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Re: もし、図書館で◯◯とぶつかったら、それは恋の始まりでしょう。 ( No.7 )
日時: 2015/07/21 20:46
名前: 伊吹吹雪 ◆u2YjtUz8MU (ID: DLYJwhjR)

私は座り込んだまま、立ってこちらを見下ろしている、少年を見上げる。

カッコいい……!
頭の良さそうな、端正な顔立ち。
少し浅黒い肌。
上品な服の着こなし方。
きっと偉くて優しい人だ、と私の動物的な勘が言っている!!
そんな方に、私はぶつかってしまったのだ!
謝らなくては……!

というようなことを、コンマ1秒で、私の動物的な脳は考えた。
その結果、神業的な速さで頭を下げまくる、ということになっていた。

「ごめんなさい、ごめんなさいぃぃぃ!」
相手に話す間も与えず、謝りを連呼する(ように見えているだろう)。

「あぁ?」
ひぃぃー!
しかも、無表情で言うので、怖さ倍増、である。

「本当にすみません!今、ここを立ち去りますので!」
私は、本を拾って立ち上がり、この場を立ち去ろうとする。

ところが。
「だから_。」
私の手首をぐいっと掴み、こちらに引き寄せる。

そこで、少年は初めて笑った。

「手伝ってやるって。お前が困ってること。」


??
ええー!

森山佑果、13歳9か月。
人生で初めて行った図書館で、人にぶつかった。

「静かな図書館で、一つでもロマンチックなことが起きると思う?」
起きるわけがない。
少なくとも、カッコいい男子にぶつかったというだけで、何か起きるわけがない。
…と思っていた。

静かで、慌ただしい夏休みが幕を開けたのだった。