コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 零fighter山鷹隊 ( No.30 )
- 日時: 2015/09/23 23:38
- 名前: ワタル (ID: Kb4sFgR0)
【人狼の正体】
____月の満ち欠けは、平均約29.5日周期で繰り返されると言う…。
この日は周期からいくと、ちょうど満月。
負傷したA・Jやスター達を除いたレンジャー部隊は、朝から重苦しい緊張感が張り詰めていた…。
ジョシュに関しては、前の晩からソワソワと眠れずにいた。
昼になり
村の中央にある一本の巨木のある広場に、簡易的なステージが設けられていた。
人だかりの中、何やら演説が始まる。
壇上にはマービンを中心に、トップソンとバリーの3人が立つ。
マービン『皆んな 聞いてくれ 我々は今 危機的状況に陥っている!…』
そう切り出すと、マービンはジョシュ、トップソン、バリーと共に、
ウルフマン討伐隊を立ち上げ、有志を募った。
トップソン『これは 強制ではありません !しかし!我々レンジャー部隊と森林警備隊は今 多大な被害により負傷者多数!人員不足にあります! よってここに同士を募集します!共に戦いましょう!』
作り笑顔で周りを見渡すソバカス顔のトップソン。
しかし
村人達は下を向き、怯える者が大半であった。
その中には"村を守るのがレンジャー部隊の役目だろう!"と酒を煽りながら野次を飛ばすアル中もいた。
その野次に気の短いバリーが敏感に反応して一喝する。
バリー『おい!お前ら!この村はバリケードに囲まれ外部からの脅威を防ぐ作りにはなっている! だがな…裏を返せば塀の中の家畜同然なんだよ!!いいか!?わかるか!?モンスターにしてみれば ここは!…いいたくはねーが…餌場同然なんだよ!!!』
バリーは、"腰抜け共、俺は1人でも行くぜ"と小声で呟き壇上を降りる。
それを見ていたジョシュは、バリーを引き止め、代わりに壇上に上がる。
見慣れぬ顔の登場に、村人達は注目する。
ジョシュ『俺の名はジョシュ!旅の者だ!悪魔のイタズラか!?はたまた神の思し召しか!?今ここに来て ここに立っている!』
村人達はジョシュの勢いのある"タダならぬ気迫"に圧倒され、ザワつき始める。
メシア(救世主)だ。
メシアに違いない。
老人の呟きで、ますますザワつき始めた。
ジョシュは好感触を実感し強気に続ける。
ジョシュ『メシア…(照れ)そう捉えて貰っても構わない…(得意顔)共に…(溜め)闘おうぞ!(鼻息)志願者はいるか!?(鼻息)骨のある者は!いないか!!!?(鼻息MAX)』
すると
ずっと広場の巨木の上の太い枝に寝そべり、リンゴをカジっていた"荒くれ者風"の男がジョシュめがけリンゴを投げつける!
ビュン!
バシィン!
見事キャッチ!
ジョシュ『危な!何者!?』
アフガン『ヒューゥ ナイスキャッチ!気に入った!…俺はアフガン!志願するぜィ!』
くるりと身のこなし鮮やかに着地すると壇上に駆け上がる。
マービンはすかさずアフガンと堅い握手を交わした。
マービン『アフガン!君の様な若者を待っていた!歓迎する!』
それに触発されたのか、続けざまに、もう二人の志願者が現れた。
屈強な大男のラン・ボウ。
そして
メガネを掛けて頼りない感じのハシームだ。
壇上に上がり、赤い腕章が手渡される。
レンジャー部隊の証だ!
マービン。
ジョシュ。
トップソン。
バリー。
ラン・ボウ。
アフガン。
ハシーム。
ここに今、七人の"ウルフマン討伐隊"が結成された!!
村人達は救世主の登場で歓喜に沸いた。
結束を固めるべく一行はレンジャー基地へと向かった。
最年少のジャンはというと"カトレア診療所"の警備だ。
彼もまた日々訓練を受けている為、下手な大人よりも十分頼りになる。
マービンはレンジャー基地に着くと皆に昼食を振る舞いながら改めて自己紹介を交わすとウルフマンの話を語り始めた…。
すると
突然!無線が入った!
発信元は森林警備隊本部だ!
そこには今誰もいないハズだった。
いや1人いた。
行方不明のドミニクだ!
声の主はドミニクだった!
