コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- 馬鹿と日常青春2-1 ( No.4 )
- 日時: 2015/08/23 14:20
- 名前: 中の人 (ID: 6vxFia0Q)
「ふわぁぁ…」
あのあと叱られながらも学校についた僕は生徒手帳を託された。
愛雅さんは放送だって。
〜第二話 宿題はしなくてもいいと〜
「うーん…今日も眠い…」
原因?
そんなの1つだけしかないよ。
僕が昨日、夜の3時までゲームしてて今日は5時に起きたから。
と言ってもほぼの確率でそうなんだけどね。
ここから職員室はほんっと遠い。
なぜなら春高は敷地が広いから。
私立高校だから山を買い取って学校にしたらしい。
入学してから今まで学校に通っててもたまに迷子になるんだよなぁ…。
ふと生徒手帳を見てみる。
名前はー…"あまおと かなで"…?
あっ、"あまね"かな…。
『中学校付属毘春高等学校のみなさん、おはようございます』
急なヒーリングに耳を塞ぐ。
この声は愛雅さん…の放送用ボイスだ。
『今日もかっこいいねー』
『ねー。放送っていったらやっぱこの人よねー』
『見た目の王子様は奏君なら、この人は放送の王子様じゃない?』
『やだぁ、奏君は性格も素敵だしー』
愛雅さんはそんな王子様じゃないですよーと心でつっこむ。
…僕よりは断然王子様っぽいけど。
「よお、湊」
「あ、お父さんおはよ」
不意に肩を叩かれて振り返るとお父さんこと鶴橋 蓮斗。
生物部の2年生で、僕よりも根暗なんだ(嘘)。
「なに、今からどっか行くの?」
「うん、職員室に」
「何しに?また宿題でも忘れたわけ?」
…なんか毎回忘れてるように言わないでくれるかな。
まぁ、確かに忘れることはあるけど(特に公民)。
なんだか最近は平均すると週一で忘れてる気がするけど(特に公民)。
とある教科だけ忘れてる気がするけど(絶対公民)。
「…お父さん、嫌いなモノって人それぞれなんだよ」
公民なんて大嫌いだ。
「お、おう…?じゃあ、何しに?」
「それがね…」
今朝、街角で乙ゲーのヒーローみたいな人とぶつかったこと。
その人が生徒手帳を落としていったこと。
それを今から届ける僕は偉いことをお父さんに分かり易いように話した。
お父さんは僕よりかなり馬鹿だからね。
「湊がふらふらしてんのが恐らく原因だけどな」
解せぬ。
「そんで、誰の生徒手帳?」
苗字が"あまおと"だか"あまね"だか不安だったからそのまま生徒手帳を蓮斗君に渡す。
蓮斗君は生徒手帳をまじまじと見たあと、僕達の通ってきた廊下を見渡して「さっき、通った」
「さっき通………った?」
バッと後ろを振り返っても特に誰もいない。
おかしいな…。
金髪なら流石の僕も気づくと思うんだけどなぁ…。
「お前…まさか気づかなかったのか?」
「流石に金髪は気づくよ。蓮斗君の見間違いじゃない?」
「流石に学園の王子は見間違わないからな!?」
「ほら、はよ行け」と言われながら元来た方向に背中を押される。
え、もしかして走らないといけないの…?
生物部の僕に走れっていうの…?
「…お父さん、パス」
「何がパスだよ、メガネ。日頃運動してないからだろ、自業自得」
1日に何度メガネって言われるんだろう。
朝から愛雅さんにメガネって言われて傷ついたのに、まさか蓮斗君にも言われるとは…。
「今日の1日、僕のことメガネって言った恨みは忘れないからね!」
「1日だけかよ!もういいから、はよ行け!」
再度背中を押され、やっと走り出す僕。
…会話上、遅いとか思ってるでしょ?
意外に速いからね?(50mが7.2)
相手は歩いてるとして僕が本気で走ればすぐ追いつく。
ただ…
「あっ、すみません」
すれ違う人とぶつからなければ。
ぶつかる人ぶつかる人、謝っていけば時間はかなりロスするけど、やっぱり謝らないと嫌だから…ね。
そうやって何度もぶつかり謝り、途中、放送部の朝の仕事を終えたのか、愛雅さんともぶつかったけど、そこはスルーしてきた。
…後が怖いけど。
「…!」
階段を降りると丁度金髪の人が角を曲がるのが見えた。
あの人かな。
階段を跳んで声を出す。
「あっ、あの!そこの金髪の…あ、"あまおと かなで"さん!」
金髪の人は気づいたらしく僕の方を振り向いてくれた。
なんていい人なんだろうか。
息切れしながら喋るのは失礼かもだけど、生徒手帳を取り出して「登校の時、おとしましたよ」と差し出す。
金髪の人はあぁ!といった表情をして、「ありがとうございます」と丁寧にお辞儀をしてくれた。
「あと、名前は"あまね"ですけどね」
と困ったように付け足して。
それまではよかった。
それまではよかったのに
「えっ、ちょっと、大丈夫ですか!?」
運動不足と睡眠不足が重なって倒れるなんて予定してなかったから。
うわぁ…僕、馬鹿だなぁ…。
なんであんな遅くまでギャルゲーしてたんだろ。
でもヒロイン達が可愛いから仕方ないよね…。
「湊!?」
何故か聞こえたお母さんの声を聞いて僕は深い眠りについた…。