コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 零fighter山鷹隊 ( No.29 )
- 日時: 2015/10/12 17:19
- 名前: ワタル (ID: 6PL6dW6J)
【満月の夜】
戦いの疲れを癒しながらも、
ガンドラゴンの話に耳を傾けるA・J達。
にわかに信じがたい話だったが、
ようやく満月の夜に現れるという"ウルフマン"の事についても信憑性が増してきたA・Jであった。
そして、
ウルフマンの話をマービンが語り始めた頃…死んだはずのモスマンのあたりに何かが羽ばたいた!!
A・J『しっ!しずかに…』
ガンドラゴン『まさか!?』
緊張が走る!!
バサバサバサ!
マービン『今度は なんだ!』
鳥か?
謎の生き物《ガンドラゴン ガンドラゴン》
バサバサバサ!
謎の生き物《ガンドラゴン ガンドラゴン》
いや、フクロウだ!
しかし、その体は鳥でもなければ猛禽類でもない!
キラキラと翼を輝かせ、言葉を発する銀製の機械?フクロウ!?
ガンドラゴン『フーボー!!生きていたのか!?アッハハ!』
ポーカーフェイスのガンドラゴンではあったが、A・J達の前で初めて笑って見せた。
いい笑顔だ!
その生き物の名前は、フーボー。
身体はミスリル銀で出来ている。
言葉は喋る、知能もあるようだ。よもや不可解すぎて説明がつかない。
A・Jとマービンはまるで夢の世界にいるような気分だった。
フーボーと再会を喜び戯れるガンドラゴン。
実に3年振りであった。
__ガンドラゴンはモスマンとの対決は、9度目であった。
今回のA・Jやマービンの加勢した戦いで、ようやく終止符がついたのであった。
直接対決はなかったが、8度目は例の失われた村の教会。
フーボーはというと…。
今から3年前。
3度目の対峙である"時計台の戦い"の時にモスマンに喰われたのだ。
その時の時刻は深夜3時であった。
モスマンは嘲笑う様にして姿を消した。
この頃のガンドラゴンは、モスマンに翻弄されるだけの戦い振りであった。
力の差は歴然であった。
しかし今は強く、その名は恐れられている…。
黒竜のタトゥーが身体に浮き彫り始めたのもこの"時計台の戦い"の後であった。
この戦いの最中、ガンドラゴンは…落雷に撃たれ死んだ…。
と言うよりは"死亡説"が流れた。
だが
そんな事が過去にあったことさえ、A・Jやマービンは知る由もなかった…。
A・Jは何かが周り始めるような予感がした。
止まっていた時が動き出すような不思議な感覚。
するとどうであろう!
今度は遠くから力強く重い、蹄の音が、近づいてくるではないか!
やがて
暗闇の中から、ソレは姿を見せる!
すると
逞しい程の黒馬が現れた!
ガンドラゴン『メルセデウス!!!』
ガンドラゴンは機は熟したと言わんばかりに、
黒馬に跨るとA・Jとマービンに別れを告げる。
『私には やらねばならぬ事がある』と言い残し…。
フーボーを肩に乗せ、その場を立ち去るガンドラゴン。
ガンドラゴンは、また
何処へと姿を消した…。
マービンは『説明しろ!』だの。『ゾーンを村に運べ薄情者!』だのと、走り去るガンドラゴンに罵声を浴びせた。
A・Jは、いずれまた何処かで出会うであろう"宿命にも似た予感"を抱いて眠りについた…。
やがて朝が来た。
10人乗りの大型の車両にバリーとジョシュ、そしてジャンと姉のジェーン、その友達のマロン(ミルクちゃん)とカトレアの6名が迎えに来た!
マービン『おいおい 遠足に来たんじゃないんだぞ!我々の乗るスペースが確保されているんだろうな?』
相変わらずの態度のマービンに、バリーは適当にあしらう。
A・J『おお!ジョシュ !なんだか 懐かしいな』w
ジョシュ『A・J!傷だらけじゃないか!一体何が起きてたんだよ!』
安否を確認し合うジョシュ達。
カトレアはゾーンの哀れな姿に取り乱していた。
ゾーンをよく知るジャンとジェーンとて例外ではない。
マロン(ミルクちゃん)はゾーンの姿を見るなり号泣した。
デリカシーのないバリーがマロンに"そんなに泣くならついて来なければいい"という。
廃屋エリアは昼間でも薄気味悪く(今は早朝)マロンが怖くて泣いているものだと感違いするバリー。
全く持って無神経。
乙女心など理解せずのバリー。
経緯を聞き、怖いもの知らずのバリーが『オレも戦いたかった』と鼻息が荒い。
バリーの運転する大型車両は、何事もなく村に戻る。
カトレア達はすぐに負傷者の治療にかかる。
カトレアの診療所は患者用ベッドが4つしかなく、既に3つ埋まっていた。
ナックル、スター、リンクスが手当てを受け静かに眠っている。
状況を察したA・Jは、遠慮してゾーンに残りのベッドを譲ろうとするが、カトレアの父に止められる。
ゾーンは急遽カトレアの部屋に連れて行かれた。
マロンとジェーンとカトレアの3人で毒針毛の処置。
ルーペと消毒液と毛抜きを手に気長な作業?である。
カトレアの父『何を言っているんじゃ 君は!そんな大怪我で立っていられるだけで奇跡じゃというのに!』
A・Jはようやく鏡に映った自分の顔を見るなり意識が遠のく、何故なら、おびただしい出血が固まり顔全体を血で覆っていたからである!
