コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 君に捧げた初恋 (処女作) ( No.14 )
- 日時: 2015/08/22 11:48
- 名前: 華憐 (ID: mJV9X4jr)
ぼーっと、何も映していないiPhoneの画面を見つめる。
どう切り出せばいいのか、わからなかった。
あれから、有紗からは、なんの連絡もなかった。
もしかしたら、吉野くんとのことも、忘れているかもしれない。
そう、この後に及んで、自らの逃げ場を求めている自分を、私は、呪った。
[おつかれさま。急にごめんね。]
[ひとつ聞きたいことがあるんだけど、]
[吉野くんは有紗のこと、どう思ってるの?]
[明日の朝、返信があることを期待して寝ます、おやすみなさい。]
1語ずつ打ちながら、ずるいなぁと思った。
いつもそうなのだ。私は、真面目な話を
真面目に締めることができないのだ。
画面を閉じ、どさっとベッドに倒れ込む。
有紗がいない今、もはや私が吉野くんに聞いたことは、
意味をなさないのかもしれない。
そもそも、吉野くんから返事を受けたとして、
私は、どう反応すればいいのだろう。
私は、一瞬芽生えた使命感のようなものが、
まるで嘘っぱちだったのかもしれないと思った。
あの三角形のどこにも、交わりえない自分が、
今その1辺に手を伸ばそうとしていることに、
私は、少し喜んだのだろうか。
私の使命感は、その喜び故だったのか。
つくづく、自分の愚かさを痛感して、私は、なかなか寝れなかった。
*
− 翌朝。
iPhoneの画面が通知で埋まるのを、薄目で確認した私は、
身体を起こすと、ゆっくり画面を開いた。
吉野くんからの返事を、恐る恐る開く。
[おはよう]
[有紗のことどう思っているのかって、]
[それは恋愛的なやつ?]
[200パーセントない]
[なんでそんな女子中学生みたいな甘酸っぱいこと聞くん]
[俺も初音ちゃんが起きたら返信があることを期待して二度寝します]
ふーーーっと、深い息を吐く。
200パーセントない。
彼がいつものおどけた調子で言うのが目に浮かんだ。
[わかった、ありがとう。ほんと急にごめん。]
[前から聞こうと思ってたけど聞けなかった]
[ほんと、女子中学生みたいだよね。(笑)]
当たり障りのない返信をしながら、
私は、どこかほっとしている自分を、また、呪った。
ブー。通知が鳴る。
彼も起きているらしかった。
[有紗に頼まれたん?]
[お前も大変だな(笑)]
[俺も聞きたいことあるから、来週話そ]
聞きたいこと。
なんとなく、検討はついていた。
吉野くんは有紗に連絡したのだろうか。
いや、有紗の方が、先に吉野くんに助けを求めたかもしれない。
それどころか、有紗の方で、吉野くんに真意を聞いているかもしれない。
私は、昨日まで心の奥で湧いていた小さな喜びが、
一気に不安とめんどくささに変わっていることを感じていた。