内容はこうだ。
本部の裏手にある村へと渡る橋のたもとに死体らしきものがあると言う。
一同顔を見合わせ緊張が走る。
マービンは『今まで何処にいた!?』と怒鳴りつけるが無線は途絶えた。
マービンはトップソンを連れ現場に向かう。
ジョシュも食事もおろそかにそれに続く。
マービンやトップソン、ジョシュの残り物を、全てたいらげる大食漢のラン・ボウ。
"よかったらコレもどうぞ"と少食で食べるスピードが極端に遅いマイペースのハシーム。
早食いのアフガンは既にイビキをかいて寝ている。
バリーは一癖も二癖もある彼らと上手くやっていけるかどうかと不安になり頭を抱えた。
そう
無能な隊長は隊を潰す…。
シューティング・スター不在、スコット亡き今。
にわか仕込みの"烏合の衆"である。
そして
物語は急展開に幕を閉じる。
死体は覆面の男だった!
トップソンは『こいつだ!こいつに投げ飛ばされた!』と確信した。
マービンは覆面を剥ぎ取ると、今度はジョシュが驚きの声を上げる!
ジョシュ『べ! べ !べ! べ! ベイハムさん!?』
それは両目を潰されたベイハムの水死体であった。
恐怖のウルフマンもこうなるとタダの人間だなと一言で片付けるマービン。
しかしあっけない。
マービンはトップソンとジョシュと共に死体を埋葬すると既に日も暮れ始めた空を仰ぎ、ガンドラゴンを思い出した。
きっと彼がウルフマンを退治してくれたのだろうと…。
また、ドミニクの姿が見えないが、いつものことだと、気にかける者はいなかった。
ジョシュは仕事を終えると、1人カトレア診療所にA・Jの見舞いに行く。
日も落ちたが、満月はあたりを覆う雲に閉ざされていた。
警備のジャンはウルフマンの件が終焉を迎えたと聞き、安心したのかソファーで眠りこけている。
スターとリンクス、ナックルも眠っているのか静かだ。
A・Jだけは起きていた。
ジョシュはA・Jに出来事を話した。
また延々とジョシュの身振り手振りの独壇場の語り口である。
すると覆面男の水死体の話が妙に引っかかるA・J。
ドミニクが今だ行方不明な事にも腑に落ちない点があった。
ジョシュは呆れた様にドミニクは臆病者だからウルフマンの現れる時期に合わせて何処かに逃げ隠れしてるお調子者だって噂だよと笑い飛ばす。
すると
突然A・Jが何か閃いたように切り出す!
A・J『覆面の男はベイハムとか言う男ではない…』
ジョシュ『A・J 待ってよ 急に何言い出すんだよ トップソンも見たんだぜ!?』
A・J『トップソンはよそ見をしていてぶつかり すぐに投げ飛ばされている…詳しく見てないハズだ…俺はハッキリと見た!覆面の男はドミニクだった…しかも奴の片目は義眼だ!!』
ジョシュ『嘘だろ!?まさか! ?言われてみればドミニクはあまり人と目を合わそうとしない…それどころか話す時も手で顔を覆う様な仕草をしていた!…タダの恥ずかしがり屋かと思っていたよ…』
A・J『そして奴は何故 満月の夜になると決まって居ない!?そして皆んなの足を引っ張るように肝心な時には何故!?決まって居ない!?』
ジョシュ『まさか…でも例のガンドラなんとかという正義の味方みたいのが退治したんじゃないの?現にウルフマンも現れてない!今日は満月だ!』
窓の外を指差すジョシュ。
月は雲に覆われていて見えない。
A・J『…ジョシュ 戦え ドミニクを探すんだ!新たな犠牲者が出る前に!』
ジョシュ『そんな…ドミニクが!?ベイハムさんは人狼じゃなかったのか?…』
A・J『おそらく間違いない!さらに面白い物を見せてやる…』
そういうとA・Jは枕の下に手を入れ、何かを取り出した!
それは
アンリミテッド・リボルバー。
その中に聖母マリアの銀の硬貨を溶かして固めた銀の弾丸6発。
A・J『これはガンドラゴンの愛用銃だ 何故ここにある!?これが何を意味するか解るかジョシュ!?ウルフマンとの戦いはまだ終わっちゃいない…』
そういうとA・Jは銃をジョシュに持たせる。
A・J『そこの3人は安静にさせる為 カトレアが睡眠薬を飲ませて眠らせている…俺も飲まされたが吐き出した…人狼が現れたらきっとジッとしていられない連中だからな…特にリンクスは這いつくばってでも戦地に向かうだろう』
ジョシュ『(ゴク)だな…』リンクスの強さに生唾を飲むジョシュ。
A・J『早く討伐隊に戻って事実を報告するんだ!』
ジョシュ『わかった!必ずウルフマンを仕留めて見せるさ!』
ジョシュを見送るA・J。
寝返りをうつだけで激痛が走るほどの痛みをこらえるA・Jであった………つづく
次回 【マービン危うし!狙われたレンジャー基地】どうぞお楽しみにw