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Re: 零fighter山鷹隊 ( No.17 )
日時: 2015/06/28 12:54
名前: ワタル (ID: QSkxs3GM)

【失われた村の姉妹】


S・S達が帰還した時には、すでにスコットの埋葬は済まされていた…。

悔しくも、その悲報は本部へ到着する直前での無線で知る事となった。

哀しい事だが、この隊に配属された時から各位、
死とは覚悟の上…遅かれ早かれ運命(さだめ)である。

ここで、A・Jとジョシュが仲間である事が判明する。
そして賞金稼ぎである事を伏せ、職業はトレジャーハンターだと偽る。

当初、ジョシュを檻に入れるつもりのリンクスであったが、ドミニクやA・Jの話を聞き2人を一時的に仲間として迎え入れた。

夕食の支度をするドミニク。
彼はここでの料理長だ。
下ごしらえをするナックル。
なぜかジョシュも手伝わせられる。


食事をとりながら、人狼との戦いを振り返る。

まず満月の夜に現れる事から、次の満月で確実に倒す。もしくは捕獲する計画を建てる。
そして伝説から紐解いていけば、人狼は普段人と変わらぬ姿で民に紛れ込んでいる可能性が高い。

そして、リンクスは人狼の右眼に傷を負わせた事を皆に告げる。
見渡す様にして『ここには 人狼は紛れ込んでいないようね…』
と呟くリンクス。

ジョシュは息を飲んだ。

片目を不自然に眼帯をしたベイハムの事を思い出した!

ジョシュは人狼の正体を知っていると言わんばかりにベイハムの事を話始めた!

経緯を聞き、真相を確かめるべきだと判断するS・S。

ジョシュはベイハムの居場所を知っている事を告げた。

予定では、明日は村の警備に向かうはずだったが、チームを二手に分ける事にした。

人狼は変身しない限り、戦闘能力はさほどでもない事から…
ベイハム捕獲は、リンクス、バリーに決定。道案内にジョシュ。
村の警備はドミニク、ナックル、そしてA・J。

S・Sは本部にて待機。という作戦に決まった。

ベイハム捕獲は明日の早朝。

村の警備は今日は人狼被害の翌日ともあって夜間もあるらしい。
食事を済ませ小休止をとると、ドミニク達は村へ向かった。

村へは、橋を渡り徒歩で15分ほどだった。

村は入り口以外、高さ3m前後の柵で全体を囲まれている。
人狼はこの柵をも跳び越えるらしい。
恐ろしい跳躍力だ。

見張りやぐらにいた村のレンジャー部隊が、ドミニク達に気づき門を開ける。
昼間は開放されているが、夜間は獣の侵入を防ぐ為、閉ざされている。

そこにいたのは、レンジャーのトップソン、ジャン、マービンの3名だった。
この辺は皆、顔見知りらしい。
1人A・Jだけは警戒される素振りを見せられた。
空気を読んだ気さくな1番年上のマービンはA・Jを気遣い村の集会所へ案内する。

トップソンとジャンは門を閉めると、見張りやぐらに戻る。
マービンの代わりにナックルが見張りやぐらにつく。
常に2人が見張り、順番に仮眠を取るローテーションのようだ。
トップソンとジャンとナックルは年齢も近く仲が良い。



ドミニク『ところで ゾーンの姿が見えぬが?今日は休みかな?』
マービン『ああ ゾーンの事だ また女のところでも入ってるんだろ…』

レンジャー部隊の1番の腕利きのゾーン。ナックルと年齢が一緒である。

しかし、少々正確に問題あり。
とにかく行動が自由過ぎる。
今夜の夜間警備もサボりである。
だが、ここ一番で頼りになるので誰も文句を言ったりはしない。
それに何故か村の女、子供に人気がある。


