コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- ひとつまみの甘さと0.5ビター 1-4 ( No.40 )
- 日時: 2015/08/26 23:14
- 名前: 中の人 (ID: bobjbGZP)
「ぅん…」
目を開けると、見えるのは天井だった。
そして
「えっ…えぇぇぇぇ!?」
私の上に寝ている監督さんがいた。
ひとつまみの甘さと0.5ビター
〜第四話 緊張するのは仕方ない〜
うそうそうそうそ。
なんで監督さんが…!?
「ん…」
私があたふたしているうちに目を覚ましてしまった監督さん。
「……」
目が合って2秒くらいフリーズ。
ものすごく長く感じられた。
そして監督さんと私はほぼ同時にベッドから飛び退く。
私は普通に飛びのけたからよかったものの、監督さんはよほど慌てたのか隣のベッドに頭を打っていた。
「いっつー…」
顔を顰め、本気で痛かったらしい。
だけど監督さんが私の上で寝ていたという事実から100%顔が赤くなっているため、顔を伏せ、どうすることも出来なかった。
申し訳ないような、恥ずかしいような、そんな気持ちでいっぱいだ。
「ベッドとの間隔、狭すぎだろ…」
その監督さんの呟きがおかしくてつい笑ってしまった。
監督さんは「えっ!?」みたいな表情だったけど、まさかベッドに頭打って冷やすよりも先にあんなことを呟くだなんて。
ちょっと可愛い。
「なんか俺、変な事言った!?」
「いえ、特に」
失礼だと思っているのに次から笑いがこみ上げてきてしまう。
これが監督さんの素なのかな…。
しっかりとして、仕事もこなして、フレンドリーそうで…そんなイメージしかなかったけど、こう見ると意外とやんちゃそう。
「あー、もう、俺だっせぇ…」
そんなことも呟いていたが、多分、私が頭をぶつけていたら恥ずかしさで死んでいたかもしれない。
流石に私もなんにもしないわけにはいかないから笑いが収まってきた頃に部屋を物色して保冷剤を見つけた。
にしても、なんだか高校の保健室みたい。
「どうぞ、ちょっと物色しちゃいました」
へらっと笑って保冷剤をハンカチに包んだものを渡す。
監督さんはこちらを見向きもせず受け取る。
やっぱり笑ったのがいけなかったかな…。
さらに機嫌を損ねたら今後がやりにくくなり為、一言かけて、部屋から出ていこうとした時
「待って」
腕をひっぱられる。
何度目のフリーズかわからないけど、視線がぶつかる。
多分、今、真っ赤だ…。
「……ごめん、戻ろうか」
「え…っ」
腕から温もりが消えたと思えば、もう監督さんはドアの前にいた。
ボーッとしすぎてたみたい。
…違うかな。
なんだか期待したのに呆気なくてショックだったのかも。
…あれ。
期待…?
私ってなにに期待してたんだっけ…。
「先行っとくね」
監督さんの言葉をきっかけに私も追いかけることにした。
「期待…期待…?期待…かぁ…」
一体、私ってなにに期待してたんだろう。