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- Re: 後輩くんの甘い誘惑 ( No.15 )
- 日時: 2015/08/25 22:13
- 名前: 久遠 ◆rGcG0.UA8k (ID: fHjxvMJe)
『燃える体育祭』
凛side
太陽が暑いくらいに照りつける日曜日の早朝。
僕は静かにやる気で満ちていた。
いよいよ体育祭本番だなー。
そんな思いを抱えながら、炎天下の空の下体をほぐす。
珍しくやる気なのは、先輩からの御褒美があるからで。
自分の事ながら単純だななんて達観しながらも赤いハチマキを結んだ。
先輩も確か赤組だったような。
敵同士の組みでもそれはそれで面白かったのだが、応援してもらう分には同じ組みの方が都合が良かったりもして。
「先輩、ちゃんと見てて下さいよ?」
僕が今日、本気で走るのは先輩だけの為なんですから。
そう意気込むのと同じくして、背後に気配を感じて振り返る。
と、そこには予想通りの反応をした枢がいた。
「あ……バレちゃったか」
「気づかないとでも思ったのかよ」
今にも後ろから飛びつこうとしていたのは、小学校からの腐れ縁の——如月枢。
容姿も良くて運動も出来るから女子から人気を集めてたりする奴だ。
「いやー、珍しくやる気みたいだから何でかなって?」
「枢には関係ないだろ」
「冷たいなー」
苦笑しつつ枢はそう言うけど、多分僕がやる気な理由に気づいてると思う。
何故なら、枢は唯一……僕が先輩を好きだって前から知ってるからだ。
「それより、枢も50メートルで走るんだろ」
「ん? まぁね。ってか殆どの競技に出ると思うよ」
予想はついたとはいえ、僕が一位を目指す上で最難関となるのは枢だと思う。
今回に限って組みも違うしな……。
「……」
「あ、言っとくけど手加減とかは出来ないからね?」
「分かってるよ、てか手抜いたら許さないから」
そう言いつつ、舌打ちしたくなる心境をどうにか押さえ込む。
こういう時ばかりは無駄に体力のある枢が恨めしく思えてくるな……。
「だよね、凛ならそう言うって思った」
僕の挑発に乗る事もなく笑ってみせる枢は余裕そのものに見えて。
余計に僕のやる気に火をつけた。
「今日は絶対負けないからな」
思わず出た言葉に枢も真剣な表情になって。
「望むところだよ」
と言った。
そのやり取りを最後に、体育祭は開幕して。
長いようであっという間な一日が始まったのだった。