集会所に着くと、人狼の話ももとより気になる事があるとマービンは切り出す。

聞けば、この村のもっと奥に"失われた村"という旧村が存在すると言う。

不気味なその村には、誰も近づかないはずなのだが、謎の黒装束の男が入っていくのを、昼間ゾーンが発見したらしい。
その事をマービンは、ゾーンからでなくゾーンの恋人のカトレアから聞かされていた。

興味深い話に食いついたのはA・Jの方だった。

実はマービンも気になっていて調査に乗り出すには人員不足と思っていたところだった。

善は急げと、装備を整えるマービン。
ドミニクは気乗りしない様子だ。

仕方なくマービンはA・Jと2人で行くことにした。
するとドミニクはナックルと持ち場を代わるからと言い、
ナックルも調査に同行する様に指示した。

ナックルはドミニクの横柄な指示に少しばかり反感を抱いていた。
客観的に見る限りナックルはドミニクに信頼は抱いてはいない様子だ。

ナックルはスコットを結果的に見殺し?にしたドミニクに対して嫌悪感を示すようになっていた。

そんなやりとりを哀れむ様に眺めながら煙草に火を付けるA・J。

悲しみや苦しみも超越したその先に、些細なイザコザなど幸せなひとときに過ぎない事を地獄の底を経験してきたA・Jは知っていた。

それでもA・Jは若いナックルに悟すような真似はしない。
何故なら…
人は皆、身に起こる経験を経て"気づき"成長していく術を身につけるべきだと考えているからだ。

A・Jの賞金稼ぎとしての嗅覚は、
ドミニクに対してただ知れぬ闇を感じ取っていた。

マービンは、文句は言いはしないが、顔や態度に出るナックルをなだめながら、いそいそと出発した。

煙草の火を消すとA・Jも後に続いた。


ドミニクが一瞬、したためた笑みを浮かべた様に思えたA・Jであった。

マービン一行は村の裏口にある通称"コヨーテ通り"から抜け道を通り、失われた村を目指した。

かなり長い距離を松明の火を頼りに進む。

この松明の寿命は約30分程だ。

ちょうど村の様な全景が見え始めたところで松明の火が消える…。

マービン『おっと 火がとぼっちまったか 予備を2本持ってきて良かった』

新しい松明に火を付けるマービン。

松明は使い捨てだ。

松明の灯りが辺りを照らすと、村に一つだけ立派な造りの教会が姿を現した。

A・J『こんな森の奥に…教会が…』

ナックル『おや?誰かいる!』

ナックルの指差す方を見ると、赤い服を着た小さな人影が教会の中へと、
小走りで入っていった!

ナックル『待て!』

ナックルはマービンから松明を奪い、小さな人影の後を追う。
A・J『おい!待て!お前が待て!』
とっさに後を追うA・J。
こんな時間にこんな場所にいる者など、
例え子供といえど普通ではないと、A・Jは直感した!

マービンは慌ててもう1本の松明に、火をつけた。
既に2人は建物の中だ。

と、次の瞬間カン高い声と共に教会の柱の上の羽根の生えた鳥の様な石像が動きだした!

というよりは、石像のフリをしてそこにいたのだ!

マービン『ハーピーだ!!』

ハーピーとは顔は人間、身体は鳥の怪物だ!
遺伝子操作の産物とも言われている。この種の生き物は極めて獰猛だ!

襲いかかるハーピーに松明の火で応戦する、マービン。

やはり火は苦手なのか有効だ!

マービンは建物の中に逃げ込んだ!

そこには、幼い双子?の姉妹がいた。
2人とも同じ赤い服だ。

先に入ったナックルとA・Jの姿がない!
外からは背筋も凍る様なカン高い鳴き声が響く!!


マービン『エーイ!ジェーイッ!!!………! ナーーーックゥゥル!!!!』

マービンの断末魔の叫び声が血塗られた教会にこだまする…………つづく




次回 零fighter山鷹隊【ガンドラゴン見参!!】どうぞお楽しみにw