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Re: 零fighter山鷹隊[参照1000超感謝!挿絵もご覧下さい] ( No.79 )
日時: 2016/04/23 08:22
名前: ワタル (ID: qbtrVkiA)



【散りゆく運命(さだめ)】


まさか、
人間嫌いで有名なエルフ族の勇者、グレイルランサーが加勢するなどとは、思いもよらぬであろう……。

デモンズガーデンは、広大な〈すり鉢状〉になっており、なだらかな傾斜が中央に向かうバトルフィールドだ。

そのど真ん中に、まるでアリ地獄の様に君臨する、暗黒騎士カムラン。

グレイルランサー率いるエルフ軍は、その、すり鉢の外側から攻撃を仕掛ける。
決して、カムランの狩猟場には入らない。

エルフ族の大半は、サモナー(召喚術師)である。

高等精霊の〈ジン〉を筆頭に〈シルフ〉達が魔物の数を確実に減らしていく。

角笛を吹き、仲間を呼び続けるダークフェアリーの存在に気づいた、
ハーフエルフのエムジェイは、〈ウィル・オー・ウイスプ〉を召喚。
ダークフェアリーを仕留め、葬り去った。
増え続ける魔物の援軍が、止まった!



魔軍は、アテナの軍隊を囲み手中に収めたつもりでいたが、さらに周りをエルフ軍に囲う様に強襲され、ジリジリとその数を減らしていく。


既に、戦場は死体の山。

カムランと、ペンドラゴンの一騎討ちだ!

ペガサスは、再び、主である〈魔法剣士ホークアイ〉の元へと戻った。



空から降りかかる火の粉。

隕石の様に燃えながら、堕ちてくるワイバーンの屍。

そして、墜落する空挺機。よもや上空には三機の空挺機しか残っていない。
その一つは、大型の駆逐艦ジークフリート機だ。
後方には、老兵ライジングサンと、ヴィレッジヘルムの乗る老舗空挺機。
型は古いが、良好だ。

しかし、内部では様子がおかしい。
死体が転がる。
そこにヴィレッジヘルムの姿もあった。

そして、メイン砲撃台に乗り照準を合わせる者がいた。
その者は、あろうことか?ジークフリート艦を狙い撃つ!

それは、老兵ライジングサン。
かつては、その名を轟かせた強者。
しかし、若くしてその地位を確立した、ジークフリートに嫉妬していたのだ。

砲撃を受け、虚しく墜落するジークフリート艦。

しかし、すぐに爆発を起こすライジングサンの乗る機体。

ライジングサンの暴走を止めるべく、ヴィレッジヘルムの死に際の抵抗であった。
新型機には、廃止されていたが、型落ちのこの機体は、自爆装置が搭載されていた。
それは、敵に迎撃された際に、設計を敵に盗まれるのを防ぐ為に、備えつけられていたものだった。

墜落するジークフリート艦……。

ジョシュの目の前に絶望の光景が映る。

そこには……、

沈むジークフリート艦を背景に、暗黒騎士カムランの持つ魔剣。

ソウルブレイカーに串刺しにされたペンドラゴンの姿。

発狂するジョシュ。

その叫び声は、届かない……。

心臓を一突きにされたペンドラゴン……即死。

ペンドラゴン『かはッ!!』

血ヘド吐き、力無く投げ落とされた。


ドクン!!


時が止まった…。


ジョシュの脳裏に走馬灯の様に、思い出が流れた。


ノイズが走る。


何かが、囁いた。


それは、リオや苺果と同じ〈鬼神〉の囁き。


その絶望と怒りの感情を好む、怒りの精霊ヒューリーがこの地に彷徨っていたのだ。
これだけのサモナーが、集まれば無理も無い。

招かれざる客を招いていた……。

ヒューリーのいる場所で、行ってはいけない3つの約束がある。
1.極度に悲しんではいけない。
2.極度に怒りを露わにしてはいけない。
3.極度に心の底から何かを怨んではいけない。


ジョシュは、今、その全てが合致してしまった。


ジョシュ『……ウィリリリリリィ!!!!』

奇妙な声を発するジョシュ!カムランに飛びかかる!

エクスカリバーを手にしたジョシュの、まるで鬼神の動き。


カムランは触手で猛攻撃するが、ジョシュに擦り傷おわせる事もなく、一刀両断の元に消滅した。


ジョシュ『ウィリリリリリーー!!!!』

天高く剣をふりかざすジョシュ。


その異様な姿を目撃したグレイルランサーが叫んだ!

グレイルランサー『あれは?ヒューリー!まさか!なぜ奴が宿った!?皆の者!退けーーーー!!!!』

ホークアイとイーグルアイも、ヒューリーの君臨に慌てる。

ジョシュの勝利を讃える様に近づくエムジェイ。

イーグルアイ『ダメよ!逃げなさい!』

その声に振り向いたエムジェイに斬りかかるジョシュ。

地面に突き刺さるエクスカリバーによって地割れが起こる。


グレイルランサー『全軍撤収セヨ!……よもや、奴の後には何も残らぬであろう……』





そして、

骸骨剣士に思いの他、手こずったリンクス。

大型の狼を手懐け、跨り、先を急いだ。


そこで、信じがたい光景を目にする……。

最初に視界に入ってきたのは、そり立つ壁にめり込んだメタボ体型の忍者風の死体?と、崩れた瓦礫の下敷きとなり、意識のないヨシュア。


それから、少し進むとユーイの物と思しき拳銃が、二挺転がる…。


割れた仮面から覗く、可愛いらしい少女が眠る様に死んでいる……。
額には銃弾の撃ち込まれた痕……。
顔は綺麗でまるでまだ生きているようだ。

しかし、それは確実に死んでいた。

そこに、ユーイの姿はない……。

目の前に大きな神殿がある……。

リンクス『……いったい……何があったというの?……他の皆は?……スター!ガンドラゴン!……』

その時、背後から上空より何者かが舞い降りた……。


黒いマントを羽ばたかせ着地……。


リンクス『良かった!ガンドラゴン!無事だったのね!?』

それは、ガンドラゴンではない……。

恐ろしく冷たい視線の悪魔……。

パペットマスターギルの姿であった!!!!

驚いたリンクスの跨る狼が、自己防衛の為にギルに飛びかかる!
リンクスは、振り落とされた後に制するが、狼は言うことを聞く間も無くギルに牙を剥いた!

しかし、

そのギルの持つ鋭い鎌で、一払いにされ、悲鳴をあげる間も無く絶命する。



うろたえるリンクス。

怖いもの知らずのリンクスであったが、その迫力に恐怖する。


ギルは、まるで網に捉えた獲物を見るような眼でリンクスを見下ろしていた……。

ギル『……安心なさい……すぐに、お仲間にあわせてあげますよ……オホホホホ』


つづく。


次回 【遅れてきた戦士達】どうぞお楽しみに