コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 零fighter山鷹隊 ( No.33 )
- 日時: 2015/10/03 02:00
- 名前: ワタル (ID: uFFylp.1)
【罠師 ドミニク】
ジョシュ『爆発だ!煙が上がっている!』
ハシーム『いってみましょう!ジョシュさん!』
ハシームは走った!
ジョシュ『待ってよ!ハシーム!』
黒煙の上がる方へと向かった。
しばらく進むと、赤い煉瓦造りの、立派な建物が見えてきた。
悲鳴が聞こえた!!!
窓ガラスが破られている!
悲鳴はこの中からだった!
ハシーム『ジョシュさーん! 今の悲鳴聞きましたか!?』
ジョシュ『聞こえたさ!行くぞ!ハシーム!』
二人は割れた窓から建物内部に潜入した!
中には遺体が一つ転がっていた。
召し使い風の中年の女性の遺体だ…。
肩を、ひと噛みにされて死んでいる…。
ハシーム『ひぃぃぃぃ …ジョシュさーん ウルフマンの仕業でしょうか?』
ジョシュ『だな…酷いことしやがる』
すると
ドドドドォー!
と勢いよく水の流れる様な音が二階の方から聞こえてくる。
ジョシュ『なんか聞こえる!ドドドって…』
ハシーム『これは?まさしく水の音ではないでしょうか?』
ジョシュ『…行ってみよう!』
ジョシュを先頭に二階へ駆け上がり、音のする方へ向かう。
バスルームだ!
バスタブに水を貯める訳でもなく、蛇口が全開にされ水が流されている。
バスタブに栓はされていない。
ジョシュ『音の正体はこれだ!ハシーム!』
ジョシュは蛇口を閉め振り返るが、そこにハシームの姿はない…。
ジョシュ『ハシーム?さっきまで一緒だったのに!?いない!?』
ジョシュは急に不安にかられた!
アンリミテッドリボルバーを構える。
身体の震えが止まらない。
実際いつもならジョシュはサポート役で、常に頼れる者が決まって側にいた。
だが今はどうだ。
頼りないハシームと、己自身のみだ。
しかしそのハシームもいなくなってしまった。
これは罠だ!
最初から水の音で注意を引き、無防備の背中から襲ってきたのだ!
後ろを走るハシームが狙われた!
その事に気付いたときは既に遅し。
その時、
表の方に何かを探し廻るようにハイビームで巡回する。バリーとトップソンの乗るジープが見えた。
窓を開け叫ぶジョシュ。
ジョシュ『バリー!ここだ!!ウルフマンはここだよー!!!』
しかし
窓ガラスは覗き防止の目隠し(ガラリ)が取り付けてあり、バリー達は気付かずに通り過ぎていく。
ジョシュ『ここだってばー!!』
ガンガン!
ガラリを叩くジョシュ。
その行動も虚しく
バリー達は行ってしまった。
ジョシュは意を決して、姿を見せない戦慄のウルフマンに果敢にも闘いを挑んだ…。
今までにないという程の緊張が走る…。
とにかくバリー達と合流しなくては…。
ジョシュは、これ程までに出口へ続く廊下や階段の道のりが長く感じるものだとは思いもよらなかった。
途中、背中から襲われたであろうハシームの屍が見えたが、恐怖で生死を確認する事も出来ずにいた。
ジョシュは、とにかく外へ出るまでウルフマンに出くわさない様にと祈りながらも、ウルフマンを銀の弾丸で仕留めなければ、という矛盾した気持ちで揺れ動いていた。
ようやく
表に出る。
あたりは静まりかえっている。
ジョシュ『やっと出れた!…おや?誰か遠くに見えるぞ!』
それはアフガンであった。
心強い気持ちになり走り近づくジョシュ。
直後、ジョシュは固まった。
アフガンの身体は不自然に折れ曲がり死んでいる。
ジョシュ『おい…嘘だろ…嘘だと言ってくれ!アフガン!』
ジョシュはアフガンとの出会いのシーンを思い出していた。
あの時、リンゴを投げつけてきたアフガン。
正直取れないと思いながら、手を出したら偶然掴んでいた。
まさかこんな結末を招くことになろうとは…夢にも思っても見なかった。
後ずさるジョシュ…。
ジョシュはレンジャー基地に向かう。
暗闇をナイトスコープで走るジョシュ。
目の前にレンジャー基地が見えた。
灯りがついていた。
ジョシュ『ふーっ 良かった!灯りがついている!誰かいるかも知れない!』
ようやく安堵のため息をつくジョシュ。
しかし
おもむろに背後から妙な気配を感じ振り返る…。
それは!
