コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

Re: 初恋?何それおいしいの? ( No.22 )
日時: 2015/06/01 21:59
名前: まかろん (ID: syFyy808)

「はあ やっと見つかった・・・。」

階段を上って下りて渡り廊下を走って走って、やっと辿り着いた美術室。
時刻は4時35分。時間的にここが最後かな。
結局全ての文化部を見きることはできなかった。
一体何度同じところをループしたか。プリントが不親切過ぎて、途中破り捨てようと思ったほど。
だって、北、南、西、東 しか目印がありません。

分かる訳ないだろ!!野生本能なんてある訳ないだろ!!!

ひどいんですよ。聞いてください。誰でもいいんで。

今いるのは「第3美術室」 ここに来る前、私は「第2美術室」にいた。
普通、離れてるとは思いませんよね?ですよね??
「第2美術室」の前に貼られていた紙には、

『美術部は第2棟の第3美術室で活動しています!』

可愛らしい丸文字で書かれた文。 ん? 「第2棟」? ん??
ここって・・ 配布された校内案内図をもう一度見てみる。 きょろきょろと周りを見てみると、右は壁。左には第1,2音楽室があった。

1,2音楽室・・・。

ここは・・・『第1棟』

わあお。びっくり仰天。一体ここは何部屋あるんです?
しかもどうして分かれているんです? 訳がわかりません。
怒りの矛先がわからず、とりあえず可愛らしい丸文字にきっ と目線を向けてみた。
今見るとこんな文でもいらいらしてくる。

はぁ 一つため息をついて第2棟に向かった。

それからどしどし、今に至る訳です。
正直疲れ果てました。 もう見学する気力ほぼ無いので、適当に見て帰ろうと思います。

妙な決意をして第3美術室に入った。


「おやいらっしゃい!どうぞどうぞ中に入って!」

入った途端、威勢のいい声が聞こえてきた。 正直、一瞬だが体が強張った。
今まで見てきた文化部は、なんだか妙に暗くて怖かった。
ここは違う意味で怖い。 日当たりが良いせいもあるのか、部活に活気があって明るい。
・・明る過ぎて怖い。 なんだろう。運動部みたいなノリ?かな。 運動部見てないけど。

先輩に案内されて奥の机に行った。それからパンフレットのような冊子をもらった。
表紙には「ようこそ!美術部へ!」と、下には可愛らしい女の子が筆を持っている。
う、上手いな。
やっぱり絵心なんて皆無の私が来るところではないのか。
ここに来るまでに散々迷わされたから、私が行っても全然大丈夫っしょ!と高をくくっていたのだ。
理由になってないな。 まぁ要するに、少々馬鹿にしていたのだ。

本っ当にすみませんでした!!

頭の中で全力の土下座をする。 
この冊子、表紙だけでなく中身もすごい。 で、デザイン性というのか? 素人の私でもクオリティが高いのがわかる。
ど、どうしよう。私、絶対ここにいるべき人間じゃない。
入って3分であせり始める。もう帰りたい。

すると隣でガシャンと少し大きな音がした。

「す、すみません。」

瞬間、心臓がドクンと音を立てた。

「だ、大丈夫?」

私は動揺が相手に伝わらないように言った。 どうやら筆箱を落としてしまったらしい。

鼓動はどんどん音を立てて早くなる。

一体どうしたというのだ。

隣の女の子はしきりにすみませんと誤って椅子からおりた。 拾ってあげようと私も椅子からおり、一番近いマーカーを拾おうとした。
すると、女の子と手が触れる。
顔を上げると女の子と目が合ってしまった。

「ありがとうございます。」

困ったように笑ってくれた。 また心臓が高鳴る。

この子のか細い、高すぎない落ち着いた声、どこか気になる。

全部拾い終わっても早まった鼓動は鳴りやまなくて



 それから私が何をしたか、あまり覚えていない。

先輩に「はい、一年生下校時間だよ。」と言われたのは覚えている。
それから  どうやって家に帰ったけ。

気づいたらベッドの上にいる。

あの女の子の隣にいる間、ずっと心臓がバクバクしていたから疲れたのかもしれない。

一体何だったんだろう。

布団にくるまり何も考えないように寝ようとした。


でも、どうしてもあの声が離れなくて