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- Re: 後輩くんの甘い誘惑 ( No.13 )
- 日時: 2015/08/24 23:32
- 名前: 久遠 ◆rGcG0.UA8k (ID: lFtUuTXy)
凛side
先輩と別れた帰り道。
ふとさっきまでの自分の態度を思い出して情けなくなる。
「嫉妬とか……かっこ悪っ」
思わず出た言葉には覇気がなく自分の言葉じゃないみたいだった。
かっこ悪いけど、それでも……先輩が他の男に笑顔を向けるのが耐えられなくて。
無性に悔しくて、腹が立って。
気付いたら先輩の腕を引いていた。
「先輩の腕……細かったな」
初めて触れた腕は凄く細くて、折れてしまうんじゃって思ったのに。
そう感じたのに、力を緩めることが出来ないなんて。
男として情けないし、こんな事じゃ何時までたっても振り向いてもらえない気がした。
「付き合えるだけでいいって思ったけど……やっぱり僕ばかり好きなんてズルイですよ」
僕らしくない弱気な呟きが先輩に届くことはなくて。
冷たく吹いた風によってかき消された。
*
弱気な気持ちを抱えたまま家に着くと、直ぐに自室に行きベットに倒れ込む。
疲れていた訳じゃないが、どうにも気持ちが前を向いてくれなくて溜息が出る。
先輩はもう家に着いたかな……?
気になって携帯を開くけど、新着メールなんかがあるはずもなく。
僕から打ってもいいですよね? なんて思いながら先輩宛にメールを送った。
内容は差し障り無い普通のこと。
無事に帰れましたか? だとか、そういう類のもので。
返信が来るまでの間、手があいた僕は体を起こして、取り敢えず制服を着替えることにした。
「そう言えばもうすぐ体育祭か……」
先輩が運動苦手なのは今日の一件でよく分かったけど。
どうせ参加するなら良いところを見せたい、そう思ってしまうのが男というものだ。
「先輩ほど苦手なわけじゃないけど得意でもないんだよなー」
自慢じゃないけど、僕は勉強は出来るほうだ。
でも、運動は体力がいるせいか苦手な種目の方が多かったりする。
……疲れるし、汗かくから嫌って言うのもあるけど。
でも、何かやる気が出るような……御褒美でもあったら違ってくるかもしれない。
「いいこと思いついた」
御褒美を先輩にねだってみれば良いんだ。
仮にも彼氏なんだしきっとこのくらいの御褒美なら許されるはずだ。
そうと決まれば先輩にメールして……。
自分の思いつきに笑みを浮かべながら、体育祭へ向けて気合を入れ直すのだった。