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Re: 零fighter山鷹隊【参照2000突破超絶感謝】 ( No.90 )
日時: 2016/10/28 23:33
名前: ワタル (ID: q6B8cvef)


【招かねざる来訪者】


ユーイは、バラードの死体を後ろ目に見ながら、扉の前に立つ。

鍵穴の隙間から中の様子を覗こうとする、
だが、
罠が仕掛けられている可能性を恐れ、
警戒したユーイは、バラードの頭を持ち上げ鍵穴を塞いだ……。

ドシュ!!

次の瞬間!

とてつもなく、小さな矢が鍵穴から飛び出した!!

死んだバラードの目に突き刺さる!

ユーイ「……あぶな……」

小声で囁いた。

※鍵穴トラップ。鍵穴を塞ぐと罠が作動する。おもに毒矢、毒ガス噴射など……
前職トレジャーハンターのユーイにしてみれば実にイージートラップ(安易な罠)だ。

用心深く、もう一度同じ動作を繰り返すユーイ。

罠は作動しないようだ。

念には念を、ユーイは2度、3度同じ動作を繰り返す……。

何も起こらない。

どうやら他に罠は、なさそうだ……。

ひと呼吸をして安心すると、

ユーイは、バラードの死体を投げ捨て、鍵穴から中の様子を伺う。

すると……そこには氷の彫刻へと姿を変えたヨシュアの姿が見えた!!

ユーイ「……なんなの?この部屋?凍ってる……あれは!?ヨシュア!!」

ヨシュアを見つけたユーイは、喜びの余り何の迷いも無く、強く扉を開けた!!

不思議と鍵のかかっていない、その扉は簡単に開いた!!

ユーイが部屋に入り込むと、瞬時に凍てつく冷気が肌を刺す……。
部屋の中は、ガラス片が散らばり、
まるで鏡張りの様な、氷の鏡面世界……。

ユーイ「う……寒!」

ユーイは、背中にタスキ掛けに担いでいた、小型のメッセンジャーバッグから、2つあるクリスタルの1つを、落とさない様に両手で取り出した。

ユーイ「これね……、これを二つ、ぶつかり合わせれば……」

ユーイは、寒さとも緊張ともとれる、その恐怖にも似た胸の高鳴りと鼓動を懸命に抑えながら、震える両手に抱えたクリスタルを、落とさぬよう慎重に左手に持ち変え、もう一つのクリスタルを取り出すべく右手をバッグに忍ばせた……。

しかし!!次の瞬間!!

床に映る自分の姿に異変を感じ固まるユーイ!

まるで、
鏡面ガラスの様な床に映りこむ自分の姿は、
瞳がクリクリっとしたボーイッシュの可愛いらしいユーイではない!!

ユーイ「何!?……私じゃない!!……え?身体が!?」

鏡面の床に写っていたのは、不気味に笑みを浮かべる邪悪な眼差しのゴーストマンモスだ!

ユーイ「キャア!!」

既にユーイの下半身は氷と化していた!クリスタルを持つ左半身も動かない!!

ユーイ「え?……私の身体が!!」

ユーイは徐々に凍りつく自身の姿に、もがき抵抗しながら、持てる最後の力を振り絞り、もう一つのクリスタルの入ったバッグを掴み、床に滑らす様に部屋の外へと放り投げた!

ユーイがバッグを投げる動作を終えると同時に、その身体は氷に蝕まれていく!!

迫る氷はユーイの右手を呑み込み顔を覆った……。

ユーイ(お願い!だれか!気づいて!)

ユーイの投げたバッグは、半分凍りながら滑る様に階段を転がり落ちていった。

助けに来たはずのユーイまでもが、ゴーストマンモスの〈絶対零度〉の餌食となった。

左手に、アボガド程のサイズのクリスタルを握り閉めたまま、氷の彫刻と成り果てたファイヤーボール、シラヌイ・ユーイ。……魔城にて永眠か?

ゴーストマンモス「アハハハハ!!アハハハハハ!!」

三度(みたび)、ゴーストマンモスの高笑いが、氷の魔城に木霊した……。

本来、主役を張れる実力者達が次々と堕とされていく……。

……。

……。

そして、

円盤型戦闘機の司令室で、モニターを覗き込みユーイの帰りを待つデストロの、顔色が曇る……。

共にモニターの前で待機していたスネークが、デストロに問う。

スネーク「……消えた?ユーイのGPSだけ映らないぞ?どいうことだ?デストロ!?」

デストロ「……。」

スネーク「黙ってないで答えろ!デストロ!」

デストロ「トラブルだ……。」

スネーク「嘘だろ!?プロットマンは何をしている!……プロットマン!応答セヨ!!プロットマン!!……」

デストロ「無駄だ!!……この距離では無線は届かない!!」

スネーク「ちくしょう!……なす術は無いのか!?………」

デストロ「……………」

と、その時、

スネーク「……………」

鳥の鳴き声すらしない、静か過ぎる神殿内部に、重い鉄の様な物を引きづる音が聞こえてきた……。

デストロ「………?」

スネーク「!?」

※補足:デストロ達のいるギルの神殿には、大浴場を除き天井は無い。幾つもの柱が連なる広いフィールドだ。


ガガガガガガ………


ガガガガガガ………


スネーク「……何の音だ?」

慌てて外部モニターに切り替えるデストロ。

そこに、映し出された怪物の姿に息を呑む!!

デストロ「何だ!?アイツは!?……何処から入って来やがった!!!!」


ガガガガガガ………


ガガガガガガ………


それは……、

頭がバッファロー。身体は人型。

体長3メートルはあるだろうか?

さらに、

その身体の2倍はあるだろうか?

巨大な……、

馬鹿でかい〈鉄の斧〉を地面に引きづりながら此方に向かって来る!!

その狂った眼は白く光を発している……、
半開きに開いた口からは鋭い牙が、獲物を欲しがる様に剥き出されていた……。
そしてソレは、
キョロキョロと首を振り、円盤に隠れた我々を探す……。
その牛の首を持つ化物は、怒りながら鼻息を荒げ、獲物を見つけ涎を垂れ流し咆哮をあげた……。

「グオオオオオオオオオオオオオ!!!!」

スネーク「あわわ……あんな化け物……見た事が無い!!……か、身体が言う事をきかない……」


ヘナヘナと腰を抜かすスネーク隊長。


デストロ「……俺が行く……」


スネーク「お、おい……正気か?幾ら何でも、たった1人であのデカブツを殺ろうってのか!?」


デストロは、スネークの言葉を無視して無言のまま、
カールグスタフ無反動砲にミサイルを装填した。
ソレを担ぎ手に取ると、背中に専用の予備ミサイルを2発装備した。

脅えながら、安否を見守るスネークに、デストロは振り返った……。

デストロ「フッ……すぐに戻る……。
それと、温かい珈琲を用意していてくれ……おっと、デザートのティラミスも忘れずにな!!」

そして、
ハッチゲートから、〈牛の化物〉のいるフィールドへと降り立った……。

プシュウーーー(ハッチゲートの開く音)………つづく


次回 【死闘!!デストロvsキングミノス!!】don't miss it !(見逃すな!)