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コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 君に捧げた初恋 (処女作) ( No.9 )
- 日時: 2015/08/21 08:44
- 名前: 華憐 (ID: m.v883sb)
▽ 第2話 事件
5月になり、慌ただしかった新学期も
少し落ち着きを見せ始めていた。
新入生達で、ごった返していたキャンパスの中も
どこかそれなりにまとまってきた雰囲気がある。
一方、私はというと放課後の資格講座も始まり、
なかなかハードな毎日を送っていた。
ゼミは相変わらず、何事もなく、
静かに淡々と授業が進められるだけだった。
私は資格講座、有紗はサークル活動が本格化してきたこともあって、
以前のように4人で集まることもなくなっていた。
「おはよーさん」
涼子の声で、半分寝起きだった頭が、シャキッと覚めた気がした。
土曜の朝からの授業は、想像以上に身体が重い。
「えらい眠そうやんか。初音、朝苦手?」
「そういうわけじゃないけど、やっぱり土曜日っていうのがね。
体内時計が起きないっていうか…」
「あー、なるほどな。確かに、人も少ないしなぁ。」
涼子の言葉通り、教室を見回すと、集まってきている生徒は、
普段の放課後の授業よりもグッと少ない。
ウーっと伸びをして、自分の席に向きなおろうとした時、
視界に、教室に駆け込む彼の姿が飛び込んだ。
そういえば、前回の呑み会以来、彼とは話をしていない。
こうして同じ授業にいても、目すら合わせたことがなかった。
有紗から、すでに彼と美乃里は何回かデートしてるとか、
彼は2年付き合った彼女がいて、最近別れたとか、
細かな話は聞いてこそいたが、出会って1ヶ月経った今も、
彼のことはほとんどわからずにいた。
あれから、あの三角形はどのように動いたのだろう。
やはり吉野くんと美乃里は、相当仲がいいのか。
でも、有紗は黙って引き下がる性格でない。
もしかしたら、裏でアプローチをかけているかもしれない。
集中集中。私は首をぶるっとふると、
そう唱えるように頭で呟きながら、ノートをめくった。
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