コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 君に捧げた初恋 (処女作) ( No.18 )
- 日時: 2015/08/26 09:55
- 名前: 華憐 (ID: m.v883sb)
[どうしたの?]
私は、とっさに返事を返した。
同時に既読の文字が浮かぶ。
私は、速る気持ちを抑えるのに必死だった。
[飯食お]
[食堂でいい?]
短く、そっけない返事。
それでも、なぜか嬉しかった。
私は、返信を打ちながら、足を早めた。
とにかく、会って話がしたかった。
それが誰でも良かったのかは…わからない。
ただ、彼がそこにいることが、嬉しいのは、心臓の鼓動が示していた。
彼の姿が見える。
私は、笑顔で手招きする彼に、手を振り返すと
「お待たせ」
「悪りぃな呼んだりして。友達とかいいの?」
「大丈夫、ひとりだから」
言いながら、彼のとっていてくれた席に腰を下ろす。
「聞いていいのかわかんないけどさ、」
吉野くんは、一瞬、私から目をそらすようにして、言った。
「有紗、なんかあったの?」
やっぱりな、と、
私は、ここに来るまでずっと覚悟していたことを聞いて、
腑に落ちる思いがしていた。
「言えないことならいいよ」
今度は、まっすぐ私の目を見て、吉野くんが言った。
その目を信じようと思った。
いつのまにか、流れるように言葉がでてきて、
私は、すべてを話していた。
有紗に頼まれたこと。
有紗を遠ざけていたこと。
有紗の吉野くんへの思い。
あの日の電話のこと。
そして、教授に聞かされたこと…。
吉野くんは、はじめは、へーとか、ええー、とか、
細かに相槌を打っていたものの、
次第に静かに神妙な面持ちになっていった。
「お前、ほんと大変だったんだな」
話し終わった私の目を見て、
精一杯笑っていう吉野くんに、目元が緩んだ。
「まあでも、そんなに思い詰めなくてよくね?
あいつはあいつで、考えあるんだろうしさ。
ついていきますよ、ゼミ長!」
吉野くんはそう言って立ち上がると
「飯買おうぜ」と、笑った。
あー、この間もそうだったな、と、
吉野くんの後ろ姿を追いながら、思い出した。
いつも、彼が笑って私を救ってくれるんだ、と。