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Re: TWINアイドル ( No.2 )
日時: 2015/08/17 17:50
名前: 久遠 ◆rGcG0.UA8k (ID: MLajaLHR)

ぷろろーぐ

とある休日のよく晴れた日。
碧音と朱音は2人で服を買いにショッピングモールに来ていた。

「よーっし、今日は沢山買おっと!」
「それはいいけど、お金使いすぎないようにね」

はしゃぐ朱音に対して碧音は苦笑混じりにそう突っ込む。
言い忘れていたが2人は姉妹なのだ、朱音が妹で碧音が姉である。

「分かってるよーっだ! だから早く行こっ!」
「はいはい……って手を引っ張らないでよ!」

碧音の抗議など聞こえないかのように朱音は店内へと足を早めて。
そのまま服を見たりアクセサリーを見たりするうちに時間は過ぎていった。

「うーん、次はどこ見よっかなー」
「朱音、ちょっと待って……休憩しよ?」

何軒もの店を朱音に引かれるままに、3時間以上連れ回された碧音は体力の限界だった。

「もーっ、しょうがないなぁ」

ムゥと頬を膨らませる仕草をする朱音だったが、近くにあったベンチに座る。
それを見て碧音はホッと息を吐いてから朱音の隣に座った。

「ごめんて、でも有難う」
「いいよー、この後もまだまだ付き合ってもらうから!」

そんな会話をしつつ休憩をとっていると、不意にスーツ姿の男性が近づいて。

「すみません、お嬢さん方少しお時間いいでしょうか?」
「えっ」

急に声をかけてきた男に碧音は不信感を抱き困惑する。
それに気づいたのか男は懐から1枚の紙を取り出すと2人にに手渡した。

「芸能プロダクション……?」
「はい、わたくしはそこに務めていまして……お2人をスカウトさせて頂きたく思い声をおかけしました!」

言い切るなり頭を下げる男に碧音はすぐ断ろうとしたが……それよりも先に朱音が立ち上がって、

「あたし、その話詳しく聞きたいです!」
「つまりOKって事ですか! 有難うございます、詳しい事は事務所で話すので……」

と、碧音が何かをいう前にトントン拍子に話は進んで。
ハッとした時には車に揺られて事務所に向かう最中だった。

「あ、あの私はやっぱり……」

無理です、そう続けようとした碧音の腕を朱音が引く。

「お姉ちゃん、これはチャンスなんだよ!」
「チャンス……?」
「だってお姉ちゃん今まで1度だって彼氏とか出来たことなかったし……デビュー出来たら運命の出会いとかあるかもじゃん!」

朱音のいい分に呆気にとられる碧音。
まさか、そんな理由でOKしたというのだろうか。
そう考えて碧音は言葉を失った。

そうこう小声で会話するうちに車は停止して——

「つきました、ここが事務所です!」

言われるままに車から降りた2人の前には10階建て程のビル。
想像よりも遥かに大きかった事務所に碧音は血の気を失い朱音は満面の笑みを浮かべていた。

「中へ案内しますんでどうぞー」

男は言うなり2人をビル内へと案内して、受付で手続きを済ませてエレベーターへ乗り込む。
その間に会話はなく無言のままエレベーターは10階で止まった。

「社長ー新人候補連れてきましたーっ」

意気揚々と言ってからドアを数度たたき、部屋へと入る。
その後から朱音、碧音の順で続いて——

部屋の中央で鎮座する黒髪で整った顔立ちの男性と目が合った。
その瞬間、2人はその男性からいい知れぬオーラを感じて息を呑んだ。

これがTWINアイドル誕生まじかの瞬間である。