと手を伸ばした__


「じゃーねー」
「じゃ、また月曜ー」
「郁ちゃん、今日も寄ってく?」
「ああ、一応な」
「じゃ、ついてく」
「うん」

舌打ちが聞こえた。
はっとして振り向くと、みーちゃんだった。

「何アイツ。意味わかんない」
「瑞穂の方が、絶対可愛いのにね」
「『郁ちゃん』って・・・・・・どんな関係だっつーの」

・・・・・・私は、何も言わずに筒を握り締め、美羽をみた。

Re:=青田我子の場合.9= ( No.15 )
日時: 2015/05/17 15:18
名前: 四之神綾芽 (ID: GIxrqpJQ)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel1/index.cgi?mode

「金曜日、あることが起こった__」

月曜、学校に来て、長い朝礼を聞いた後、先生がそう告げた。

「誰だ?水筒を隠したのは。・・・・・・その反応、瑞穂、お前か」

ザワリ、と教室がうごめいた。

私は、手を握った。
汗ばんでいて、気持ちが悪い。
心臓の鼓動も、早い。

「先生、ウチがそんなことするわけないじゃないですか。ね、美羽。私が、アンタの隠すわけないじゃんねー?」
「ああ、うん・・・・・・・そだね」

美羽は、特に興味のなさそうにいった。
その言動に、みーちゃんは少し顔をゆがめた。

「はあ?本気でいってる?あのさ、クラスメートが疑われてるんだよ?もう少し本気で弁解してくれてもいいじゃんか」
「別に・・・・・・私は、水筒を隠された事、気づいてなかったし」
「は」

え。
私も、いったん息を呑んだ。

「気づいて・・・・・・なかった?」
「うん。そうだったんだー、としか。・・・・・・てっきり」

美羽がそういって、みーちゃんの目をみていった。

「ロッカーの上に今日の朝、おいてあったから、私が忘れていったんだと思ったんだよね。隠されてたんだ。そっか、そっか」

みーちゃんは、不思議そうな顔をしている。
私だって、美羽が言いたいことがよく分かっていない。

「あ・・・・・・」

彩夏ちゃんが、声を上げた。

「頭いいね、彩夏ちゃん。まあ、過ぎたことだから、私は何も言わないよ」
「お人よしだな、美羽」
「優しいだろ?ワタシ」

郁磨君と、美羽、それから彩夏ちゃんの間で起こっていることはなんだろう。
私(を含む大半の生徒)は、呆然としながら、
“キーンコーンカーンコーン”
チャイムを聞いていた。

Re:=青田我子の場合.10= ( No.16 )
日時: 2015/05/18 20:43
名前: 四之神綾芽 (ID: GIxrqpJQ)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel1/index.cgi?mode

その日を境に、少しだけみーちゃんの苛立ちがおさまったようだ。

・・・・・・ちなみに。
『アレ』は、バレていない・・・・・・のかもしれない。

綾美は今まで通り、隣にいてくれるし。
みーちゃんたちは、まあ・・・・・・今までどおり。

私は、もう、『アレ』みたいなことしたくないし。
『アレ』のようなこと、指図されることもなくて。



──季節は移り変わって、9月。

学校祭という名の、1つの大きな分岐点が始まる。

Re:=青田我子の場合.11= ( No.17 )
日時: 2015/05/20 20:28
名前: 四之神綾芽 (ID: GIxrqpJQ)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel1/index.cgi?mode

「今から体育祭をはじめます__」

まだまだ、はじまったばかりのくせして、文化部の私は、げっそりしていた。

「あちぃ〜」
「暑いよねー」

美羽が、話しかけてきた。

「うん・・・・・・」
「そういや、我子ちゃん」
「何?」
「分かった?」

分かった?__ああ、アレか。

「ううん」
「最初に聞いとくよ。・・・・・・水筒隠したの、我子ちゃんでしょ」

ドクン・・・・・・心臓が、鳴った。
鼓動が、一気に早くなる。
私は、座っていた椅子から、立った。

「あっ・・・・・・」

急に立ったせいか、はたまたあまり水分をとらなかったせいか。
もしくは・・・・・・彼女の言葉に、血液が回ったからか。

「我子ちゃん!?」

声音のかわった、美羽の声を聞きながら、目の前が真っ暗に鳴るのをぼんやりとみていた__

Re:=青田我子の場合.12= ( No.18 )
日時: 2015/05/21 20:17
名前: 四之神綾芽 (ID: GIxrqpJQ)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel1/index.cgi?mode

「__これで、体育祭を終わります」

・・・・・・結局。私は、体育祭は半分もいられなかった。

「我子、大丈夫?」

綾美と、みーちゃん達が心配してきてくれた。

「うん・・・・・・」

起きたら、保健室だった。
ベットの周りには、みーちゃん達がいてくれた。

正直、すごく嬉しかった。
『アレ』をさせられたけれど。

「我子」
「え?あ、うん?」
「ここに運んでくれたのさ・・・・・・美羽らしいんだよ」
「・・・・・・」

一瞬、私が美羽の水筒を隠したことを言おうか__頭を掠めた。
けど。

「そっか・・・・・・」

言えなかった。
ううん。言わなかった。

「最悪だねえ」
「本当・・・・・・ねえ、我子」
「あ・・・・・・うん」
「美羽に、とか本当に嫌だわ」

あと、変わったことがある。

こうやって、美羽の悪口を聞くと__

「・・・・・・」

悲しくなってくる。

=お知らせ= ( No.19 )
日時: 2015/05/24 19:14
名前: 四之神綾芽 (ID: GIxrqpJQ)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel1/index.cgi?mode