A・J『どうりで ジョシュのリアクションが深刻だった…』
バタン!
倒れこむA・J
一同『大丈夫か!』
ジョシュ『A・J!A・J!A・J!』
…。
…。
…。
あれからどれくらいの時間が経ったのだろう…。
A・J!そう名前を誰かに呼ばれた気がした。
A・J『誰だ!?』
目を覚ますA・J。
窓際のベッドに寝かされ身体は固定され点滴を繋がれている。
夜だった。
すぐ脇の足元の方の椅子に座り眠る者の姿がある。
ジョシュだ。
腕と脚を組み器用にバランスをとり寝ている。
あたりは静まりかえっていたが、
何処からか女性の鼻歌が聞こえ、石鹸の香りが漂って来た。
シャワーの音。
カトレアの声だ。
風を感じた。
ふと見ると
窓が不自然に開け放たれカーテンが揺れていた。
次の瞬間枕元に気配を感じた!
しかし身体は固定され動かす事も出来ない!
ジョシュを起こそうと声を出そうとしたその時!口を手で塞がれた!
革の手袋の感触!
だけではない!
湿った布!
これは!?
次の瞬間何かを嗅がされ眠らされる。
薄れゆく意識の中、A・Jは枕の下に違和感を覚えた…。
その者はA・Jの枕の下に何かを忍ばせた。
そして浴室に向かう。
そこにはカトレアのシルエット。
ボディブラシで身体を洗うカトレア。
※以前、マービンがシャワーを借りた際に使用した硬めのタオルは、カトレアの父専用である。
勘の良い読者の皆さんなら、薄々お気付きであったであろう…w
そこを覗く訳でもなく、素通りすると2階のカトレアの部屋に侵入した。
部屋には"カトレア"と名前のロゴが付いていた。
ゾーンが眠っている。
ゾーンの荷物らしき無骨なバックパックがある。
その者はバックパックを開けそこにさりげなく何かを忍ばせた。
見つけてもらう為か?意味ありげにその何かのパーツの一部をはみ出すようにして。
そして煙にまかれるようにして姿を消した…。
翌朝
A・Jは不思議と目覚めが良かった。
石鹸の良い香りがする。
カトレアが枕の上に敷かれたタオルを取り替えている最中であった。
A・Jは頭を抱き抱えられていた。
首の後ろに手をまわされ、カトレアの胸元付近スレスレに顔を近づけ片手でホールドされいた。
もう一方の手で事務的にリズミカルにタオルをたたみ交換している。
A・Jは薄眼を開け寝たふりをする。
今度はカトレアの顔が近づいてきた。
覗き込まれている。
どうやら今ので興奮したのか鼻血が少し出たらしい。
拭き取るとカトレアは、隣で眠るナックルの方へいった。
ベッドは横並びで、入り口側からスター、リンクス、ナックル、A・Jの順で並んでいる。
因みに最初ナックルは、今A・Jのいるベッドに寝かされていた。
窓際のそこは唯一、付き添いの出来るスペースが確保してある。
ようやく意識が戻ったA・J。
仕切りのカーテンが全て開けられボロボロだが一命をとりとめた面々達の姿が見えると、心なしか安心でき仲間意識が芽生え始めていた。
死闘を生き抜いた場面が蘇る。
珈琲を飲み読書にふけるスター。
驚異的な回復力で朝からチキンをガッつくリンクス。
好きな食べ物を最後に残すナックルの苺を『食べないなら貰うよ』と勝手につまみ食いするリンクス。
喧嘩が始まり朝から賑やかだ。
みんな良い笑顔だ。
しかし
この翌日の晩こそが、"恐ろしい満月の夜"の始まりであった…………つづく
次回 【人狼の正体】どうぞお楽しみにw