あろうことか!
戦慄の!
ウルフマンだ!!!
ジョシュは驚きアンリミテッドリボルバーを撃った!
カチッ
弾が出ない!
カチッ
カチッ
弾が出ない!
カチッ
ジョシュ『なんでだよ!』
そう
まるでロシアンルーレットのように…。
ジョシュはハシームから銀の弾丸を受け取った際にシリンダーを回していた。
くしくもそれは不幸を招いた。
偶然にも6発目に銀の弾丸の入った状態でシリンダーの回転はセットされ止まっていた。
最初から5発まではカラのシリンダーである。
ジョシュ『なんなんだよ!!!』
カチッ
バチンッ!!
ジョシュ『ぎゃあああああ!!』
ウルフマンの牙がジョシュを襲う!
ジョシュは耳を噛み切られた!
実際はかすっただけだが、ジョシュは耳を噛み切られる感覚と共に気絶した!
ウルフマンの攻撃は浅かった!
そう
ウルフマンが牙を剥いた瞬間、人間の姿に戻ったからである。
満月は再び、雲に閉ざされたのだ!
故に耳に噛み付いたのは、人間の姿になったドミニクである!
1番驚いたのはドミニクである。
まさか
このタイミングで月が隠れるとは思いもよらない。
ジョシュは自分は喰われたと思い気絶して倒れる。
ドミニクはジョシュの手に握られた、胸糞悪いアンリミテッドリボルバーを蹴飛ばすと、カトレア診療所に向かって走る。
軽い怪我の割に派手に血を流し倒れるジョシュ。
まるで殺人現場の様だ…。
そして
バリーとトップソンの乗るジープもまたハイビームのついたままエンストしている…。
二人共、既にウルフマンに襲われていた。
トップソンのショットガンはへし折られている。
そう
ジョシュが警戒しながら、長い廊下を渡り、長い階段を降りて脱出していた頃には、既にウルフマンは建物の中におらず、バリーとトップソンを襲っていたのだ!
そして
アフガンはそれより早く、
墓場の爆発の直後、ウルフマンの罠にかかり殺されたのだ…。
___カトレア診療所
ふと、ソファーに寝ていたジャンが目を覚まし外に出る。
おもむろに立ち小便だ。
すると
ヨタヨタと歩いてくる人影が!
ジャン『ん!?誰だ!?』
ドミニク『助けてくれ …ジャン…』
ジャン『ドミニクさん!酷い怪我だ!』
ドミニクはパンツ一丁で現れた。
ジャン『それに 服はどうしたんですか?』
ドミニクはエメラルドグリーンのブリーフ姿だ!
その様子を二階の窓から偶然、目撃するカトレア。
カトレアもまた胸騒ぎと共に目が覚めていた。
何故なら
ゾーンの荷物の中に、銀のダガーが3本挿さったガーターベルトが、見つかったからだ。
カトレアはゾーンからウルフマンは銀の武器でしか傷つける事が出来ないという話を聞いていた。
そのガーターベルトには、メアリーと名前が刻まれていた。
カトレアはあまり深く考えず、ゾーンを信じてそれを身につけることにした。
通常であれば、自分以外の女性の名前が彫られたガーターベルトなど、喧嘩の原因となるはずであるが…。
カトレアは、ナイトウェアを脱ぎ捨て、胸を強固に守る革のチェストを身につけると、メアリーのガーターベルトを装着してロングスカートを穿いた。
そして赤い口紅を塗り、入り口に向かう。
すると
ジャンがドミニクを連れて入ってきた。
ジャン『ドミニクさん 歩けますか?足元に気をつけて…』
カトレア『…ジャン…あなた…何をしているの?』
ジャン『あれ?起きてたんですか?…ちょうど良かった カトレアさん…ドミニクさんが…』
カトレア『ジャン…離れなさい…』
ジャン『…え?』
カトレアの緊迫した表情に振り返るジャン。
雲に覆われていた満月が再び姿を現わす。
すると
みるみる身体中から毛が生えて獣の姿に変わる。
ウルフマンはジャンを建物の中に弾き飛ばすとカトレアに飛びかかり外に連れ出す!
鬱蒼と生える茂みの中にカトレアの髪の毛を掴み、ズルズルと引きづり込んだ!
カトレアは一瞬の出来事になすすべも無く声も出せず押し倒される。
馬乗りになり覆い被さるウルフマン!
真っ暗な闇の中、獣の臭いが充満する。
虫の鳴き声しか聞こえない中、カトレアは理性を失い崩壊してゆく……つづく
次回 【撃ち抜かれし銀の弾丸】どうぞお楽しみにw