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Re: つれづれなるままに、カオス(ミルクソテー風味) ( No.6 )
日時: 2015/07/04 20:44
名前: コーラマスター ◆4oV.043d76 (ID: OHW7LcLj)

女の、声だった。
身体を動かすと死ねるので、目を極限まで右へ移動させる。
そして、竹本さん(生まれて初めて立ったフラグが死亡フラグ)は気付いたのだった。
自分のこめかみに当たっているものが、ちくわであることに。
そう、拳銃などという大層なものではなく、もっと原始的でおいしそうなちくわである。
これでどうやって撃つというのだろうか。やってて恥ずかしく無いのだろう。
ちくわを構えているのは、10代後半くらいの美少女である。
アマゾンにでも住んでそうな、露出度の高い身軽な服を身に着けている。
ただし、黒髪、黒目でどう見ても日本人にしか見えない。
そして、額に汗を浮かべ、ちくわを持つ腕を震わせているのだ。
竹本さん(フラグ立ったんじゃね?立ったんじゃね?)はここへ来て、相手が可哀そうになってきた。

「大丈夫、とりあえず落ち着こうか。深呼吸してみなさい」
竹本さん(立ったら俺の出番無くなるんだけど!?)は腕を広げ、自分のできる最高の笑顔を作った。
が、少女は震える腕でちくわをこちらへ向け、叫んだ。

「黙って!う、撃つっていってるでしょ! そのちくわを渡しなさい!」

全く持って意味がわからない。何故彼女がちくわを欲しがっているのか理解不能である。
空腹ならばまず自分のちくわを食べるであろう。
そしてもっと不思議なことを言えば、目の前の少女の服装が日本人とは思えない。
日本人じゃないのに日本語を喋り、ちくわを要求する。
謎だ。状況が全く呑み込めない。例え呑み込んだとしても喉に詰まる気がする。

「えーまあその・・・・・・」
「黙ってよ!」

少女の叫びとともに、なにかが竹本さん(良かった恋愛フラグではないみたいだ)の頬をかすめる。
つーっと血が垂れているのがわかる。少女は顔を歪める。
な に が お こ っ た ?
命の危険を感じ、思考がフリーズする。
さっき、確かに、見間違いではなく、ちくわからなにか光るものが飛び出した。
それが竹本さん(え?音録れてる?マジで?やっべ)を傷つけたことは疑う余地も無かった。
そして、それをぶっ放した少女——撃ったことで動揺しているようだが——が意思を持ってソレを使用したことは明らかだ。
あのちくわに見える物体はいったいなんなんだ?
もはや竹本さん(結婚までの期限も余裕無い)に先ほどまでの余裕など一片も残っていなかった。
目が360度泳動する。身体が震えているのがわかる。
大丈夫落ち着けこれは夢だきっとそうだそれに相手もおどろいているしだいじょうぶだいじょうぶ

「わ、わかった、このちくわはやる!だ、だから許してくれえええ!」

———気が付くと、左薬指のちくわを抜こうとしていた。