コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: つれづれなるままに、カオス(ミルクソテー風味) ( No.12 )
- 日時: 2015/07/08 20:57
- 名前: コーラマスター ◆4oV.043d76 (ID: OHW7LcLj)
肩にぽんと手を置かれる。そして背後から感じる殺気。
明らかに後ろにいるのはただものではなかった。
竹本さん(やはりチキン)が恐る恐る振り向くと、そこには柄の悪そうな怖いおっさんがいた。多分同年代だ。
スキンヘッドの上に巻いた鉢巻と目元の傷が、カタギじゃない雰囲気をかもし出す。
その上、接触するまで気配を感じさせなかったその技量。まともに戦っても死ぬだけだろう。
しかし少女はにこにこ。死にたいのだろうか。
「おいお前、俺の娘に何してやがる?」
怖い人が竹本さん(ガクガクブルブル)の胸倉を掴む。
「え!?いやそのわたしがチクワでそのですな、ははは」
「ああん!?後ろめたいことでもあんのかてめえ?いい加減にしろよ」
ここでやっと少女が危機を感じたらしい。
竹本さん(もう、死ぬ・・・・・・のか)と怖い人の間に割ってはいる。
「違うの、お父さん。この人は『でんせつのちくわつかい』なの」
少女は竹本さん(生まれ変わったら鳥になりたい)の左手を父に見せ付ける。依然そこにはちくわがはまっている。
「あ、ほんとだ」
少女父は気の抜けた声を上げて竹本さん(そして大空を自由に)を下ろす。
そして頭を下げ、急に詫び始めた。
「すまない。娘可愛さに客人とも知らずに暴挙に走ってしまった。
お詫びと言ってはなんだが、これからうちへ来てくれないか。
こんなところまで連れてこられて腹も減っていることだろう。出来る限り、ご馳走する」
「え、いや、お気遣い無く」
「これを断れると男が廃る。どうか頼む」
そんな誠心誠意で謝られると、こっちが悪かったような気分になる、日本人気質の竹本さん(気が弱い)であった。
ただ、目の前の男がそれだけのために、自分を招待するのでないことは察しがついていた。
『ヤツラ』から村を救うためだ。とはいえ、竹本さん(押しにも弱い)はそのために村に来たのだし断る理由は無かった。
竹本さん(大衆の意見にも弱い)は首を縦に振った。
「では行くとするか」
少女父は、工場内に広がる村の中心部に位置する大きな家へと歩いていった。
少女と竹本さん(胃も弱い)もそれに続く。
さっきまで道に迷っていたはずが、どうしてこうなったんだろう。