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Re: 零fighter山鷹隊[参照1000超感謝!挿絵もご覧下さい] ( No.76 )
日時: 2016/03/23 17:17
名前: ワタル (ID: BuoUCzPG)

【聖剣エクスカリバー】



〈エルフの森〉


朝霧(あさぎり)の露(つゆ)が降りる深き森。

光の射す筈のない魔界に、その広大な森だけに光が潤う。
その光は、魔物の浸入を遮(さえぎ)る。

その森は、エルフ族の高等魔法〈光の結界〉に、護られていた。


悪しき心を持つ者は、審判にかけられる。

ペンドラゴンとジョシュは、何事もなく通過。


しかし、エルフの森に足を踏み入れるや否や、アテナの戦士が1人、眩いスパークに包まれ絶命した!

結界は、僅かに芽生えた邪悪な心をも挫(くじ)く。
故に、欲深く野心家の者は、立ち入る事すら、ままならない。
死んだ戦士の名前は、エネゴリス。
元は一個師団の隊長だった。
しかし、部下達の中で彼を支持する者はいない。
腕は立つが、情に薄く、部下の言葉も受け入れず、事なかれ主義者であった。


ペンドラゴンと、ジョシュもここへ来るまでの間、彼の横柄な態度に呆れ果て、皆、無口になっていた。

エネゴリス……安らかに眠れ……。

エルフの森に、埋葬され、安っぽい簡易的な墓を建てる。
とはいえ、土を掘る道具も無く。

ペンドラゴン達は、辺りに生い茂る美しい草木を、剣で狩り、
それらを大量に集めた。
魔界にはこんな美しい草木は存在しない。
ここだけは、異空間。
まさに聖地と呼ぶに値する…。


その中に、エネゴリスの亡骸を葬った。

祈るペンドラゴン達。


しかし、この何気ない行動がエルフの逆鱗に触れる事となる。

森は、エルフにとって命そのもの、その広大な大地は父であり、美しい色とりどりの草木は母である。

それを汚す者には、容赦のない制裁が加えられる。




すぐに異変が起きた……。

木の精霊達が眼を覚ます……。


森が風も無いのに、ザワつき始める……。

ジョシュや、ペンドラゴン達には、只の森のざわめき程度にしか聞こえない。
そのざわめきは、知る者だけに、理解出来る精霊界の言語。

アテナの戦士の1人。精霊使いのエムジェイが突然叫びだした!

『ジュテーム!ジュテーム!』

彼はエルフ語を喋り、精霊と会話が出来る。アテナ軍、唯一の戦士だ。
ハーフエルフの弓矢の達人だ。

※ハーフエルフ:人間とエルフの交配により誕生した種族。知性が非常に高いが、人間より非力。


どうやら精霊達は、侵入者の警告を呼びかけたらしい。
エムジェイは、それに対して〈ジュテーム(エルフ語):敵では無いという旨(友好的を示す挨拶)〉と連呼したらしい。(※設定ですw)



すぐさま、森の番人〈風のシルフ〉が現れ攻撃してきた!

半透明の精霊は見えない刃で、ペンドラゴン達を斬り付け翻弄する。

ジョシュは、レーザーライフルでシルフを撃った!

『やめろ!精霊に危害を加えるな!彼等が来る!』

エムジェイは、叫んだ。

しかし、ジョシュの放ったレーザーは、シルフの身体を突き抜けた。
物理的な武器では、精霊を傷つける事は不可能だ。
ただし、各地に点在する〈マジックウエポン・シリーズ〉と呼ばれる武器ならば、それは可能だ。
マジックウエポンを所有する者が此処にいたならば、精霊達も戦いは挑まない。


エムジェイの心配をよそに、彼等は来た!

天より、舞い降りる天駆ける天馬〈ペガサス〉に乗るエルフの姉妹。
マジックナイト・ホークアイ。
セイントアーチャー・イーグルアイ。


そして荷馬車を駆る。エルフの戦士長グレイルランサー。

彼の荷馬車には、大きな檻が積まれている!


彼等は、ペンドラゴン達を〈敵〉とみなし攻撃に転じる!
怒りに我を忘れている!

イーグルアイの連続して放つ、弓矢の連撃に倒れるアテナの戦士コロッカス。
反撃する間も無く絶命した!
そして、
投げトマホーク使いで、サバイブに長けた身軽な戦士パーリナイト。
血気盛んにフェイントを使いながら、エルフの戦士長グレイルランサーに挑むが、分が悪すぎる。
彼と互角に争えるのは、暗黒騎士カムランか、女将校ヴァルキリーくらいの者であろう。

※サバイブ:サバイバル生活。

グレイルランサーは、パーリナイトの投げトマホークの攻撃を、眼を閉じながら余裕で交わすと、手に持つ重そうなランスを軽々と投げた!
まさかその大型の槍状のランスが、そのか細く華奢(きゃしゃ)なエルフの身体から投げられるモノとは、思いも寄らないパーリナイト。

逃げる動作が少し遅れた!
一突きのもとパーリナイトは絶命した。

相手の呼吸が動いたら交わす。強い者が生きる理由がそれだ。
目でとらえた情報から、動きに転じるようでは、この魔界では、生き残れはしない……。



……そのランスもまた、マジックウエポン。

アルミのように軽い。

しかし強度はダイヤモンド以上だ。
諸説によると、どこかの星の隕石で、神々の手で造られたと聞く。

やがて、
空中を飛び回るシルフに、取り押えられるジョシュと、エムジェイ。
ジタバタと二人は、苦しそうにもがく。
口を塞がれ息が出来ない!
実体のない、シルフの手を振り払おうとも、宙を掴むばかりだ。

グレイルランサーの乗る荷馬車に積まれた檻の中に、上から放り込まれ、蓋が閉じられた!!

残るは、たった1人だけ。

伝説の勇者の末裔!

ペンドラゴン!


散りゆく仲間に、怒りの反撃を開始する!

死線ディープブルー発動!

視界にペガサスを駆るホークアイを捉えた!

ペンドラゴンの青い瞳が、さらに深い蒼に変わる……。

ホークアイは、その蒼い瞳を見るなり、ドキ!として身体の自由を奪われた!

『か!身体が!熱い!……ぐ!苦しい……身体が勝手に……!?』

『!?姉様?……何を?……うぶ!(赤面)』

ホークアイは、背後に乗るイーグルアイに、振り向くと、抱きつき落馬!
イーグルアイも突然の事に驚き、身体の自由を奪われ、理由もわからず一緒に転落した!

そのまま、ペガサスは、主に主従する飼い馬の様に、ペンドラゴンのもとへと引き寄せられた。



ペンドラゴンは心の中で囁いた!
ダンソン!……トゥーザキーー!((古
ペガサスの首をガッツリと捉えると、即座に跨り空を駆け巡る!

結界付近まで上昇して、口惜しがるエルフ達を他所に、その場を飛び去っていく……。

『私は必ず助けに戻る!!今は耐えろ!耐え凌いでくれーーー!!』

絶望して檻から手を伸ばす、ジョシュとエムジェイに、後ろ髪を引かれながらも上昇していく……。


やがて……

天駆けるペンドラゴンの視界の先に、扁(ひら)たい岩山が見えた。
その山は青々と聳(そび)え立つ、頂上付近には、眩い光が放たれていた……。


『もしや……あれが……聖剣……エクスカリバー!!!!』



つづく


次回 【囚われたジョシュ】どうぞお楽しみにw