コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 我ら変人部っ! ( No.4 )
- 日時: 2015/12/04 21:47
- 名前: 彼方 (ID: dzyZ6unJ)
そう。天使、即ち幼女が。
華奢な手足に平らな胸、潤んだ瞳、薄い唇、そして胸ほどもない低い身長。どこからどう見ても幼女だ。しかし、上履きの色が示すのは、最高学年の青。
こんな3年生がいたのか、と俺はそれまでの高校生活をとんでもなく損していたような気分になった。
高校生活はまだたったの一ヶ月だが。
「わ!びっくりしたー、哀衣先輩かー」
遅れたぞという言葉、そして佐渡先輩が驚かない、ということはこの先輩もこの部活、社会問題研究部の部員なんだろうか。
そこまで考え、俺はある決断をした。
「あのっ!」
俺の声に3人とも振り向く。
「何だ?というかこの一年、誰だ?」
ロリっぽい三年生が眉をひそめて言う。ロリにしてはハスキーな声だった。ギャップがいい。
眉をひそめた顔もその可愛い顔に似合わずギャップがまたいい。ああ、幼女最高。
いや、この人実際は三年生だから俺より年上なんだけど。
「えっとね、ピッキングが得意なふつーの一年生君。入部希望者じゃないんだよね?」
……そんなことを言われちゃ、入部したいなんて言えないじゃないか。
「ああえっと、はい」
するとそのロリっぽい三年生は「ほう」と相槌を打って少し考え込んだ。
その外見とは裏腹に男のような言葉遣いも萌える。つまるところ幼女は天使だ。
いや、俺より年上だけど。
「だが、ピッキングが得意な時点で普通ではないだろう。それに、あくまで私の想像だが____」
不意にロリっぽい三年生は俺に視線を移した。やべ、にやにやしてた。俺は急いで口元を引き締めた。
ほんとなんでこんな趣味してるかな、俺。もう少しノーマルな趣味だったら誰かと共有できただろうに。
ピッキングが好き、というのも大概だが、ロリコンなんて性犯罪者予備軍のレッテルを貼られて終わりだ。
ロリっぽい三年生はなんでもないような顔をして、爆弾を落とした。
「キミ、あまりおおっぴらにできない趣味、あるいは嗜好があるだろう?」
「は!?え、えっと、な、何を言って____っ、いっ……てえ……っ」
焦り過ぎて舌を噛んでしまい、あまりの痛さにしゃがみ込む。
____怪しすぎだろ、俺。やらかした。
「へえ〜」という声が頭上から降ってきた。
獲物を見つけた肉食獣を思わせる、嗜虐心が見え隠れする声だった。佐渡先輩だ。
「なになにー?君、そーんないかにも草食系!って顔して、どんな趣味してんのー?ちょっと教えてよ〜」
「そ、そんな趣味ありませんって!!」
慌てて立ち上がりながらそう言うと、佐渡先輩は「ええ〜」とにやついた。絶対佐渡先輩ドSだ。
「……もしかしてホモか?」
前園先輩が表情の薄い声で爆弾を落とした。みんなしてそんなに爆弾を落とさないでくれ。
「はあっ!?いやいやいやいやっ、普通に俺、恋愛対象女ですよっ?」
「そうか……」
ロリっぽい三年生が何故か残念そうに呟いた。嫌な予感がしたが、あえてその予感を無視することにした。
「ならさっさと言って?あたし知りたいのー!」
「いやでも、その……」
俺が口ごもっていると、佐渡先輩は一度大きくため息を吐いて、にこっと笑って俺を見た。ただし、目は笑っていない。
その表情のまま、異様に明るい声で俺に言った。
「いいじゃん?君のアブノーマルな趣味教えてよーっ!拒否権なんて君にあると思うの?」
情けない話だが、その時の佐渡先輩が怖すぎて、思わず俺は「ないですっ、すみませんっ」と謝ってしまった。
「じゃあ言えるよねえ?君の趣味。答えて?」
笑顔なのに威圧するなんて、並大抵の人じゃできない。
何だよこの人誰にでも優しい生徒副会長じゃないじゃん。
「別に変な趣味でも引かないぞ。マゾより気持ち悪いやつなんてそうそういないだろう?それに、誰かにバラしたりも絶対にしない」
ロリっぽい三年生が俺を思いやるかのように言った。
視界の端でマゾ先輩が嬉しがってるのが見えて非常に気持ち悪い。
俺はもう逃げ場はないと思い知り、腹を括った。よし、言うぞ、もうどうにでもなれ。
「えっと、すっげえ言いたくないんですけど…………。俺、ロリコン、なんです」