コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- ひとつまみの甘さと0.5ビター 1-1 ( No.27 )
- 日時: 2015/08/24 16:29
- 名前: 中の人 (ID: 6vxFia0Q)
恋ってなにがあるかわからないから楽しいの。
ひとつまみの甘さと0.5ビター
〜第一話 素直とツンデレの境目〜
「城宮さん、おはようございます」
「あっ、お、おはようございます」
恋愛ゲームのシナリオばっかり書いていた私がアニメのシナリオを書くのは今回で初めて。
と言っても元々、自分がシナリオを務めた恋愛ゲームがアニメになる…それだけなんだけどね。
その打ち合わせとして今日はサン●イズさんに呼ばれている。
アニメ監督と会って、お話の説明とか軽いプロット決めをして、希望声優までとって終わり。
監督…って言ったらなんだか緊張する…。
テレビで見る監督さんは強面で40歳から50歳くらいのイメージがあるから…大丈夫かなぁ…。
そんなドキドキしたまんまで渡された地図を元に打ち合わせ部屋を探す。
102…103…104…
「105…ここかな…」
再度部屋番号を確認する。
うん、間違いない、105の部屋だ。
控えめにノックをして「失礼します」と言いながら入る。
すると私が顔を上げる前に明るい声が聞こえた。
「あっ、城宮さんかな?」
苗字を呼ばれて顔を上げる。
高すぎない身長にすらっとした手足。
ちょっとはね気味の髪の毛は監督さんの声を表してるみたいだった。
「えーっとね…」
カバンをなにやら漁って探し物を見つける。
そしてその探し物…名刺を私に差し出しながら
「今回、城宮さんが担当した恋愛ゲームをアニメにするってことで…。監督の鶴橋です」
「よろしくお願いします」と言って笑う。
突然のことで緊張もあって追いつけなかったけど、なんとか自分も名刺を差し出す。
監督さんは私の名刺を眺めた後、「じゃあ、雪さん、打ち合わせに入ろうか」と。
それにはほんとびっくりした。
まさかすぐに名前を呼ばれるなんて…。
「あっ、もしかして名前呼びは厚かましかった?」
「い、いえ!大丈夫で…す…」
「それならよかった」
その後、向かい合わせになるように座って打ち合わせをしたけど、正直、あまり頭に入った自信がなかった。
多分…多分だけど。
監督さんに目がいってたから。
「それで打ち合わせはこれだけなんだけど、希望声優はいるかな?」
「よ、よかったら御神楽 杏羽さんをヒロインにして欲しいです…」
「あぁ、杏羽さん!取り合ってみるね」
ーーーー御神楽 杏羽。
実は私の知り合いで、かなり人気な女性声優さん。
前、
『雪ちゃんのシナリオがアニメになる時は私を呼んでね!』って言われたこともある。
ちなみにまだアニメになることは言ってないから…。
へへっ、多分、驚くぞ…。
「他にはいるかな?」
「いえ、あんまり声優さん知らないので…」
「そっか。なら、俺が決めておくね」
そして打ち合わせと希望声優もとって、約2時間くらいの話は終わった。
終わったあと、心臓がいつもより早く波打っていたような気がするけど…気のせいだよね?
更に監督さんが意外とフレンドリーで優しげだっただけで嬉しい気分になれた。
アニメが始まって終わるまでの付き合い…かぁ。
そう思っちゃうと悲しいような…。
浮かれたようなよくわからないまんま一日は終わった。
明日からシナリオの仕事が増えることが楽しみだったし、なんといっても、杏羽ちゃんの反応が気になるばかりだった。
メールが2件届いていたのは次の日の早朝に気付いた。