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Re: 零fighter山鷹隊 ( No.34 )
日時: 2015/10/12 18:19
名前: ワタル (ID: 6PL6dW6J)

【撃ち抜かれし銀の弾丸】

再びウルフマンと姿を変えたドミニク!


カトレアの抵抗も虚しく、銀のダガーは弾き叩かれ、カトレア診療所の玄関部分のウッドデッキにソレは刺さる。

カトレアもまた…ウルフマンの手に堕ちた…。

哀しい事だが、カトレアは特別な訓練をうけている兵士でもない。

ごく一般的な…か弱き女性だった。


まさに絶望…。


ジャンは銃を構えたまま気絶している。
あの一瞬で発砲をしようとしたのだ。
指はトリガーにかけられている。
スリングベルトをタスキ掛けに装備したサブマシンガン"MAC10"。
女子供でも、その気になれば容易に扱えるコンパクトなサイズのマシンガンだ。

一発も撃った形跡はない…。

薄暗灯りの中…。


おもむろに…。


何者かが"MAC10"を拾い上げる…。

『これじゃ撃てない……』

廊下の暗闇から現れた。

浮かぶ見覚えのあるシルエット…。

『安全スイッチが入ったままだ…』

ジャキッ

『ジャン…しかし良い反射神経だ…その意思…しかと受け継いだ…』

歩き、月明かりに照らし出された…。


その姿!A・J!


すると


聞き覚えのある若い女の声がA・Jを呼び止める。


スター『A・J!!…そんなボロボロの身体で…1人で行く気?』

リンクス『ウチらも行くっしょw…人狼を甘く見てると痛い目みるわよんw』

我ながら格好つける登場に"照れ笑い"しながら狭い廊下で鎖鎌の分銅を振り回すリンクス。

A・Jの瞳に輝きの兆しが映る!

と!

次の瞬間!

開け放たれていた廊下の窓から、慌ただしい勢いで何者かが飛びかかる!

ソレは窓際にいたスターに覆い被さる様になだれ込んできた!

まるでスローモーション!
戦慄が走る!!!

すかさず鎖鎌の分銅をその侵入者の首に絡ませるリンクス!

A・Jは一瞬、怯んだがすぐに銃を構える!

が、トリガーに添えた指を離し発砲を留まった!

何故ならその侵入者は、肩を負傷して血塗れになったマービンであった!

マービン『ぐぐぐ オレだ ………ぐるじぃ(苦しい)…ひんぐす(リンクス)…』

しかし"力"を弱めないリンクス。

リンクス『どさくさに紛れて どこ触ってんだよ!この豚が!』

マービンの右手はしっかりとスターの形の良いDカップをワシ掴みにしていた。

スターはマービンに押し倒され、顔を赤らめている。

マービン『ぐぐぐ…まっ…て…こ…これだ これだ』

苦しそうに腹部のベルトに差したリボルバーを取り出そうとするマービン。

後ろに構えるリンクスには、マービンが股間を露出しようとしてるようにしか見えない。

リンクス『さっさと寝ろ!!』

グイッ

マービン『グエ!』

バタッ


マービンは、まるで蟹の様に泡を吹いて気絶した。

リンクス『この筋肉馬鹿の変態が!…しばらくそこで昇天してろ!』

リンクスにはスターが襲われたようにしか思えなかった。

実際マービンは1度、玄関の方から現れ、わざわざスターの寄りかかる窓際から侵入した。
半分脅かすつもりの御茶目なマービンの行動も、リンクスには通じない。

A・J『…こわ』

リンクスの様な狂暴の娘とだけは"結婚しない事にしよう"そう心に誓うA・Jであった。

リンクス『スター しっかり…たてる?』

スター『…ええ…ありがとうリンクス…』

(でも…やりすぎじゃない?)

そう心の中で呟くスターであった。

リンクスは、A・JのMAC10をするりと流れる様に肩から外し奪い取ると、脚をかけ転ばした!

リンクス『悪いけど !そこで大人しく彼らの 面倒見てて!』

そういうと奪ったMAC10をスターに投げ渡すリンクス。

リンクス『スター!走るよ!』

スター『オッケー!リンクス!一気に片付けるわよ!!』

二人は意気揚々と飛び出した!

