コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

根暗本屋店員 1-5 ( No.15 )
日時: 2015/08/24 08:43
名前: 中の人 (ID: 6vxFia0Q)

根暗本屋店員 〜第五話 下心〜

「はぁっ…はぁっ…」

もうどのくらい走ったかわからないくらい走った気がするのに、まだ本屋にも到達してないってことは半分も行ってなさそう。
雨が体温を全部奪っていったかのように体が寒い。
今日の天気、晴れって言ってたのに…。
目覚ましテ●ビの嘘つき…(駄作者はZ●P派)。
確かに台風接近とは言ってたけど、まさか…。
自分の悪運に泣きそう。

「あっ…」

視界が悪かったのか通行人とぶつかってしまう。
雨に打たれながらも立ち上がり「すみません」と謝ろうとした時、体が浮く感覚があった。
同時に被せられるスーツの上着。

「え…?」
「掴まっててね」

スーツの上着を被せられて顔は見えなかったけど、誰かはわかった。
「僕の家、近いから」と言われ、為すすべもなく姫抱きされながら連れていかれる。
さっきまで冷えてた体が嘘みたい。
知人に知られるのは流石に嫌だったからスーツの上着で顔を隠した。
今、絶対真っ赤…。


「うわぁ…雨降ってきた…」

今日は早めに仕事を切り上げた。
というより切り上げさせられた。
確か台風が近づいてきているんだったっけ…。

「台風、かぁ…。お家、飛ばないかな」

そんな呑気なことを考えてたら通行人とぶつかった。
学生の時からだったけど、まだぶつかり癖直ってなかったかぁ…。
「すみません」と相手が立ち上がる前に手を差し延べようと思っていた時、見たことのある容姿に目を見開いた。
そして自分でも気づかないうちにお姫様だっこして彼女を持ち上げていた。

「え…?」

下から驚くような声が聞こえたけど、今はそれどころじゃなかった。
僕はただ「掴まっててね」と言って、自宅に足を早めた。
彼女の体は冷えきっていて、抱きしめてあげたかったけど、場所も場所だしなんにせよ雨だ。

付き合ってもいないのにお姫様だっことはダメだったかな…?と下心の働いたまんま家までついた。

「お風呂入っておいで。流石に下着は準備できないけど、服なら僕のを貸すよ」

「下着は乾燥機がお風呂場にあるから使って」と言って、玄関を開けてすぐにお風呂場に連れていった。

「ちゃんと温まって」
「は、い…」

ずぶ濡れの彼女を少しだけ抱きしめてお風呂に促した。
我ながら大胆だったな…と少し後悔したのは彼女の服を持っていこうとお風呂場に行ったら視界に彼女の下着が入ってしまってから。