コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 零fighter山鷹隊 ( No.37 )
- 日時: 2015/12/05 07:13
- 名前: ワタル (ID: L0JcGsyJ)
【恐怖の人形館】
殺気?
妖気?
只ならぬ迫力!
これが先程までの忍者姿の少女であろうか?
リオ『………滅!』
ブゥシャァァァァ!!
ブゥシャァァァァ!!
悲鳴とも取れる叫びにも似た、空気の抜ける様な音。
空中で、身動きを封じられた人形達は、リオの発した言葉と同時に粉砕!
砕け散る…。
辺りに散乱した。
と、次の瞬間、張り巡らせられていた"蜘蛛糸"は…。
シュッ!
シュルッシュルッ!と音をたて、
リオの鉄甲に収納された…。
素材はピアノ線によく似た代物だ。
すると
邪悪な敵の気配は消え…。
川の"せせらぎ"が聞こえる…。
鬼神の姿も消え…いつもの無邪気なリオである。
ミフネ『…これは…何かの呪いか?妖術か?』
頬に傷を負ったまま、滴る血を拭きもせず両手に朽ちた人形を拾い持つミフネ。
リオはキョロキョロと何かを探し始めた。
ミフネ『…りお…どうした?』
リオ『ちょ… 人形が喋ったの…アレ?…どこかいっちゃった?』
ミフネ『…ほう…面白い…喋る人形…そういえば?ジライヤの姿も無い…』
すると、2人同時に異変に気づく!
それは!
空間にできた時空の歪み!
此処とは別の場所を写し出している!
見えるのは、古びた洋館。
そこに向かい二体の人形を引きづりながら、ゆらゆら歩く謎の生き物の姿。
一つは少女の人形。
もう一つは隠れてよく解らない。
黒いローブに包まれ、大きな鎌を持つ…。
よく見れば…その者の身体は宙に浮いており、脚は無い。
おもむろに、引きづられた人形が傾きコチラに向くと、見覚えのある可笑しなお面。
ジライヤだ!
勘の良いミフネとリオは即座に状況を把握した。
リオ『隊長ぉ!見てアレ!』
ミフネ『ああ!わかってる!』
リオ『あきらか罠でしょ?あの動き!あの速度!誘ってる!でもなんで?ジライヤ!人形にされてんじゃん!?』
ミフネ『ああ!十中八九!罠だとしても行くしかない!ジライヤを見棄てる訳にはいかない!さっき襲って来た人形といい…何かある!』
言いながら走り飛び込むミフネ!
リオ『ちょ!隊長ぉ!』
躊躇するリオ。
死神を連想させるソレはふわふわと上昇して二階の窓から館の中に入り込む。
後を追い、館へと走るミフネ。
すると時空の歪みが少しづつ閉じ始める。
リオ『え?これ!?閉じちゃうの!?で!?どうなるの!?』
みるみるうちに小さくなる時空の歪み!
やがてクィーンサイズのベッド程あった時空の歪みもマンホール程に小さくなる!!
リオ『ちょちょ!待って!隊長ぉ!』
急かされるように飛び込んだ!
リオが"飛び込み前転"で中へ入ると、同時に時空の歪みは小さくなり"パチン"と弾ける。
かと思うと、小さな球体に姿を替える。
そしてリオの背後めがけ飛んできた!
リオ『!?』
宙返りで見事かわす!
お見事!
交わしつつも小太刀でソレを斬る!
着地!
リオ『何!?今の!?』
リオには確かに感じた気配と、斬った感触だけが残されていた…。
すると
前方で既に無数の人形に囲まれ斬り合うミフネの姿。
人形はリオが倒した物と同じく小鬼の形相だ!
手には様々な形と大きさのナイフを装備している!
その数!
10!
20!
30!
40!
50!
60!
70!
まだまだ増える!
ミフネ1人に対し総攻撃だ!
次々襲い来る人形達をものともせず斬り払う!
乱舞演武!
一騎当千!
リオも襲い来る数体の人形を斬りながら駆けつける。
時折、
現れる弓を放つ小鬼の人形!
手裏剣で仕留める!
やがてリオも加わり、息の合ったコンビネーション!
気がつけば、周りに100体程の死体の山…もとい!人形の山。
最後に死んだふりして油断させ起き上がり飛びかかる人形も、真っ向から斬り落とす…。
ミフネ『ふーぅ ………』
チン!