はじめまして、いつもお世話になってます、作者です。

今回は、いったん本編をとめ、遅すぎる参照数100、200越えのお祝いをしたいのです・・・・・・が。

私には、ネタというものが浮かんでこないのです。

なので、明日からは少しの間ですが、郁磨目線で、【金曜日】の話しを書いて行きたいと思います。

これからも、こんなダメ作者の精一杯のモノガタリを、宜しくお願いします。

*20150524.四之神綾芽

Re: 【番外編:郁磨の心境】 ( No.20 )
日時: 2015/05/24 19:18
名前: 四之神綾芽 (ID: GIxrqpJQ)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel1/index.cgi?mode


月曜日になり、学校に登校すると、先生と美羽が話していた。

「__で、__が・・・・・・」
「そうなのか」

美羽は、呆れたような表情をしていた。

「おはよう、美羽」
「あ、おはよ郁ちゃん」

美羽は、すぐに笑顔になった。
後ろの方で、ボソボソ、と声がしたけれど、もう、朴っておこう。

最初の方は、気にしたけれど、美羽は気にしていないようだし、僕も気にしないことにした。

長い朝礼の後、先生がこういった。

「誰だ?水筒を隠したのは。・・・・・・その反応、瑞穂、お前か」

ああ、コレの話か。
僕は、美羽から話しを聞いていたから、とくに驚きもしなかった。
だいだいの予想は、僕も、美羽もついていたからだ。

Re:【番外編:郁磨の心境.2】 ( No.21 )
日時: 2015/05/25 19:34
名前: 四之神綾芽 (ID: GIxrqpJQ)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel1/index.cgi?mode


「先生、ウチがそんなことするわけないじゃないですか。ね、美羽。私が、アンタの隠すわけないじゃんねー?」

瑞穂と呼ばれた少女はわざわざ立ち、美羽に賛同を求めた。

「ああ、うん・・・・・・・そだね」

美羽のあいまいな返事に、彼女はその端正な顔をゆがめた。

「はあ?本気でいってる?あのさ、クラスメートが疑われてるんだよ?もう少し本気で弁解してくれてもいいじゃんか」

__予想通り。

僕と美羽には、1つの小さな作戦があった。


きっと、高山瑞穂は頭に血が上って、口走るはずだ__と。
【仕組んだ】という証拠を。

そして、ビンゴ。

「別に・・・・・・私は、水筒を隠された事、気づいてなかったし」
「は」
「気づいて・・・・・・なかった?」
「うん。そうだったんだー、としか。・・・・・・てっきり」

美羽がそういって、高山の目をみた。

「ロッカーの上に今日の朝、おいてあったから、私が忘れていったんだと思ったんだよね。隠されてたんだ。そっか、そっか」

(あー。ダメだよ、美羽。アイツ、気づいてないよ。)
目で送る。

その横で、斉藤彩夏がはっと息を呑むのが分かった。

「頭いいね、彩夏ちゃん。まあ、過ぎたことだから、私は何も言わないよ」
「お人よしだな、美羽」
「優しいだろ?ワタシ」

斉藤の方が、頭がいい。

さて__貴方にはわかるだろうか。
僕と、美羽の作戦が。

Re:【番外編:郁磨の心境.3】 ( No.22 )
日時: 2015/05/29 19:57
名前: 四之神綾芽 (ID: GIxrqpJQ)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel1/index.cgi?mode

『先生、ウチがそんなことするわけないじゃないですか。ね、美羽。私が、アンタの隠すわけないじゃんねー?』

__誰が、美羽のだといった?

僕は、心の中で、悪態をついていたのを覚えてる。


あの後、美羽に話しかけた。

「美羽」
「あ、郁ちゃん。・・・・・・ビンゴだったね」
「みたいだねー」
「気づいてないっぽいけど」
「しっかし、美羽の演技力は凄いね」
「いやいや。これでも、演劇部ですからっ!」

ああ、楽しい。
病院にいたときだって、楽しかったけど。

こうして、制服をきて、彼女の手助けができて。

・・・・・・嬉しい。

発作とか、薬とか、まだまだだけど。
これからも、このまま、ずっと__





一緒に、いられるよね__?





僕は隣に、いれるよね__?




==================================

FROM:美羽へ
大好き。ありがとう。
僕は、それだけいいたい。

一年の夏。
転校してきたって僕に、いつも通りに接してくれてありがと。
あのとき、僕・・・美羽のタスケになれたよね。
そう思って、いいよね。
いいや、そう思ってやる(笑)
ああ、でも。
その思い出で、1つだけ。
一緒にいられるって、信じてたよ。
いいや、いまでも・・・だな。

==================================

__ああ、いい思い出だ。

                 【番外編:郁磨の心境.end】 

Re:=青田我子の場合.13= ( No.23 )
日時: 2015/05/29 19:57
名前: 四之神綾芽 (ID: GIxrqpJQ)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel1/index.cgi?mode

