コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 零fighter山鷹隊【参照3000超え大感謝!】 ( No.107 )
- 日時: 2017/07/30 18:42
- 名前: ワタル (ID: 9/mZECQN)
【命運を賭ける最期の瞬間】
不注意にも、物音をたてその存在が、
敵に知れてしまった若きティーンソルジャー・ゾーン。
コツッン
コツッン
コッツン!
扉の向こう側で、ピンヒールの足音が近づいてくる……。
それは、かなりの重量感を思わせる"力強い足音"だ!
ゾーン(なんてこった!肝心な時にいつもこれだ!これだからオレは大勢の中にいても的確な指示が出せず、単独行動に走りがちの癖があったりするんだ……。)
コッツンンン!!
足音が扉の前で止まった!
ゾーン(まずい!このクリスタルまで、奪われてしまったら一巻の終わりだ!)
ゾーンが慌てて辺りを見渡すと通路の外側の内壁には、無数の長方形の開口部がある。
ゾーン(ここから外に投げるしかない!)
ゾーンは、一度抜き構えていた二挺拳銃をホルスターにしまうと、
中腰のまま、腹部と腿に挟んでいた落としかけのクリスタルを気にしながら、
首に巻いたトレードマークの"シュマグ"を、スルリと外す。
※シュマグ。アフガンストールともいう。
首に巻く"アレ"である。マフラーてきな。
それから、
流れる様な素早い動きでクリスタルをクルクルと巻き、保護する様に包み込んだ。
そして、祈るようにして開口部から外へと放り投げた!
直後、扉に向き直り、再び二挺拳銃を抜き水平に構える!
この時、無骨な扉が、
鈍い音を立ててゆっくりと開いた!!
ゾーンは、焦っていた。敵の幹部は、イコール強敵だと思い込んでいたのだ。
対する扉の向こうの悪魔は、
ボンバーサイズ。戦闘力はゾーンと互角程度。
悪魔の子を宿した人間の女が、産み落とし棄てた"半人半魔"だ!
悪魔に拾われ、ここまでに成長し、良く肥えて育てられてきたのだ。
故に、人間に対して、極度の怨みを持ち執拗に嫌う。
果たして勝負の行方はいかに……。
乾いた銃声が魔城に鳴り響いた……。
その頃、
シャーク将軍を退けたものの、仕損じた(仕留め損ねた)ミフネは、
案の定、魔城で迷子になっていた……。
ペタ
ペタ
ペタ※
※水分を含んだミフネのカンジキの足音である。
ミフネ「……やっぱ一人で来るんじゃなかった……。ここ、どこなのさっっ!?……て、誰もいねぇーー……。」
立ち止まるミフネ。
キョロキョロするミフネ。
周りに誰もいない事を確認。
体育座り。
からの胡座。
そして大の字。
天を仰いだ。
天井をよく見ると、至る箇所が吹き抜けで繋がっている。
ミフネ「……。」
ミフネは、第二の故郷でもある、大天狗山とそこに置いて来た仲間達の事を思い出していた。
刀剣姉妹の二女、切丸蔵 寧々(きりまるくら ねね)。
同じく、四女、古代一振 苺果(こだいひとふり いちか)。
そして、
妖狐(ようこ)先生。薬剤師であり、刀剣姉妹の母親代わりでもある。
さらに、
ミフネの許嫁でもあった妖怪の娘、小町 一尋(こまち いちひろ)
その正体は、九尾の狐である。
何処へ行くにもミフネが一尋の手を引き、手を繋ぎ、
周囲が羨む程、仲睦まじく、微笑ましい二人。
互いに相手を想い合い、大切にする余り、傷つけまいと些細な不満をも隠し、
本音を言えず、笑いの絶えない楽しいだけの日々を過ごしていた。
しかし、
二人の恋路は、一尋の母親に認められず、(大妖怪の長に嫁がせる為)
人目を偲び、コソコソと付き合う事となる。
その許されざる愛の行方は、
やがて、
いつしか妬みを被り、
数奇な宿命により引き別れされた後、
離れ離れとなる……。
現在、
一尋は何処(いづこ)かへ……?
音信不通である……。
ミフネ「……。」
ミフネが、思い出に浸っていると、地響きが背中に伝わる。
歩いていては、気づかない程の僅かな振動だ。
ミフネの感が研ぎ澄まされる。
戦いの感。
何者かが、何処かで戦っている!
