コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: あの瞬間、私は・・・。【コメ募集中!】 ( No.6 )
- 日時: 2015/06/24 16:40
- 名前: てるてる522 (ID: hYCoik1d)
- 参照: http://te5rute5ru2@gumi
〜第1章 もう戻れない...〜
8月。
蝉の声が凄く響いて、遠くは陽炎で揺れている...。
いかにも、夏休み真っ只中というこの時期に、私と唯は電車に乗って、拓斗の居る所へ向かった。
「それにしても、暑いね... 汗が吹き出てきた〜」
私は言った。
「ホントホント〜」
唯も頷いた。
「降りるよ、葉月。」
唯の声で、私は電車のドアの近くへと歩み出る。
降りた駅は前に一度来た時と、何一つ変わらぬ様子だった。
「唯、あの頃と何にも変わってない...」
「うん...」
あの頃と言うのは、小6の頃。まだ12歳だった時だ。
隣にはまだ拓斗も居た。 それまではずっと居た。
「...変わったのは、拓斗が横に居ない事だね。」
私が発した言葉には何の返事も返ってこなかった。
「......葉月、早く行こう。」
そう言って、先に歩き出した唯の背中はやはり何処か寂しげだった。
しばらく歩いて、着いたのは〝墓地〟だった。
「確か、拓斗は奥の方だよね。」
地図を見ながら再び歩き出した。
如月拓斗。
私達の幼馴染で、少し臆病な所もあった拓斗は今はもう〝居ない〟
随分前の出来事だけれど、私は今でも信じられない。
友達が....拓斗が死んじゃうなんて思わなかった。
死んで、静かに横たわっている拓斗は、私が知っている拓斗の寝顔とは違っていた。
初めての経験に、悲しみと恐さと後悔が生まれた。
...拓斗が息を引き取ったと知る、前日。 私は拓斗と言い合いになっていた。
普段はあまり自分の意見を言おうとしない拓斗に、強く言い過ぎてしまった...
今も思い返すたびに涙が溢れてくる。
──悪いのは私なのに...────
それもまだ、謝れていないのに、拓斗は逝ってしまった。
「...葉月。 またあの日の事を思い返してるの?」
唯の声で我に返った。
この事を知っているのは唯だけ。
私の友達も、今じゃ唯だけになっている。
唯だって同じ思いをして、寂しいし悲しいと思うのに、私の事を懸命に励ましてくれたのは今でも鮮明に思い出せる。
私は......駄目な人間だ。
【続く】
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byてるてる522