その後学校に、行くと、綾美がすぐに声をかけてくれた。

「そういや、我子って、美羽に何をきかれてたの?」
「えっ・・・・・・」

私は、一旦迷った。
頭の中を、美羽の真っ直ぐな目と、『最初に聞いとくよ。・・・・・・水筒隠したの、我子ちゃんでしょ』という、確信したような声を思い出した。

「んー・・・・・・忘れた」
「そっかー。遠目でみてたんだけどさ、我子が驚いた表情をしてたから、てっきり『アレ』を聞かれたのかと思ってた」

綾美が笑いながら冗談めかして言った。

「あー・・・・・・違うよ。多分ね。あんまし、覚えてないんだけど」
「我子」

私がそういうと、今までの声音とは違う口調と音程で話してきた。

「歯切れ、悪くない?どうしたの?」
「えっ」

綾美が眉間にしわをよせている。

「・・・・・・ちょっと、頭が痛くてさ」

私は、苦笑交じりに、嘘をついた。

「そう?大丈夫?」

綾美は、心配そうな声をした。

ズキ__

心がいたんだ。

Re:=青田我子の場合.14= ( No.24 )
日時: 2015/05/30 19:17
名前: 四之神綾芽 (ID: GIxrqpJQ)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel1/index.cgi?mode

「最近さ、感じ悪いよね」
「アレがあってからじゃん?もしかして、あっちになったんじゃねーの?」
「はあ?裏切ったってこと?・・・・・・ねえ、綾美、きいてないの?」
「えっ・・・・・・ううん、何にも」

*

最近、綾美が距離を置いている気がする。

なんとなく・・・・・・だけど。

「綾美、理科室い──」
「綾美、いくよ」
「あ、うん」

私が声を掛ける前に、みーちゃん達が声を掛ける。

「綾美、これ手伝ってくれない?」

プリントを配るのも、いつも手伝ってくれてたのに。

「綾美、ちょっときて〜」

見計らったように、彩夏ちゃんや、みーちゃんが声を掛ける。

「うん。・・・・・・ごめん」

『ごめん』のときだけ、トーンが下がってる。

「あ・・・・・・ううん、いいよ」

私は、作り笑いをして、手を振った。

Re:=青田我子の場合.15= ( No.25 )
日時: 2015/05/31 20:19
名前: 四之神綾芽 (ID: GIxrqpJQ)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel1/index.cgi?mode

「あれっ」

気づいたのは、家に帰ってからだった。

「我子?水筒は?」

お母さんが、夕飯の時間になると、声を掛けてくれる。
そのときに、水筒を持っていくのだが__

「学校みたい・・・・・・とってくるね」

私の家から徒歩十分で学校につく。
時刻を見る。

5:30

うちは夕飯が早いので、まだ、ギリギリ間に合うだろう。
門が閉まるのは、6:00のはず。

「いってきます」
「はーい」

私は、家を出た。

Re: =青田我子の場合.16= ( No.26 )
日時: 2015/06/02 19:50
名前: 四之神綾芽 (ID: GIxrqpJQ)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel1/index.cgi?mode

小走りしながら、学校に向かう。
時間が間に合うか少し心配になったのだ。

門はまだ、開いていた。
私は職員室に直行した。

「先生」
「青田さん。どうしたの、こんな時間に」
「水筒を忘れてしまって・・・・・・」
「あら、そうなの?」

若山先生が、鍵を開けてくれた。

「あれっ__」

教室に入り、ロッカーの上をみる。

(・・・・・・何も・・・・・・ない?)

水筒らしきものは、何も無い。
一応ロッカーの中を見たが、何も無い。

「どう?水筒はあった?」
「・・・・・・いえ、無かったです」
「えっ・・・・・・」
「間違えた・・・・・・みたいです」

私は、嫌な予感がした。

Re:=青田我子の場合.17= ( No.27 )
日時: 2015/06/05 19:12
名前: 四之神綾芽 (ID: GIxrqpJQ)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel1/index.cgi?mode

「おはよー、綾美」
「・・・・・・」

月曜日、学校に行くと、綾身が席に座っていた。
いつものように挨拶をしたのに・・・・・・無視された。

「綾美?」
「ちょっとー」

私がもう一度聞く前に、みーちゃんたちがきた。

「『うちらの』綾美に何話し掛けてんのー?」
「図々しくない?裏切ったくせに」
「えっ・・・・・・?」

私は、何がなんだか分からなかった。

「だって、あんた綾美捨てて、美羽のほういったんでしょ?ねえ、綾美」
「・・・・・・うん」
「ちょっとまってよ!?」

何言ってるの!?
頬に汗が伝う。
嫌な予感って・・・・・・。

「ほーら、綾美だってこういってるし」
「綾美!?何いってるの?私は、裏切ってなんか──」
「瑞穂、いこ」

みずほ・・・・・・?
今まで、『みーちゃん』ってよんでたのに。

「じゃあ、そーゆーことだから」
「・・・・・・もう、友達じゃないから。バイバイ」

私はただ、黙って。
綾美の言った言葉の意味も理解できないで。
みーちゃん達と一緒に去る、綾美の後姿を見ることしができなかった。

Re: =青田我子の場合.18= ( No.28 )
日時: 2015/06/08 19:26
名前: 四之神綾芽 (ID: GIxrqpJQ)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel1/index.cgi?mode

