コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

Re: 自然とは知識か魔術か ( No.1 )
日時: 2015/05/28 20:40
名前: るるる ◆D2li.87dWw (ID: 3W5gzPo5)

第一章「就職活動への一歩」
 第一話「自然へ」


「大丈夫です!力を抜いてください」
病院は今忙しい。
というのも、「自然の子」がいるから。
なんか成長が速いから病気だと思われ変な診査をしている。
「じゃあ次に精神ですが、君は何て名前だ?」
「俺は蓮。だから、自然の子なの!病気じゃないって!」
「やはりおかしい。じゃあ、七八?」
「56」
「いいか、すべて忘れるんだ。そんな変なこと」
医者にピシリと言われ何も言えない。
「たまに現れるんですよ、こういう子。確か12年前にも。そして一歳になった途端誘拐されるんだもんなあ」
俺は自然での生活以外もう何でも知っている。
医者だって医者だ。中一になって九九を覚えられない人に怒るくせに、と心の中で愚痴を言う。

母は嫌いではない。憎んでもない。
だけど世の中が嫌だ。

結局診査では何も見られなかった。
だけど母にはこう言った。
「熱などが出たらB病院に知らせてください。電話番号は〜です。
そしてこの子の誕生日の前日12月31日から誕生日の1月1日まで一秒たりとも目を離さないでください」
病院に行ったのは11月24日だった。

そして月は過ぎた。

実際もう準備をしていた。
母がびっくりしないように手紙をベッドに張り布団の中にいた。
少し息苦しかったがそんな時は布団を少し開けた。
ウンメイノトキ。
蓮の体は〈森羅広場〉、自然の中央広場に転がっていた。

Re: 自然とは知識か魔術か ( No.2 )
日時: 2015/05/26 16:40
名前: るるる ◆D2li.87dWw (ID: 3W5gzPo5)

「お!こんにちは!」
「…誰?」
蓮は狐のような吊り上がった眼で睨む。
「君の自然人生を案内するナビ、雪です」
「同じくナビ、桜だよ!」
雪は真面目そうな顔でボブの髪型。水色の髪に水色の目だ。
桜は「いつも笑顔!」と言いたげそうな笑顔で桜という名の通り桜色の髪に桜色の目。髪型は本田圭佑のような感じだ。
「そうか、分かった。で、ここはどこだ」
周りには形がいい噴水やおしゃれな店、そして何か青紫色のもやもやがある。
「うーんと、ここは〈森羅広場〉だね。あのもやもやは就職活動に必要不可欠なもの」
「桜、説明が足りないわ。あそこに活気的な街があるでしょう?あれが」
「〈百花街〉だ!」
すると茶化されて悔しいのか雪の顔がみるみるうちに怒りの顔になっている。
「さーくーらー」
先ほど桜と名乗った男は一体何なのだろう。
なぜかふざけて雪の名前を呼び返した。
「ゆーきー」
桜の方はへらへらしているので雪が握っている手にますます力が入る。
それをつまらなさそうに見る蓮の目もユニークだ。

数分が立って、喧嘩が終わる。

「ふう。でんで、あのもやもやは就職先とかにワープできんの」
「この自然という世界は永遠に続く世界。それを歩きで行ったらかなり時間がかかるからね」
「ふーん。要するにどこでもドアか」
「面白いこと言うな〜。でもさすがに未開拓の地には行けないけど」
「あたりまえだけどね」
今日、蓮が分かったこと。
それは、桜は怖いほど能天気の天然の楽天家だということだった。

Re: 自然とは知識か魔術か ( No.3 )
日時: 2015/05/26 20:39
名前: るるる ◆D2li.87dWw (ID: 3W5gzPo5)

「あ、もう夜だ」
蓮がそういうと、二人とも反射的に空を見る。
太陽の周りの雲がいい感じにライトアップされ、見事な夕焼けだった。
そして、この夜になる間にいろいろ話していた。
まず、桜と雪は2歳。蓮の一個上だ。
どうやら二人とも人間界からきた人で双子。
一卵性なのに全く似ていないのはやはり性別が違うからだろうか。
双子の話をしていると、桜が
「俺、男なのに桜なんだよなあ。やっぱいくじなしだよね」
と、意味不明なことばかりぼやいていたが。
話しているとき、少し森羅広場を歩いた。空気がおいしい世界だ。

「思ったけど…今日の内に就職先決めなくてもいいのか?」
「あ、それは大丈夫。最初はこんな風に自己紹介とか少し説明をやるの」
「じゃあもう一つ。俺、性格とか髪型とか変わった気がするんだけど」
「うーんとな、えーと、それは勝手に名前利用して決まるんだ」
「あなたの名前は蓮。目の色、髪の色どっちも緑になってるよ」
「性格もほがらかになってるだろ?」
そう言いながら雪が鏡を取り出して見せると髪型は桜に似た、色が緑の異国風になっていた。
「てことは…桜と雪はもともと似てたのか」
「その通り。日本生まれだから黒髪黒目のはずなのにこんなのになっちゃた」
雪が微笑みながら言った。
桜も隣で笑っている。
「今日はもう疲れたから、寝ようぜー」
「え…どこで寝るの?」
「宿舎があるからそこに泊まるの。代金とかそういうのはいらないわ」
「ま、自然だからな。そもそもお金とかないぜ」
そうして百花街を歩いていくと

         百花宿舎 泊りの制限なし

そう書いてあるところにでた。
「泊りの制限なしって…」
「座敷童みたいなもん。なんかいつの間にかベッドとか増えてんの」
「まあ、自然はなんでもありよ」
そうして三人は深い眠りについた。