コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 初恋?何それおいしいの? ( No.38 )
- 日時: 2015/08/11 11:19
- 名前: まかろん (ID: syFyy808)
はあ まったくさんざんだった。やっぱりあんなやつに相談するんじゃなかった。
あの子と友達になるにはどうしたらいいか聞きたかったのに…。
『応援するよ』ってあほか!女子との恋を応援されたところでうれしくないわ!
思わずシャーペンを強く握る。ミシミシと音が出てしまう。さすがにシャーペンくんが可哀想なので手を離してあげた。
でも、一様人の話を聞いてくれたわけだから、お礼くらいはしようと思ったのに。
あいつ、帰りの支度したらすぐ教室出ていきやがって。どんだけバレーしたいんだ。あほか。
いや、あほは私か。人に礼の一つも言えず腹を殴ってしまうとは。
はあ 本日6回目のため息。ため息をすると幸せが逃げていくというけど、そんなことで逃げていく幸せなら逃がしてやるわ!
…はあ
本日7回目のため…もういいや止めよう。
力なく机に突っ伏した。
「あれ?あ、えっとあの!」
突然廊下のほうから声が聞こえた。驚いて声のしたほうを向く。
そこには…天使?
いかん 精神的ダメージを負っていたせいか、いつもより数倍頭がおかしい。いかんいかん 目覚めよ私。
そこには以前美術部の見学で出会った人がいた。
筆箱を拾ってあげただけなのに、何故こんなにも覚えているのだろう。
「えっと、美術部の見学に来てた方ですよね?」
「は、はい!そうです!」
何故か大きな声が出てしまった。これは恥ずかしい。
彼女はふふふと笑って
「今日美術部の仮入部行きますか?」
「え、あ えっと…。」
そうだ今日から仮入部期間に入るんだった。どうしようあの中に私は入れるのか?
私みたいな美術の才能なんて無いやつに。
「あ、すみません!誘ってしまうような言い方をして。」
私が困った顔をしたからだろう。彼女はぺこぺこ頭を下げた。
「いえ、違うんです。その…自信がなくて。私なんかが行ってもいいのか。」
はっつい本音をぶっちゃけてしまった。何してんだ私。
でも彼女の答えに少し期待をしてしまった。
彼女は少し考えるような仕草をして
「…大丈夫だと思いますよ?そんなに心配しなくても。」
「え?」
「私も心配だったんです。美術部に行くこと。それで顧問の先生に相談したんです。
『今の君たちには何でも挑戦してみることが大事だよ。才能なんてものがシビアに関わってくるのは、本当にプロを目指す人だから。』
って。」
「私、絵を描くことは趣味程度なのですが、先輩方はやる気のある人を邪険に扱わない、基本的に優しい人たちだ。とも仰っいました。
だから、頑張ってみようかなって思えたんです。」
「そう…ですか。」
『基本的に』がとても引っかかったが、才能の有る無しはあまり関係無いよう。
でも、ただ自分の居場所を作るためだけに行こうとしている私なんかが…。
でも、文化部を見て回って一番雰囲気が良いと思えたのは確かだ。
何より、彼女が行くのなら。
…そういえば、どうして彼女は私に声を掛けてくれたのだろう。ふいに疑問に思って聞いてみた。
「えっあ、いえその、たまたま教室に人影を見つけて、こんな時間まで何をしているのだろうと教室をのぞいたら、あなたがいて。
見学期間にお会いしたとき、すごくきれいなかただなあと、覚えていまして。
何やら落ち込んでいらしたので、思わず声をかけてしまった、ということであります。」
ジェスチャーをしながら、あたふたしながら一気に話した彼女は、とても可愛らしかった。
最後のほうは敬礼しそうな勢いで、流石に恥ずかしい思いをしたらしい。顔が赤くなっていた。
わざわざ落ち込んでいる私に声をかけてくれるなんて、優しすぎる。
「それで、その美術部、どうですか?」
私はとっくに心に決めていたのだろう。でも自信がなかった。決心がつかなかった。
では今は?
私を覚えてくれていてたことに期待してもいいのだろうか。
不純な動機で行ってもいいのだろうか。
ええい当たって砕けろ!だ!
彼女に近づき
「私も、美術部に入部します!」
と、決意を表明した。
「あ、ありがとうございます!よかったあ。」
私が入部することに心から喜んでくれているのだろう。可愛らしい笑顔にまたしても胸が高鳴ってしまった。
落ち着け!理性!!
「あ、でもこれからあるテストに合格しなきゃいけないんですけどね。」
え。てすと?てすとってなんだ?
「あれ、聞いてませんでしたか?仮入部期間中に入部希望者全員にテストがあるんですよ。簡単なものだって言ってましたよ。」
ボキッ
決意が折れる音がした。