「なあ__」

私が、呆然としていると、郁磨訓が話しかけてきた。
一瞬ドキリとした。
(・・・・・・まさか、「アレ」のことを言われるんじゃ・・・・・・。)

「アンタ、無理してるだろ」

ぶっきらぼうに、そういう彼。

「えっ?」
「さっき、高山等と決別『させられた』んだろって」
「・・・・・・」

なんで、この人はこういうことを言うんだろ。

「コラ郁ちゃんッ」

ベシッと、いい音がした。

「なんだよ、美羽」
「ちょ、口調口調・・・・・・まあ、いいや」

後から、美羽がきた。

「ごめんね、我子ちゃん」
「・・・・・・」
「ちょっと、きてくれる」

私は、素直に頷いた。

Re: =青田我子の場合.19= ( No.29 )
日時: 2015/06/10 20:49
名前: 四之神綾芽 (ID: GIxrqpJQ)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel1/index.cgi?mode

「体育祭の時に聞いた事、覚えてる?」
「・・・・・・うん」

郁磨君は、席をはずしてくれたようだ。
そっちの方が、気が楽で、助かる。

「やっぱ、我子ちゃんだったのかぁ」

ふうう、と溜め息を付きながら、そういった。

「・・・・・・」
「じゃあ、ファイルは?アレも、我子ちゃん?」
「それは違う!あれは、みーちゃんたちでッ」
「ああ、やっぱりか。じゃあ、我子ちゃんが水筒隠したのも、瑞穂ちゃん達のせいでしょ」
「・・・・・・」

なんで、分かるんだろう、この子は。
そして、どうしてこんなに真っ直ぐな目で見てくるのだろう。

「そっか。やっぱし嫌われてたかぁ」

どうして、そんなに堂々としていられるんだろう。

「まあ、仕方ないか」

どうして、そんなにはっきりと言えるんだろう。

「じゃあ、ごめんね、時間とらせちゃって。・・・・・・ああ、大丈夫。このことは別に誰にも言わないからさ」

美羽が去っていく。
曲がり角で話しを聞いていたのか、郁磨君がすぐさま喋りかけていた。

そして、ふと気づいた。

(ごめんねって・・・・・・・言いそびれたな)

足元に水がまた、落ちた。

Re:=青田我子の場合.18= ( No.30 )
日時: 2015/06/12 20:38
名前: 四之神綾芽 (ID: GIxrqpJQ)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel1/index.cgi?mode

それから、また、日数だけがたった。

「はーい、じゃあ、勝手にグループ作って──」

社会見学が近づいてくると、体育祭後のグループで行動するようになる。
体育祭前のグループでは、ないとことろが多い。

「瑞穂、一緒の班になろー」
「いーよ、綾」

綾・・・・・・。
私だって、よんだ事、ないのに。

「彩夏と、千紘もよろしく」
「よろー」
「よろしくね」

四人は、そのままグループを作った。

ふと気づいて周りを見ると、皆それぞれグループを作っていた。

(どうしよう・・・・・・・)

私のクラスは不運なことに、奇数。
絶対にだれかが余る。

(男子の中にははいれないし・・・・・・)

その余りは、当然のように私になった。

誰も、声を掛けてくれない。
これも、みーちゃんたちが・・・・・・ううん、違うはず。きっと、違うはず・・・・・・。
私は、自分に言い聞かせながら、泣き出しそうになるのをこらえていた。

(なんで・・・・・・綾美・・・・・・どうして・・・・・・)

Re:=青田我子の場合.19= ( No.31 )
日時: 2015/06/13 19:48
名前: 四之神綾芽 (ID: GIxrqpJQ)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel1/index.cgi?mode

(私は、一人なんだ・・・・・・)

いつも、隣で綾美が笑っていた。
いつも、一緒に笑いあっていた。

けど、もう、いない。

私の隣には、誰も__

ふいに、頭をよぎる言葉があった。

『次は、美羽のように、嫌がらせをうけるのは、我子だよ?・・・・・・私は、親友にそんな風になってほしくない』
『私は、我子と一緒にいたい。だから、お願いだから、考え直して』

(自業自得・・・・・・なのかな)

私は、水筒とか、隠したけど、全部、美羽はしってた。
その上で、私になにもしてこなかった。

私は、別に嫌いじゃなくなってた。
多分、無意識にみーちゃんたち・・・・・・綾美も、避けていたんだと思う。
だから、当然と言えば、当然。

けど・・・・・・

(親友・・・・・・って、こんなのだったっけ・・・・・・)
『私は、我子と一緒にいたい。だから、お願いだから、考え直して』

(一緒にいたい・・・・・・ね。)
もしも、いじめられても、隣にいてくれるのが親友なんじゃないのかな。
もしも、クラス中を敵に回しても、信じてくれるのが、親友じゃないの。

(・・・・・・)

しばらく、そんなことを考えていると、フイに名前を呼ばれた。

「我子ちゃん、もしよかったら、一緒のグル−プになんない?」
「嫌じゃなかったら、なんだけど」
「え?」

話しかけてきたのは、美羽と、美羽の友達、栗山和泉だった。

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Re:=青田我子の場合.20= ( No.32 )
日時: 2015/06/18 06:59
名前: 四之神綾芽 (ID: GIxrqpJQ)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel1/index.cgi?mode

