コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- 馬鹿と日常青春1-1 ( No.1 )
- 日時: 2015/08/23 14:21
- 名前: 中の人 (ID: 6vxFia0Q)
「よお、湊」
「…あー…お母さんおはよ」
「誰がお母さんさんだ!目ぇ覚ませ、根暗ヲタ!」
全く、朝からうるさいなぁ…。
馬鹿と日常青春 〜第一話 日常的な〜
「ちょっと、朝から愚痴なんて酷くないですか、お母さん」
「…誰のせいで最近あだ名が増えたと思ってんだ…?」
「愛雅さんが面倒見がいいから悪いんですよー」
中学校付属毘春高等学校(長いから略して春高)。
僕はそこの生徒、2年生。
そんな僕を一言で言ったら根暗ヲタ…らしい、お母さん曰く。
「あのなぁ…。お前が餓鬼ん時からヘラヘラしてたらそうなるだろ、普通…」
そしてこの人がお母さん(本名は桜木愛雅)。
僕達の母さん同士が仲が良くて小さい頃から仲良くしている。
幼馴染みの1つ上の先輩。
一応敬語は使ってるつもりだけどそこまで堅苦しいつもりはないし、そのことについては何にも言わない。
更に小学校から今まで朝に弱い僕を毎朝学校に連れていってくれる優しい人だ。
そんなお母さんの唯一苦手な所はツッコミがうるさいこと。
今日もいつもみたいに迎に来てくれて通学路を歩いている。
男(しかも高校生)が2人で毎朝歩くのも暑苦しいから、その事を素直に言ってみたら殴られた。
『お前に恋路だけは心配されたくない!』だって。
ちなみに『愛雅さん、毎朝僕と歩いて彼女とかいないんですか?』って聞いた結果だ。
「愛雅さん失礼ですよ、まっとうに生きてます」
「嘘つくなよ!?」
「冗談です」
「冗談は真顔で言うものじゃないだろ!?」
さっきも言ったけど、お母さんはツッコミがうるさい。
正直、まっとうに生きてきた自信はない。
お母さんにヲタと言われてる通りヲタクだし(深夜電気もつけずにギャルゲーしてたら視力が悪くなった経験がある)、お母さんと家族以外にそれなりに話した記憶がない。
…でも、多分生まれつきだからしょうがないと思うんだけどなぁ…。
うん、しょうがない。
でも…
「でも、僕、お母さんより身長も高いし頭もいいです。あと運動もできる」
「そういうのは心の中で自慢しとけ、阿呆!」
「いたっ…」
殴られた。
「というより、お前のできるスポーツってバスケくらいしかないだろ」
「あ、運動は愛雅さんの方ができましたね」
「バスケは僕の方ができますけど」とボソッと言うとまた殴られた。
この人は殴ることが趣味なんだろうか。
「まぁ、勉強と身長は誰が見ても僕の方が上です」
若干ドヤ顔で言うと、また拳が飛んできたが学習したからかわす。
ふん、僕だって学習するもんね。
「なんだろうなぁ…別に俺も成績悪くはないのに湊といるとめちゃめちゃ悪いように思えるんだよな…」
「身長は抗えないですよ」
「うるせぇ」
「いだっ!」
脛を蹴られた。
次は急所を思い切り蹴られそうだからこれくらいにしとこ…。
「次は急所な」
やっぱり。
「そんなこと言いますけど、愛雅さんも有名じゃないですか。えーっと…放送部のイケメンボイ…「お前こそ生物部の中ではメガネって呼ばれてる癖にな」
「……」
「なんだよ、急に黙って」
「僕の精神メーターが0に近くなりました」
最近の僕の悩みをストレートにつつかれた。
僕は無理やり生物部に入れられたんだけど、部活の中ではメガネとしか呼ばれない。
あれ、僕ってそういうイメージしかない?成績優秀とかそうイメージじゃないの?
…己の友達の少なさを噛み締めた悲しい悲しい話だ。
「あぁ、お前メガネって言われんの嫌だもんな」
「別に好きでメガネってわけじゃないのに…」
「夜中までゲームしてる阿呆はどいつだよ」
僕です(確信)。
「ゲーマーだからしょうがない、うん」
「ギャルゲーしてる癖にゲーマーと一緒にすんな。ゲーマーが可哀想だ」
ただのゲーマーと一緒にされるギャルゲー好きのほうが可哀想だと思う人は沢山いると思う。
うん、きっとそうだよ。
「いい歳しながらよくギャルゲーとかやるよな…」
「いい歳しながらとか、愛雅さん、おっさん臭い」
「誰がおっさんだ、根暗ヲタメガネ」
「メガネは余計です。イケメンボイスの人」
「…さっきも思ったんだが、なんでお前がそれ知ってんだよ」
愛雅さんは学校では結構有名だったりする、声と名前だけ。
放送部って元々あまり顔の見せた部活じゃないから、名前と声だけ広まっても顔が広まることは少ない。
だから、愛雅さんに至っては、本名よりもイケメンボイスの人って感じで広まってる。
「女子が噂してました」
「女友達いないお前がなんで知ってんだよ」
「……」
「盗みか」
「声の大きい方が悪いんです」
僕は無罪だ。
というより、なんとなく耳に入っちゃうことってあるでしょ?
「お前もギャルゲーしてるときは声、デカいだろ」
「うるさいです」
「ギャルゲーのどこがいいんだよ?」
ギャルゲーなんてハーレム状態じゃん。
健全な男子なら憧れるものじゃないのかな。
「例えばー…よく少女漫画とかで街角でぶつかる出会いとかあるじゃないですか」
「あぁ、あるな」
「それで、ぶつかった女の子に"大丈夫?怪我はない?"とか言って」
「おう」
「そこから恋愛伏線がはじま…っと……」
偶然って怖いものだ。
角を曲がったらぶつかるのって漫画だけの世界じゃなかったんだ(週2くらいでぶつかる人)。
「あっ、すみません。怪我は大丈夫ですか?」
差し伸べられた手。
更にイケメンボイス。
「…ねぇ、僕今なら乙ゲーの主人公の気持ちわかるかもしんないよ、愛雅さん」
「勝手にわかっとけ。ほんと、このメガネが申し訳ないです」
愛雅さんが僕を無理やり立たせて引きずる。
ぶつかった男の子は「?」だったけど、そのまま行ってしまった。
……あれ。
「待ってよ、愛雅さん」
「なんだよ」
「うちの学校の生徒手帳落ちてる」
そこで生まれる疑問点。
なんで通学路を逆歩行してたんだろ。
なんで通学路を逆歩行してたんだろ(大切)。
「んー、一応拾っとくか」
「うん、先生に渡しに行きましょう」
ということで事は済んだけど、どこかで見た顔だなぁ…。
誰だか思い出そうとボーッとしてると後ろから頭を思いっきり叩かれて我に返った。
そして学校につくまでお母さんになんでそんなに人にぶつかるんだって怒られた。
…別に好きでぶつかってるわけじゃないのになぁ…。