コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

気持ちの答え ( No.4 )
日時: 2015/11/10 21:23
名前: 希柳 (ID: mNBn7X7Y)

私、笹塚捺には幼馴染みがいる。

川崎龍、学校で知らない人はいないというイケメンなやつ。

私は毎朝龍と登校している。
答えはいたってシンプルで家が隣だから。
それ以外に理由なんてない。

「おはよ、龍。」
「んー、はよ。捺」

そんな会話はいつもの事で私たちはゆっくり歩き出す。

「寒くなったねぇ。」
「だな。そういえば捺、誕生日もうすぐだな。」
「龍もね。」

他愛もない話をしてるとあっという間につく。

「じゃ、帰り。」
「おぅ。ちゃんと待ってろよ。」

組が違う私たちは毎日帰りの約束をして別れる。
そのままいつもなら教室に行くのだが、今日は違った。

「ちょっと笹塚さん、いいかな?」

3人の女子が私に話しかける。
確か龍のファンの子たちだ。
断る理由もない私はおとなしくついていく。

連れていかれた先はお決まりのトイレだった。

ばしっ!

壁に押されたかと思ったらいきなり頬を叩かれる。

「痛い。」

そういえばギラッとにらんでくる女子たち。

「あんた調子のってんじゃねぇよ。」

聞こえたのは低い声。

「あんた龍様の幼馴染みか知らないけど、迷惑なの。」
「そうよ!龍様が可愛そうだわ!いつもあんたみたいな奴なんかといて!」
「ほんっと迷惑よ。龍様に近づかないでくれない?」

ギャアギャアとなんか言ってくる。
迷惑、か。どうなんだろう。龍は迷惑だと思ってるのだろうか。

「わかった!?もう近づくなよ!?」

そんな台詞を言って彼女たちは教室に戻っていく。
シーンと静まりかえったトイレ。
私も頬を水で冷やしてから教室にもどった。


1日なんかあっという間ですぐ帰りになった。
朝の彼女たちに睨まれながら龍と約束している場所に行く。

その場所についたがまだ龍は来ていなかった。
暫くして遠くから女子の声がする。

「ねー、龍君。一緒にかえろ?」
「龍君。」

その中心にいたのは紛れもない龍だった。

「だーかーら、俺は捺と帰る約束してんの。」

その言葉で朝の言葉を思い出す。
迷惑、かな。
龍も私以外の子と帰りたいかな。
龍、どうおもってるんだろ。
段々と悪い方向に考えが進んでいく。

「捺?」

龍の声にハッとして前を向く。

「どうした?」

心配そうな龍の顔がある。
いつの間にか女子たちは撒いたらしい。

「・・・なんでもない。帰ろ。」

私はさっきまでの考えを振り払って龍の隣に並ぶ。

ゆっくりゆっくり家まで歩いていく。
でも考えるのはさっきの事ばかりで龍との会話は頭に入らなかった。

あっという間に家の前につく。
バイバイと龍に言おうとしたら手を引かれた。

「なぁ。何があったの?さっきっから捺、変。」

真顔で問われる。

「………。」
「言ってくれなきゃ、わかんない。」

言ってもいいだろうか。

「龍は、私と帰るの迷惑?」

思いっきりそう聞く。
おそるおそる龍を見ると龍は訳わからないと言っているような顔をした。

「んなわけないじゃん。なんで急にそんなこと聞くの?」

その言葉にほっとする。

「迷惑なわけないでしょーが。俺はいつだって捺と一緒にいたいからな。」

ふっと笑って私の頭を撫でる。

「そっか。」
「捺は迷惑?」
「全然。」

即答すれば嬉しそうに龍は笑った。

ドキッ

龍を見て高鳴る心臓。

この気持ちが何なのか分かって、二人の手が繋がり始めるのはこれからすぐの話。

fin.