「あ・・・・・・うん、よろしくね」
「こっちこそー」
「よろねー」

チッ__

どこかで、そんな音が聞こえた。
私は、一気に涙がこみ上げてくる。

とっさに、下を向いた。

(誰、誰誰誰誰誰誰誰・・・・・・・・・)

言葉がゲシュタルト崩壊するくらいに、私の頭の中に、『誰』という言葉が浮かぶ。

(もう、嫌だ・・・・・・なんで、なんでっ)

もう、涙がこぼれる。
もう、こらえきれない。
もう・・・・・・

「大丈夫だよ」
「おちついて」

耳元で、優しい声が聞こえた。

「えっ」

驚いて顔を上げると、二人が笑っていた。

「我子ちゃん、早くきめちゃおうか」
「昼食とか、この辺で食べたいなぁ」
「我子ちゃんは、どこで食べたい?」

わざと、ふれないでいてくれているのか。
その優しさに、私は違う涙がこみ上げてきそうになった。

「・・・・・・あり・・・・・・がと」
「え?」
「ありがと・・・・・・う・・・・・・・」
「・・・・・・」

美羽は、それから黙ってしまった。
和泉ちゃんも、つられて、私も一緒に、黙る。

(やっと、言えた。『ありがとう』って・・・・・・)

あとは、あと、六文字の言葉を・・・・・・。

「あのさ、我子ちゃん、今週の土曜日、あいてる?」
「え・・・・・あ、うん」
「じゃあ、その日ウチきてよ。もちろん、和泉も」
「オーケー」
「えっと、でも、家って・・・・・・」
「学校集合でいいよ、ちょっと遠いけど」
「ああ、うん」

私は少しビクビクしながら、答えた。

Re:=青田我子の場合.21= ( No.33 )
日時: 2015/06/18 20:48
名前: 四之神綾芽 (ID: GIxrqpJQ)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel1/index.cgi?mode

「あっつ・・・・・・」

土曜日、晴天。暑い、ともとれるこの日、私は自転車を走らせて、学校へいく。

「あ、我子ちゃん、やっほー」
「やっふーい」

美羽は、灰色のTシャツに、青色のパーカ、ジーパン。
ポニーテールに帽子をかぶってる。
(眼鏡がもっと男子らしかったら、間違えられるんじゃないかな)
そんな事を考えた。

和泉ちゃんは、黒地に蛍光黄色の重ね着タイプに、したも蛍光黄色の短パン。
すらりとのびる足は、モデルみたい。
こちらも、白い帽子をかぶっていた。
彼女は、綺麗な顔立ちをしている。本当に、端麗な。

「急に、本当にごめんね」
「てか、美羽、いっつも急だよねえ、我子ちゃん」
「え、あ・・・・・・う、う──」
「ちょ、我子ちゃん!?」
「・・・・・・ぷっ」

笑ってしまった。

「あはははは」

一度笑うと、押さえきれない。

「あ、笑ったね」
「えっ、あっ・・・・・・」
「いや、悪いんじゃなくてさ、『やっと』、笑ったなあって、ね、和泉」
「うんうん」
「・・・・・・・」

2人が、輝いて見える。
ううん、特に、美羽が。この間から、ずっと__

__まるで、『太陽』のよう__

「じゃ、移動しよっか」
「美羽ん家だよね?」
「そーそ」
「いくよ、我子ちゃん。・・・・・・我子ちゃん?」
「え、あっ・・・・・・わかったよ」

ペダルを漕ぎ出した。

Re:=青田我子の場合.22= ( No.35 )
日時: 2015/06/21 13:05
名前: 四之神綾芽 (ID: GIxrqpJQ)
参照: http://ameblo.jp/sinogamiryouga/entry-12041190995.html

美羽のうちまでは、かなり遠かった。

「歩いていくと、ざっと20分はかかるんだよねえ」
「なのに、歩きだもんね、ドンマーイ」

私の家と大違い。
学校が近いって、やっぱりいいな。

「ついたよ」
「へぇ」

ごく普通の、住宅。
カーポートがあり、車が二台駐車されている。

「さあ、入って。・・・・・・ただいまー、お母さん」
「失礼しますー」
「お、おじゃまします」

靴を脱いで、なかに入る。
きちんと、整理整頓されている。

「あ、そこの階段あがって、左ね。って、和泉ならわかるか」
「おう。何べんきてると思ってる」
「十回以上かな?」

(__いいなあ。)
私は、素直にそう思った。
綾美も、私のうちに、何度もきてた。
和泉ちゃんと美羽は、多分、何が合っても離れないのだろう。
きっと、喧嘩とかしても。
(綾美・・・・・・)
私も、そう思ってたんだけどな。

Re:=青田我子の場合.23= ( No.36 )
日時: 2015/06/21 20:02
名前: 四之神綾芽 (ID: GIxrqpJQ)
参照: http://ameblo.jp/sinogamiryouga/entry-12041190995.html

「そういえば、我子ちゃん」
「何?」

和泉ちゃんが、美羽の部屋でくつろぎはじめる・・・・・・といっても、美羽の部屋には、ベッドもないし、遊べるものもとくにない。
あるのは、勉強机とイスと、タンスと、三段ボックスと、・・・・・なんといっても、ざっと50冊以上はある本。

