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第一章 涙が出なかった少女の話 ( No.2 )
日時: 2016/01/09 18:14
名前: のれり (ID: R4l9RSpR)

ふわふわ、ぷかぷか、そんな、何も私に触れず、まるで浮いているようです。そんな中、私の世界はずっと真っ暗でした。私が今、どうなっているのか分かりませんが、なんだかざわざわと何かが聞こえてきます。

お母さんの声……それから誰か、聞き覚えのない高い声と、低いどなり声が聞こえてきます。
私は、違和感を感じました。なんだか、お母さんの声はいつもと違うようなのです。いつもは、とても安心する、穏やかな声をしているのに、今は何か引き裂くような、なんとも悲しい叫び声をあげています。

そんなお母さんの声のする方へ引き寄せられるようにふわふわと行くと、お父さんの声も聞こえてきます。
……どうしたのでしょう。お父さんも、ときおりおかしな声を出しながら、悲しそうな声でお母さんと話しています。

私はそんな二人の声を聞いていたら、なんだかとても悲しくなりました。

お父さんとお母さんを喜ばせたくて、出てきたのに……。
どうして、こんなにも悲しそうな声で、私の名前を呼ぶのですか?
愛華、愛華となんでそんな風に……私を……。

『出てこなければよかった』

しだいに、そんな気持ちが胸を覆っていきました。

私にはどうすることもできません。私が、こうしてお母さんから出てきてしまった以上。
私は、そんな悲しそうな声を頼りにお父さんのそばに寄り添いました。
すると、さっきまでのふわふわとした感覚はなくなり、カチッと、なにかが収まるような感じがしました。

こうして、お父さんにくっついたはいいけれど、お父さんとお母さんが話していることはまったく理解することはできませんでした。