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Re: 零fighter山鷹隊 ( No.23 )
日時: 2016/11/17 19:42
名前: ワタル (ID: q6B8cvef)

【モスマンの恐怖】


リンクスの放つP90の猛烈な弾幕に阻まれ、ハーピーの鋭いカギ爪も効力を発揮できない。

威嚇の奇声をあげるハーピーに対して、決着(けり)を付けるべく間合いを詰めるリンクス!

P90を小脇に抱え走る!

人間工学を元に造られた小型の短機関銃P90は、
身体に限りなくフィットする為、マシンガンを持っている感覚はほとんどなく、まるでハンドバッグの様だ。
走る際に全く違和感がない。

直前まで迫るリンクス!

2匹のハーピーも、最期の反撃を試み上空へと舞い上がる!

立ち止まり銃を構えるリンクス!
ハーピーを捉えた!!
リンクス『もぅらったぁぁっっ!!ロックオン・フィーバー!!!!』

が!
しかし!

リズムカルなドラムロール音は、廃屋エリアには鳴り響かなかった!

リンクス『クソ!!ジャムった!!』
※"ジャムった"のジャムは渋滞などを示す。この場合、弾の詰まりである。

青ざめるリンクス。

バルコニーから様子を伺っていたS・Sは、異変に気づき、すぐさま動きの鈍い手負いのハーピーの頭を撃ち抜きトドメを刺した!

しかしS・Sは怪我のため、連続して撃てない!!

S・S『逃げて!!!リンクス!!!!』

逆光と重なり襲い来る!

リンクスは敵に背を向け全力で走る!

ハーピーの鋭いカギ爪が、逃げようとするリンクスの両肩を捕らえた!

リンクス『痛っ!』

またもや上空へと羽ばたくハーピー!!
ピギャァ
歓喜にも似た奇声をあげる!

リンクス『くっそぉぉぉー!!ち…力が!入らない!!』

嫌がるリンクスを嘲笑うように、さらに強く鷲掴みにする!

リンクス『イッたぁっっっ…………う……うぅぁ…もう…ダメ(吐息)』

S・Sは狙いを定めるがハーピーは逆光に身を投じてソレを撹乱させる。

慌ててグラサンをかけるS・S。

そこに、
木々をすり抜け丘を走る赤いダートバイクの姿!!

S・S『あれは!?ゾーン!!!!』

ブロォォォォォン!!

ジャンプした!!

その姿"A・J"登場!!!

向かいの建物に飛び移り…
密集する家屋の屋根伝いに走る!
クロスボウを構えた!!

ジャキッ

やや下方向を向けるA・J。
S・SにはA・Jの狙う矢の軌道が、リンクスを狙っている様に見えた!

S・S『ゾーンじゃない!!ちょっと!!アンタ!どこ狙ってんの!!』

バシュウン!!

S・Sの制止を待たず矢を放つA・J。

A・J『これだから 素人は困る…』


A・Jの放つ矢はリンクスの後頭部目がけ飛んでいく!!
しかし、スピードが最高点に達っする直前で急にホップアップする!
見事ハーピーの翼の生えた背中の、ど真ん中を撃ち抜いた!!
※ホップアップとは弾道が上に反れること、下に反れるはホップダウン。

ハーピーはゆっくり羽をばたつかせ、徐々に高度を下げ息絶える。

A・Jは途中、クロスボウの精度を計るため試射していたのだ。
そのため、矢を2本無駄にしたが、ホップアップに気づき、結果的に闘いを成功に導いた。

ふと2匹のハーピーを見ると不思議と塵となり蒸発していくではないか!?

そして
先程までの空は、暗転。

黒い不気味な積乱雲が廃屋エリアを埋め尽くす。

リンクスは仰向けになり大股開きで軽い気絶状態だ。
その無防備にさらけだした姿を見て、赤面するA・J。

と、その時

雷が鳴り響き、激しいスコールが!!

S・S『あなたはA・Jね!?2人共こちらに避難して!!早く!』
そう叫ぶとS・Sは、雨で弾薬がシケてしまわないようにライフルをかばいバルコニーから建物の内部へと避難する。

A・J『了解!!』

A・Jの声を掻き消すように激しいスコールと轟音が鳴り響く。

目のやり場に困りながらもリンクスを背負うA・J。
雨のせいかリンクスの下半身はグッショリと濡れていた。
背中に鼓動と体温を感じる。
苦しそうに息が荒い。
意識が戻りつつあった。

そして、轟音の正体が近づいてくる!

雲を引き裂き

巨大な黒い飛行物体が雲の固まりを帯びながら出現した!!