「綾美ちゃんと、喧嘩してるんだね」
「え・・・・・・・」
「美羽と郁磨から聞いてるよ。苦労人だねぇ」
「・・・・・・」
「何が原因なのさ?・・・・・・ああ、やっぱり、我子ちゃんが水筒隠したとこからかな?」
「なんで、知って・・・・・・・」
「だから、聞いたっていったろ?」

ニッコリとする、和泉ちゃん。

「はいはーい、威圧しないの、和泉」
「してねーよ」
「・・・・・・あのね」

私は、勇気を振り絞る。
もう、逃げない。逃げちゃ、だめだ。
それに、逃げられない。

「水筒隠したのも、ファイル隠されてたのに黙ってたのも、本当に悪かったとおもってる」

美羽の芽が、みられない。

「けど__けど」
「言い訳なら、聞くきないんだけど」

和泉ちゃんが、そっけなく言いはなった。

「やったことは、事実だろ。『けど』なんて言葉、ききたくねえよな、美羽」
「・・・・・・」

私は、そのとき初めて美羽の目をみた。
真っ直ぐと、私を捉えていた。
唇がワナワナと震える。

キュッと口を結び、下を向いてから、真っ直ぐに美羽と・・・・・・和泉ちゃんを見る。

Re:=青田我子の場合.24= ( No.37 )
日時: 2015/06/23 19:47
名前: 四之神綾芽 (ID: GIxrqpJQ)
参照: http://ameblo.jp/sinogamiryouga/entry-12041190995.html

「私は、弱いんだよ!」

誰かがいじめられているのを黙って見てることしかできない。

「卑怯だし、すぐに逃げるし・・・・・・バレたくないし、一人になりたくないし!」

ハブにされるのが怖い。

「綾美と一緒にいたかったし、みーちゃんたちに逆らいたくなかった!」

あのままで、いいって思ってた。
綾美と一緒にいれたから。

「なのにっ・・・・・・」

体育祭が終わってから。
全部が変わった。

「綾美がはなれていって・・・・・・一人になって。郁磨君と火、美羽とかに、バレてること知って」

全部、バレていた。
水筒も、ファイルのことも、全部。

「水筒が隠されて、『次は、私なんだな』って・・・・・・今まで、してきたくせに、悲しくなって」

なんとなく、分かってた。
前に、自分のしたことだから。

「全部、美羽のせいだって、何度も思った」
「なっ・・・・・・」

和泉ちゃんが声をあげる。
その言葉の続きは、美羽が抑えたため、聞こえなかった。

「綾美がいなくなったのも、わたしがハブにされてるのも、全部」

美羽が、体育祭の時に、あんなことを言うから。
全部しってた上で、せめてこないから。

「だけどっ・・・・・・」

なのに。

「こうやって、一人の私を助けてくれて、凄く嬉しくて」

酷いことをしてきたのに、全部知ってたのに、それでも私をグループに入れてくれた。

「今までのこと、謝りたかったけれど、言いだすきっかけがなくて」

綾美に決別されて、郁磨君に言われて、美羽にも言われて。

「あの時だって、いいたかった」

『じゃあ、ごめんね、時間とらせちゃって。・・・・・・ああ、大丈夫。このことは別に誰にも言わないからさ』

「ごめなさい、って。ありがとうって。言いたかった・・・・・・」

私は、そのまま泣き崩れた。
今までいいたかったこと、すべてさらけ出したからだ。

「ごめんなさいっ・・・・・・・・・・本当に・・・・・・・・・・本当に・・・・・・・・っ」
「・・・・・・」

長い沈黙が流れた。
口を開いたのは、美羽だった。

Re:=青田我子の場合.25= ( No.38 )
日時: 2015/06/25 19:34
名前: 四之神綾芽 (ID: GIxrqpJQ)
参照: http://ameblo.jp/sinogamiryouga/entry-12041190995.html

「それがきけただけで十分だよ」
「けどっ・・・・・・」

私は、助けてもらったのに、なのに・・・・・・何もできてない。

「自分のやったことや、本心を、そうやって本人の前で言えることだけで、アンタは凄いよ」

和泉ちゃんが、優しい目で、私をみた。

「さっきは、悪かったよ。ごめん」
「ううん・・・・・・」

和泉ちゃんが、頭を下げるので、慌てて手を振る。

「じゃあ__」

美羽の目つきが変わる。

「あとは、綾美ちゃんだね」
「だな」
「えっ__?」

な、何をする気なんだろう・・・・・・・。

「『私は、我子と一緒にいたい。だから、お願いだから、考え直して』、ね」
「『親友』って、のは、そんなに簡単なモンじゃないってこと、分からせてやんないとな」
「・・・・・・!」

美羽と、和泉ちゃんが、私の言葉で、動いてくれる。
私のために・・・・・・。

「ありがとう。・・・・・・ありがとう!」

『ありがとう』たった五文字だけれど、私はその一言に、すべての感謝の言葉を詰め込んだ。


*テスト週間なので、更新が止まるかもしれません。申し訳御座いません。
                   *四之神綾芽

Re: =青田我子の場合(北村美羽の考え).26= ( No.39 )
日時: 2015/06/30 20:26
名前: 四之神綾芽 (ID: 0BucpTCd)
参照: http://ameblo.jp/sinogamiryouga/entry-12041190995.html

