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コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 君に捧げた初恋 (処女作) ( No.13 )
- 日時: 2015/08/21 22:09
- 名前: 華憐 (ID: m.v883sb)
翌週、いつも通り、ゼミの授業がはじまった。
みんなそれなりに打ち解けたのか、これまでよりも、
少しざわざわと騒がしい気がする。
ふと横の空席に目をやる。
いつも隣で声を張り上げて出欠を取る有紗は、いない。
「有紗はお休みなので、私が出欠とりまーす」
私は、平静を装い、精一杯、明るく振る舞った。
「あいつが休みとか珍しいな。風邪でもひいたの??」
吉野くんが身を乗り出して聞く。
「体調不良で実家帰っちゃったんだって。すぐ戻ってくるよ」
私がそう返すのに、ふーん、と吉野くんは頷くと、
「じゃ、しばらくゼミ長って呼ばせてもらうわ」と、笑った。
救われた、と思った。
吉野くんの笑顔のおかげで、私も力を入れることなく笑うことが出来ていた。
と、同時に、脳裏で密かに考えていたことが、浮かび上がってきてもいた。
有紗に頼まれたことだ。
吉野くんが、有紗のことをどう思っているのか。
吉野くんは何を考えているのか。
有紗は今、1人で何を思っているのだろうか。
本当に、私以外…吉野くんには、何も話していないのだろうか。
今、彼女が必要としている人は、誰なんだろう。
私は、美乃里といつも通り、ふざけあっている吉野くんをそっと眺めながら、
今日こそは、何かしらの連絡をしようと、誓った。
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