A・J『イッテテ …クソ』

痛みをこらえながらマービンの持つアンリミテッド・リボルバーを手に取る。
不安げに中身を確認するA・J。

銀の弾丸は全弾込められていた。
リボルバー式の弾丸は薬莢がシリンダーに残るが、弾は一発も使っておらず、全て未使用であった。
A・J『ジョシュの奴 一発も撃ってないのか!?』

正直A・Jは、残りの弾数が一発も残っていないのではないか不安であった。

しかし
銀の弾丸は全て込められ、ジョシュに渡した時の状態でA・Jの元に戻ってきた。

ふと

A・Jに遠い過去の記憶が蘇る。

一片の台詞を思い出した…。

___いいかA・J…お前が銃を選ぶんじゃない…銃がお前を選んだのだ………主が変われば…時に鼻も曲げる……たかが銃とて…魂が宿る事もある……大事に扱え…。

ソレはA・Jの愛用ショットガン通称"マスターキー"の最初の持ち主の言葉だった。
彼はA・Jの恩師。
人喰いグリズリー"レッドヘル"との死闘の際にその命を絶たれた…。

A・J『もうこれ以上…無駄な血は流させない』

アンリミテッド・リボルバーのシリンダーを祈りを込め回した!


ジャーーーーー!

シリンダーは激しく回転する!上方に弧を描き振りかざす…。

そして
満月を狙いソレを構える!
キィィィンン!!

耳に心地良い金属音が静寂の中、鳴り響く。

A・J『ここで すべてを終わらせる!待っていろ!ウルフマン!!』

A・Jは今までの身体の痛みが嘘のように消えさった。

走るA・J!

身体が自然と反応する!

一瞬視界に入った光る物…ウッドデッキに刺さる銀のダガー。
認識せずとも走り様に抜きとった!

手に取り感触と目視でソレが銀のダガーである事に気付く。

そう

戦闘モードのA・Jは意識は後からついてくる。

身体が先に瞬時に判能するのだ!

完全に思考を越えた感覚の世界である!

鬱蒼と茂る木々のなかを突き進むA・J。

何かを引きずった跡だ!

草木を割って突き進んだ跡も見える!
おそらくリンクスの鎖鎌の鎌で刈った跡だろうか!?
ソレは進路を変え森の奥へと続く!

不意に聞こえて来る!銃声!


ババババババババ

ようやく激しい銃撃音とスターとリンクスの姿、そして人間離れした動きの怪物が月明かりに照らされ姿を現わす!

戦慄の!ウルフマン!

翻弄されるリンクスと、スター。

闘い慣れしたリンクスは、ウルフマンを鎖鎌が存分に使える広々としたフィールドへと誘導していた。

逆上したウルフマンは冷静さを失っているのか!?
まんまと自身が不利になる状況下に陥っていた。

しかし

やはりリンクスとスターの武器では有効なダメージは与えていない。

その時
リンクスの鎖鎌が遂にウルフマンを捉えた!

が!
ウルフマンは圧倒的なパワーで鎖ごとリンクスを投げ飛ばす!

リンクス『ギャンン!』

ズシャアアアアアー!

倒されるリンクス!まるで猫の悲鳴だ!

次にスターへと標的を変え飛びかかるウルフマン!

スター『くたばれ!!このぉ!!』

ババババババババ!

ウルフマン『ガガァー!!!』

スター『こいつ!効いてない!!!』

(ヤられる)

青ざめるスターがそう思った瞬間!!

銀色の閃光がほとばしる!


口に銀のダガーを横向きに咥え、アンリミテッド・リボルバーを両手に構えるA・J!

飛びかかるウルフマンの眉間を真っ向から撃ち抜いた!!

ドォ!キューゥゥン!!!!


そう


A・Jの本能はウルフマンの行動をも読み、その俊敏な動きを見極めていた!
スターの背後にギリギリに周り込み、スターに襲いくる瞬間を狙って!

瞬時に予測していて弾道上に構えていたのだ!

この強さこそが!

まさしく!

アタッカー・ジョー!


…やがて

ウルフマンは息絶えると人間の姿に変わる。

そして全裸のドミニクに…。

A・J『…やはり…ウルフマンの正体は…ドミニクだったか…』
スター『ウソでしょ…ドミニク…どうして…』
リンクスは気を失っていた。
一番強がって痩せ我慢していたのは、実はリンクスだったのかもしれない…。


戦慄のウルフマン。

ここに終焉を迎える。

ただ気になるのは、カトレアの姿がない事…。

A・J達一行が気づく訳もなく帰還することとなる…。
翌朝…目覚めたジャンの慌ただしい話を聞くまでは………つづく

次回 【パペットマスター・ギル】どうぞお楽しみに