「さってと__」

私は、大きく息を吐いた。

「どうする?和泉、郁ちゃん」
「んー」
「ん・・・・・・」

我子ちゃんは、なんとかなった。

「別に、瑞穂ちゃんとかは朴っておけばいいんじゃないかな」
「だよな、別に関係ないし」
「じゃあ、やっぱ、綾美ちゃんだよねえ」

我子ちゃんが、どうしてあんなことをしたのかも、分かった。
と、言うか、分かっていた。

「んー・・・・・・まあ、とりあえず」
「いつも通り」
「やりますかね」

私達は、三人で笑い合った。


「綾美ちゃん綾美ちゃん」
「何?」
「ちょっといいかな?」

私は、ニッコリとわらって、教室の隅に綾美ちゃんと、我子ちゃんをつれてきた。

「さあてと。・・・・・・Time to talk about the truth came.」

私のお得意のセリフをいった。

Re:=青田我子の場合.27= ( No.40 )
日時: 2015/07/02 20:07
名前: 四之神綾芽 (ID: 0BucpTCd)
参照: http://ameblo.jp/sinogamiryouga/entry-12041190995.html

「・・・・・・何?なんで、ここに私はこなきゃいけないわけ?」

綾美がイライラした口調でいうが、三人は見向きもしない。

「1つ、きいてもいいかな」

美羽が綾美にいった。

「何?」
「貴方のいう、親友って、なんなの?」
「はぁ?」

綾美が馬鹿にしたような口調でいった。
・・・・・・こんな綾美、見た事なかった。

「親友でしょ?・・・・・・いつも一緒にいるとかじゃないの?」
「ふうん・・・・・・」

美羽は意味ありげに頷いた。

「じゃあ、何が合ってもいつも一緒にいてあげる、んだよねぇ?」
「はあ?」

綾美が眉をひそめる。

「なんでアンタにそんなこといわれなきゃいけないわけ?」
「ああ゛?」

美羽がいきなりそんな声をだした。
一瞬、ビクッとなる私と綾美。
郁磨君と和泉ちゃんは無表情。

「私がいいたいのはさ、アンタが我子ちゃんのことを親友だって思ってない、馬鹿な弱蟲ってことだよ」

いつも以上に低く、そして確実な怒りを含ませた言葉だった。

Re: 愛…君13=青田我子の場合.28= ( No.41 )
日時: 2015/07/03 21:00
名前: 四之神綾芽 (ID: 0BucpTCd)
参照: http://ameblo.jp/sinogamiryouga/entry-12041190995.html

「親友っていったら、何があっても傍にいる、ってことじゃねーのか?ソイツが一人になったって、ソイツの変な噂ながれたって、信じねーのが親友じゃねーのか」

綾美を壁際まで追い詰める。
一瞬たりとも美羽は綾美の目から視線をはずさない。

「アンタの言う『親友』に、我子ちゃんは最初から含まれてないんだよな」
「そんなことっ・・・・・・・ッチ」

元の綾美の口調に戻った、と思ったら、また・・・・・・。
黙る綾美を横目に、美羽がいった。

「『私は、我子と一緒にいたい。だから、お願いだから、考え直して』」
「え・・・・・・」

その台詞は、確か・・・・・・。

「アンタが我子ちゃんにいった言葉なんだってな。あと、『次は、美羽のように、嫌がらせをうけるのは、我子だよ?・・・・・・私は、親友にそんな風になってほしくない』だっけ?・・・・・・ふうん」

また、意味ありげに頷いた。

「そっかー・・・・・・親友になってほしくなかったんだな、俺みたいに。うんうん、それが普通だよなぁ」

うんうん、と頷く美羽。

「けど__」

一瞬にして目つきが変わる。

「アンタは結局、我子ちゃんを見捨てた。・・・・・・どうせ、瑞穂ちゃんたちに何か言われたんだろ。まあ、だいたいは察しつくが・・・・・・弱いな、お前」
「・・・・・・」

・・・・・・。
やっぱり、みーちゃんたちが、何かをいったんだ。
だから、綾美は・・・・・・。

「一緒にいたいなら、なんでいなかった。嫌がらせをうけてる『親友』をみたくなかったのか?違うよな。一緒にいることで、アンタは自分にも嫌がらせがくると思ったんだろ。・・・・・・だから、見捨てた」

でも、綾美はあの時、真っ直ぐに私を見てくれた。
必死になって、注意してくれた。
『美羽みたいにいじめられないで』
そう、目でうったえてくるような・・・・・・。

「俺はアンタみたいなギゼンシャがダイキライなんだよ」

私が、美羽に反論しようとしたとき、

「違う!」

綾美が、叫んでいた。

Re: =青田我子の場合.29= ( No.42 )
日時: 2015/07/06 20:25
名前: 四之神綾芽 (ID: 0BucpTCd)
参照: http://ameblo.jp/sinogamiryouga/entry-12041190995.html

「私は、私はっ・・・・・・」

綾美が、急に泣き出した。

「私は、嫌だった。自分だけ、我子においてかれる気がして・・・・・・」
「え?」

置いていく?
私が?綾美を?