ミフネは飛び起きると、神経を尖らせた!
キーーーーーーーーーン
耳鳴りがする。
間違いない。
何者かが何かに苦戦して、助けを求めている!
ミフネの眼の色が変わった!
走るミフネ!
方向音痴のミフネだが、こうなるとビンゴ!
まるで放火魔の火事場を見つけるが如く、その現場に出くわした!!
開けた大広間に、怪物相手にたった1人で立ち向かい、
しかも、素手で激闘を繰り広げる者がいる!
ドシィーーーン!
ドシィーーーーーーーン!
まず、ミフネが、眼にしたのは顔だけの巨大な怪物!
その姿は、まるで獅子だ。
素手で応戦するのは、味方なのかは判断しづらい風貌。
全身黒塗りのアルティメットスーツ。
顔はフルフェイスで覆われている。
随分と手こずっている様子だ。
ミフネ「なんじゃ?ありゃ?……"たんたん坊"※にしちゃ随分と小柄だな……。」
※たんたん坊。上級妖怪である。過去にミフネ達少年期に戦闘経験あり。
詳細が気になる方は、
小説カキコ【コメディ・ライト】零fighter山鷹隊ヨシュア外伝・オグル島の姫君をご覧下さい!!
必死で戦うヘトヘトの"黒塗りの戦士"、素手では決定的なダメージは与えられていないようだ。
しかし、
対する顔だけの怪物も"黒塗りの戦士"の防御力の前に無力。
歯痒さを隠しきれない様子だ。
ミフネ「何だ、この消耗戦……。」
ドシーーーーーン!
次の瞬間、獅子の体当たりに吹き飛ばされた"黒塗りの戦士"がミフネの足元に転がる。
ズシャーーーーー!
獅子の視界にミフネが映る。
鼻息荒く飛び跳ねると、何度もその場で飛び上がり、威嚇しながら、
今度はミフネに襲いかかってきた!
ミフネ「この距離、奴のスピード、完璧なシュチュエーションだぜ!」
ミフネが中腰に屈み、抜刀の構え!
と、その前に、
ミフネ「おっと、すまねぇがコイツを持っててくれ……。」
ヨシュアの愛刀"ジャマダハル"を倒れたままの"黒塗りの戦士"の胸元に託した。
ズシィーーーーン!
ズシン!
ズシィーーン!
迫り来る獅子!
ミフネの長い前髪が片目を隠す。
残った瞳の眼光が、鋭さを増した!
激突!!
バッチィイイイイイーーーーーーーーーーン!!
火花散る瞬間!
ミフネ「奥義ぃ!閻魔裁きっっ!!!!」
地!(カン!)
獄!(カン!)
の!(カン!)
沙!(カン!)
汰!(カン!)
も!(カン!)
金!(カン!)
次!(カン!)
第!(カン!)※文字が所狭しと浮き出ます。カン!は擬音。
ズババババババババーーーーーーーーーーン!!
悪魔戦士の裏ボス獅子頭。真っ二つにて消滅!!
それから、
律儀な黒塗りの戦士デストロは、名乗り出ると、
ミフネを命の恩人と慕い忠誠を示した。
そして、
ヨシュアの愛刀の使い易さを偉く気に入り離さない為、
ミフネは、根負けして、仕方なく譲り渡した。
ミフネの瞬殺技に"アニキ!アニキ!"と慕うデストロであった。
早速ジャマダハルを使いこなすデストロ。
ミフネよりも筋がいい。
もっともミフネは、日本刀一筋である。
一行は、デストロの道案内で、玉座を目指した。
……。
……。
一方、投げ放たれたクリスタルの行方はと言うと……、
巨大な鉄球が破壊した、首無しの巨像の脇でスヤスヤと眠る、生意気そうな顔をした青年ジョシュの手元に奇跡的に着地していた。
※首無しの巨像は、獅子頭の胴体。合体する事で魂が宿り破壊神と化す。
すなわち"最も危険で最悪な敵"のはずであった。
これもまた、偶然の産物とも言える"ジョシュの成せる技"である。
……つづく。
次回 【予期せぬ悲劇!!ヴァルキリー玉座に散る】乞うご期待。