コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

Re: 俺の部活の活動場所が屋上な件について ( No.1 )
日時: 2015/12/04 21:36
名前: 彼方 (ID: dzyZ6unJ)

「平太ぁー、お前何部入んの?」
 朝のホームルーム前の時間、高校で最初の友達の天原 啓哉が思い出したように言う。
 俺は深く考えずに呟いた。
「何部って……、何部入ればいいと思う?」
 すると啓哉は「おま、自分で決めろよって」と笑いだした。

「それか何?陸部でも誘ってやろうか?」
 啓哉は陸部だ。啓哉の話を聞く限り、なかなか青春な感じがして楽しそうだけど、面倒そうだ。
「陸部かー……。何か大変そうだからパス。もうちょい楽そうなとこねーの?」
 やる気ないのがありありと分かる声で俺がぼやくと、冗談めかして啓哉は言った。
「じゃあさぁ、『社会問題研究部』ってどーよ?」
 俺は思わず眉をひそめた。
「え?あの活動内容も活動場所も部員も謎のアレ?やだよ、何か怖えじゃん」


「社会問題研究部」、それは活動内容、場所、所属している部員など、ほぼ全てが謎の部活だ。
 唯一知られているのが、文化祭で廊下に壁新聞やポスターが、申し訳程度に貼られるのみ、らしい。
 社会問題というのは例えば中東の紛争だったり、少子高齢化だったり、SNSだったりについて、だ。
 俺はまだこの高校で文化祭を経験していないから分からないが。

 ただ、その壁新聞やらポスターの出来が先生方曰くとんでもなくいいらしく、その部活に入っているだけで内申が大体の教科は上がるという噂もある。
 なので、それ目当てにこの部活を探し回る輩も多いらしい。
 だが、入るには活動場所を探さなくてはいけないらしく、また見つけても部長(不明)に認められなくてはならないらしい。
 だから入るのに成功したという話は少なくとも1年の中では聞かない。

「いんじゃね、マジで。だって入るだけで内申上がんだろ?面倒くさがり屋のお前にはピッタリじゃねえか。入るだけで活動しなけりゃいいんだしよ」
 笑いながら言う啓哉。
 ____まあ確かに、入るだけで内申が上がるのは魅力的だ。
「まあいいかもしんないけど、そもそも見つかんねーよ、社会問題研究部」
 話を持ちかけた啓哉も真剣に勧める気はないらしく、「まっ、そーだよな」と言った。

 そこでタイミングよくチャイムが鳴り、啓哉は「陸部も考えとけよ」と言って席へ戻っていった。
 ____社会問題研究部、か。いいかもしれない。
 もしその部活が見つかったらの話だが。