「だんだん、強くなってく我子みて、あせって・・・・・・私はこんなに弱いのに、私はずっと一緒にいたのに、なんで我子だけ強くなってくのって」

強く・・・・・・ね。

「怖くなって・・・・・・我子が、私から美羽の方にのりかえたのかなって。そしたら、瑞穂が・・・・・・みーちゃん達が、『置いてかれてんだよね、アンタ。美羽が、我子そそのかしてんの』って・・・・・・」

私は・・・・・・。

「綾美」

美羽と、和泉ちゃんと、郁磨君のように・・・・・・

「私は、強くなんかない」


私は、強くないんだ。

Re:=青田我子の場合.30= ( No.43 )
日時: 2015/07/09 21:03
名前: 四之神綾芽 (ID: 0BucpTCd)
参照: http://ameblo.jp/sinogamiryouga/entry-12041190995.html

「私だって、怖かった」

みーちゃんたちに逆らうのが。

「一人になるのが」

ハブにされるのが。

「けど」

でも、それよりも。

「私は、美羽をいじめていることもいやだった」

『自分のされて嫌な事を、人にするな』。
本当に、そうだと思う。

「恨んだりもした」

みーちゃんたちを。
美羽を。
そして、

「綾美を」

『一人にしやがって』
『嘘ばっかいいやがって・・・・・・何が親友だよ』

「何度も、何度も」

嗚咽が漏れる。綾美だった。

「けど」

でも、さっき、美羽に追い詰められる彼女をみて

「綾美は、真剣に私を止めてくれた」

真っ直ぐな目で、伝える彼女をみて

「本当に、一緒にいたいって思ってくれたんだよね」

私は、凄く嬉しかった。

「裏切られたの?私は、本当に」

私は、綾美が裏切っただなんて信じられない。

「信じられないよ」

だって

「だって、私は綾美を『親友』だって思ってるから」

私の隣にいつもいてくれた綾美。

それも、全部嘘だったなんて、思いたくない。

「一緒にいて、楽しい相手」

一緒に笑いあった、あの時間。

「一緒にいたいって、思える相手」

遊んだり、時には喧嘩したりした相手。

「それって、『親友』なんだよね」

私は、綾美の目をみた。

「ねえ__本当に、裏切ってなんかないんだよ」
「ううっ・・・・・・」

綾美が、崩れた。

「しってるよ・・・・・・しってるよ・・・・・・ッ」

何度も繰り返し、必死に声を殺して泣く綾美、

「うううっ・・・・・・・・・・・・・・ッ・・・・・・・・・・」

そして、私。


嗚呼ッ・・・・・・・・・

とても、すっきりした。

心の呪縛がとけた。


私達が泣きやむのを、彼等は黙って待っていてくれた。

Re: 愛…君13=青田我子の場合=【本当に、裏切ってないんだよ】 ( No.44 )
日時: 2015/07/09 21:03
名前: 四之神綾芽 (ID: 0BucpTCd)
参照: http://ameblo.jp/sinogamiryouga/entry-12041190995.html

「落ち着いた?」

美羽が、声を掛けてくれた。
綾美が、ビクッと肩を揺らす。

「お前の『演技』は、『素顔』に見えるんだよ」

和泉ちゃんが、美羽の頭を軽く叩きながら言う。

「えー?」
「えん・・・・・・ぎ?」
「あ、うん」

美羽が笑顔で言う。

「『俺』なんて、私いわないから。あんな酷い言い方もしないよ?」
「・・・・・・してるしてる・・・・・・・」

和泉ちゃんが小さな声でいう。

「なんだってー?いーずーみー?」
「ナンデモナイゼ?」
「でも、和泉はそれが『素』だもんね」

あれ・・・・・・郁磨君の口調がなんか違う・・・・・・?

『アンタ、無理してるだろ』

『さっき、高山等と決別『させられた』んだろって』

あれえええええ??????

「郁磨君?あれ・・・・・・・?」
「うん?ああ、そっか。僕は、コッチが『素』なんだよ。警戒心ガ強くてさ」
「ああ、そう・・・・・・なの?」

警戒心ってか・・・・・人種も変わった気がする・・・・・・。
綾美も、驚きの表情を浮かべている。

「でも、よかったね」

郁磨君が笑った。

「仲直り、できたでしょ」
「「あっ・・・・・」」

私と綾美は小さな声をだす。
目が合った。

「・・・・・・」
「・・・・・・」

言わなくても分かる。
さっきまでの目とは違う。

「・・・・・・ごめんね」
「ううん、私こそ・・・・・・」

『いつも』の、綾美の──私の、親友の目。


私達は、美羽と和泉ちゃん、そして郁磨君に何度もお礼をいった。

彼等がいなかったら______


きっと、私は今も一人で泣いていただろう。





ありがとう。




その5文字だけじゃ伝え切れないほどの感謝の気持ちでいっぱいだ。




「ありがとう、美羽、和泉ちゃん、郁磨君」



「いいや、私はただ、アドバイスしただけだし」
「酷いこといってるしな」
「プラスマイナス0だよね」
「ちょっ!?」

彼等はそう、笑ってくれた。


残る冬やすみあけの3ヶ月。

何にもなかったわけじゃかった。
相変わらず、みーちゃんとさーちゃんは美羽の事を嫌っていたし、誰も、何も変わらなかった。


けど。


私達は、変わった。
私達の関係は、深くなった。

それは、全部、美羽たちのおかげ。


彼等は、私達にとっての、救世主。



「ありがとう__」



彼等は、私達にこういった。


「Time to talk about the truth came.____真実を明かしただけだよ」