1.プロローグ現実と、想像と。事実と、夢と。過去と、今とが倒錯する場所。こんな場所だったら、一つくらいロマンチックなことがあったっていいはずだ。いや、そんなことはあまり無い。だって、その素敵な倒錯が起きるのは、相対している人との間だけのことだから。そして何より、私語厳禁というイメージで、近寄り難い場所だから。恋なんて、発生する訳が無いはずなのだ。