S・S『何なの一体!!』

A・J『なんだあれは!!戦闘機か!?』

やがて、まとわりつく黒い雲が脱ぎ捨てられる様に剥がれ…
轟音と思われたのは、地獄の咆哮。

その姿は戦闘機なんかではない。

陽炎の様に赤く燃え揺らめく二つの丸い眼!
身体の何倍もある大きくひらかれた黒い翼!
首はなく、胸の辺りに鬼の様な形相の顔!
そしてその顔は反時計回りにクルクルと不気味に廻る!
そう
地獄の使い魔"モスマン"の登場である!!

突然の襲来に立ち竦むA・J。

A・J『なんだ…あいつは…あんな化け物!見たことがない!!!』

S・S『うそ…こんなの…はじめて…(ゴク)…こ…この世の…終わりだわ…』


_その頃

レンジャー部隊のジープに乗ったゾーンが、ジャンの家にたづねて来ていた。
ゾーンは人狼騒ぎの一件以来、時折姿を現わす謎の黒装束の男を探し回っていた。
小回りのきくダートバイクを借りに来たのだ。
しかし、バイクは見当たらない。
そこで、姉のジェーンを尋ねると………

ジェーン『あら?ゾーン早かったのね?バイクで出掛けたんじゃないの?』

ゾーン『ご機嫌よう!ジェーン!おれがバイクで出掛けた?何の話だ?』

俺は今来たばかりと言わんばかりのゾーンに対して、早とちりのジェーンはバイクが盗まれたと騒ぐ…。
と、そんな事より、クッキーを焼いたから食べていけとウルサイ…。

数時間前にゾーンがバイクを借りて行ったと思い込んだジェーンは、ゾーンの為に友達を集めクッキーを焼いていた。
誰とでも分け隔て無く接っして愛情深く、幼少期からずっと優しい、蠍座O型のゾーンは女性に大人気だった。

ゾーンはバイクを盗んだ犯人の事が気がかりだったが、せっかくのジェーン達の好意を無駄にはできなかった。

暖炉のあるリビングに通されると部屋の中は甘いクッキーの匂いが立ち込めていた。
5,6人の女子達がゾーンの訪問に"きゃっきゃ""きゃっきゃ"と騒いでいる。

ぐぅぅ

腹の虫が鳴るゾーン。
考えて見たら昨日の夜から何も食べていない事に気づいた。

ジェーン達はゾーンの素振りに微笑ましく笑った。

姉のジェーン達は同い年の18歳で幼馴染だ。
ジャンは2つ歳下だ。
因みにトップソンはゾーンの2個上。

しばし、お茶会を愉しんだ。

女子達は代わる代わる、ゾーンに手作りクッキーやお菓子を振る舞った。
珈琲が苦手なゾーンにホットミルクを持参した女の子にゾーンは驚いた。
何故ならゾーンはホットミルクが大好物なのだ!

どうやら、その娘は昔からゾーンに特別な感情を抱いていたらしい。
決して口には出さないが行動や見つめる視線でバレバレである。
ホットミルクが好きな事も知っていた。
因みにゾーンは酒が一滴も飲めない。
レンジャー部隊の入団の決め酒(おちょこ1杯)で倒れて寝るという事件があった。
※お酒は20歳になってからw


ホットミルクを持参したその娘は、マスコット的なキャラの為、この日も"ミルク"と命名されイジられた。
かといって仲が悪い訳ではない。

ゾーンも"ありがとうミルクちゃん"などと言うから、まんざらでもない様子だ。

雑談の中で、さりげなくジェーンにだけ盗まれたバイクの話を聞くと、その男は背格好や雰囲気がゾーンにそっくりだったと言う。
そのワードに聞き耳をたて静かになる女性陣wイケメンには敏感のようだ。
1人ミルクちゃんだけは、憧れの眼差しでゾーンを見ている………。
そして
その犯人とおぼしき男は、誰も踏み入る事を許可されない、村の立ち入り禁止区域に指定された廃屋エリアに向かった事が判明する。

ゾーンはジェーン達の間で密かに流行っているゲーム。パンパン◯ピコを一通りルールもおぼつかないまま終えると、女子会(お茶会)から後を去った。

ジェーン達はゾーンを玄関まで見送る。
愉しんだ礼を言うとジープに乗り込み走り出すゾーン。

やがて小雨が降り、
ピアノや楽器で歌い遊ぶジェーン達をよそにミルクちゃんは、心配そうに窓の外を見つめていた…。

_____暗雲立ち込める廃屋エリア。
一抹の不安を抱えながら先を急ぐゾーンであった…………………つづく



次回 【モスマンの脅威】どうぞお楽しみにw