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ウサギの素顔 ( No.1 )
日時: 2015/08/11 09:26
名前: 希柳 (ID: izEMmXXq)

桜が散り、海の季節がすぎ、紅葉がきれいに見える季節のこと


「みーせーろー!」
「いーやーだー!」
「いいじゃん!」
「嫌なものは嫌だ!」


校庭のど真ん中で叫ぶショートボブの少女とウサギの被り物をつけている少年はこの学校の名物だ。

「なんでよ!」
「なんでって、嫌なんだよ!」
「いいじゃん!夏もつけてて暑いでしょ!」
「暑くない!」
「外すくらいいーじゃんか!」
「嫌だ!なんでそんな外したがるんだよ!」
「え?だってイケメンかもしれないじゃん!」
「尚更嫌だわ!」
「わかった!じゃあ顔に期待しないから!」
「ほんとか?俺の顔があの不細工で有名な樺先生でもお前はいいんだな!?」
「それは嫌」
「なんだお前!」
「だって樺先生は嫌だよ!」
「俺だって嫌だけど!」
「樺先生よりは顔いいんでしょ!みせてー!」
「嫌だ!諦めろ!」
「はっ!もしかしてイケメンすぎて顔が見せれないってこと!?」
「めんどくせーな、お前!」
「んな、水臭いなぁー。私はイケメン大歓迎だよ!」
「もう疲れたわ!」
「隙有り!」
「うわっ!」

少年の頭からウサギの被り物がとれ、暫しの沈黙が流れる。

「………。」
「………。」

そして沈黙の中また少年の頭に被り物が戻る。

「……さぁーってと、教室戻るか!」
「だから嫌だったんだよ!」
「いやいや、樺先生よりはかっこいいよ?」
「じゃあ普通の高校生と比べて不細工?」
「あはっ!早く教室戻らなきゃね!」
「もう、嫌いだお前!」


君が私を嫌おうが

お前が俺を嫌おうが


この気持ちは嘘じゃない。


                      ウサギの素顔  完