コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 壊れた恋の羅針盤。【12歳冬】 ( No.11 )
- 日時: 2015/08/29 13:42
- 名前: ことり ◆E09mQJ4Ms. (ID: /bKE8PZK)
扉を開けると、白銀の世界が広がっている。
そう信じていた私はバカだった。そして、そんなことを言った父も愚かだった。
「お母さん、行こ!」「うん」
どのくらい雪が積もってるんだろう、雪遊びできるかな。
そんな期待を胸に抱いて、その扉を私は開けた。
___波乱万丈な物語が始まると知らずして。
「あれ?お母さん!雪降ってない!」「そうねぇ・・」
降っていないだけではなかった。
積もってもいなかった。
さっき、ぱらぱらと雪が降っていたのだが、すぐ止んだ。
お母さんは知っていたのではないのだろうか。
そんな雪じゃ積もりもしないし、ましてや電車も止まらないことを。
知っていたのだろうか。
父の嘘を。
父の______________浮気を。
「麻里、きっと電車もう動いてるわよ。行くのやめましょ」
だから、必死で止めようとした。
「ね?」
分かってしまったら、見てしまったら、止められないから。
________認めたくなかったから。
「いや!行く!」「でも、もう駅にいないかもよ?」「じゃあ、電話する!」
全て、私が原因。
私が、言わなかったら。
私が。母が。
どっちにしろ、いずれ母は認めざるをえなかったのだ。
「もしもし、どちら様?圭ちゃんに用ですか?」
電話に出たのは父じゃなかった。
はっきりと聞いたのだ、この耳で。
圭ちゃん・・・父のことだ。
「え、誰?」
そして、私は言ってしまった。
聞いてはいけないことを。
母の耳にいれてはいけないことを。
「私?圭ちゃんの恋人」
「え・・・・・恋人?」
その言葉を母は聞いてしまった。
聞いてはいけないその言葉を。
「麻里、電話かして」
静かに冷淡に母はいい放った。
その雰囲気に圧倒されて私はつい電話を渡してしまった。
それが私の最大の人生のmiss,
- Re: 壊れた恋の羅針盤。【12歳冬】 ( No.12 )
- 日時: 2015/09/04 23:15
- 名前: ことり ◆E09mQJ4Ms. (ID: /bKE8PZK)
「かえして圭助さんを。あたしの圭助を」
お母さん、やめて。やめて。やめて__________
*
気づけば自然と足がバス停に向かっていた。
逃げたいんだ。
お母さんから。
現実から。
自分から。
皆から。
私は弱い。
こうすることしかできないんだ。
一番大事なときに側にいれないんだ。
みてるだけなんだ。
所詮、傍観者なんだ。
気づけば自然と涙がでていた。
だめなんだ、私じゃ。
私なんかじゃ。
かわりにならないんだ。
私は、母の中の太陽になれなかったんだ。
「なんで・・・私だって・・・」
私だって、私だって。
お父さんのかわりになりたくて。
お母さんを元気つけたくて。
がんばって、がんばったのに_______
どうして、認めてくれないの?
私じゃ、だめ?
ねぇ・・・
「何泣いてんだよ」
「え・・・?」
気づけば、そこには同い年くらいの男の子が立っていた。
夕日がさして顔がみれない。
「誰そ彼。夕方のこの時間帯を黄昏っていうんだ。
黄昏時は、まぶしくて相手の顔をみることもできない。だから、誰そ彼ともいうんだ。
ま、季節が違うから黄昏もどきか」
「え・・・あ、うん」
「ってまぁ、母ちゃんの受け売り。
あ、そうそう。俺、島田大地。あんたは噂の転校生?」
出会いは突然である。
そして、別れも____