納刀するミフネ。
その時、ミフネは奇妙な事に気づく…。
辺りはまるで朝靄(あさもや)がかかり、放射冷却により霜(しも)がおりる。
まるで夜明けの早朝の様だ…。
何故なら、この異空間に入る直前は正午近い時刻のはずであった…。
可愛いらしくも奇怪な小鳥が囀(さえず)る…。
不思議な世界だ…。
リオ『隊長ぉwカッコイイw途中で出した技なに?一気に倒したヤツ?』
ミフネ『…ああ…あれか?"燕返し"と"百歩神剣"のコンボ技だ…因みに…』
因みにコンボ中は無敵状態だ、とウンチクを語るミフネをよそに、リオはクナイを取り出し古びた洋館の二階から侵入すべく外壁に打ち込んでいく。
ミフネ『…話の途中何ですけど…』
見上げるミフネ。
洋館は二階建てだ。
薔薇の茎が密集して絡み、
建物の大半を覆っている。
まるでオバケ屋敷だ。
リオはクナイを等間隔で打ち込むと登り始めた。
リオ『隊長ぉ 登れる?』
ミフネ『ああ 登ってる』
リオが振り向くと、言わずとも行動に移すミフネ。
危なげなく巧みに登る!
二人は二階の窓から侵入した!
すると
書斎の様な部屋。
大きな鳥籠がぶら下がる。
そこには何かが座っていた。
背後に大きな鎌が掛けられている。
すると、
先程の"死神の様な者"が呟く…。
重厚なテーブルを挟んだ、装飾椅子に腰掛け睨みを効かせながら…。
『…人の屋敷に勝手に入るとは…無作法な連中よのぉう…』
フードを被り顔は見えない…。
男か?
女か?
気味の悪い声のトーンだ。
すると
鳥籠に見覚えのある人形が…
可笑しなお面のジライヤだ!
ミフネ『貴様!ジライヤに何をした!何故!オレ達を狙う!』
『コレはコレは 自意識過剰な上に 無礼な客人が訪ねてきたものだ…オホホ』
ミフネ『なにィ!?』
『あの馬車は お前達の物ではなかろう…最初からお前達などに用は無い…オホホホ』
ミフネ『どういう事だ!』
『オホホホホ…私の狙いは…ガン…』
リオ『問答無用!』
まどろこしい2人のやり取りに、痺れをきらせたリオ。
小太刀を抜き斬りかかる!
ミフネ『待て!リオ!お前にはアレが見えてないのか!!』
ミフネの静止を聞かずして、飛びかかるリオは死神を覆う結界に弾かれミフネの方へと飛ばされる!!
ビビビビビビ!
リオ『キャッ!!』
感電するリオ。
ミフネ『大丈夫か!?』
リオ『た 隊長ぉ…えへ』
飛ばされたリオを受け止め、かがみ抱きかかえるミフネ。
リオには青白く光る結界が見えてはいないらしい。
不敵に笑う死神のような者。
『…素直に私のコレクションになって入れば 痛い思いをせずに済んだものを…』
ミフネ『クソッ…舐めやがって…』
結界に護られてさえいなければ…一刀両断に、と思うミフネであった。
『二人とも今一度 出直すがいい 二階から侵入するとは大胆不敵にも程がある…』
カチッ
死神の様な者はテーブルの下にあるボタンを押すと、床に穴が開く!
ピットだ!
※ピットとは落とし穴の事である。
ミフネ『うわ!!』
ドサッ
ミフネ達は一階に落とされた。
すると声が聞こえる。
『私の名はパペットマスター・ギル…ようこそ我が人形館へ…順路に従いお進み下さい…オホホホホ!』
ギィー
バタン!
頭上に開いた穴が閉じる。
そこは薄暗く狭い通路。
背後は壁。
進むしかない。
目の前に垂れ幕が下がり視界を遮っている。
ミフネ『なんだここは…これじゃまるで!"季節外れのオバケ屋敷"じゃねぇか!?』
リオ『隊長ぉ ここどこ?…てか小太刀がない…』
ミフネ『小太刀は二階だ…オレが取り返してやる…ここはさしずめ…地獄のラビリンスってとこだ…』
リオ『…なにそれ?ファンタジー?…妄想??』
ミフネ『…いいから歩け…警戒しろ…五感を研ぎ澄ませ…もっと小声で話せ…』
リオ(かしこまりw)
小声で囁くリオ。
頷くミフネ。
ミフネは抜刀の構えを取りつつ順路に従い"摺り足"で進む。
リオもまたクナイを2本、それぞれ両手に持ち"忍び足"で、お互いの背中を合わせ進む。
視野を全方向に向け、背後を敵に狙わせない為である。
垂れ幕を潜ると、通路の両脇に幾つもの人形が飾られていた。
どれもみな…
哀しそうな表情だ。
戦闘凡用の小鬼タイプと違い、精巧な造りの美しい球体関節人形である。
ギルのコレクションだろうか?
今にも動き出しそうだ…。
リオ『…これって?…』
ミフネ『…かもな…』
お互い考えは、一致した…。
元は皆…
人間だったに違い無い…それもかなりの美少女達だ………つづく
次回 【迫りくる刺客!】どうぞお楽しみに