コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

貴方に添い寝屋売ります 1-1 ( No.54 )
日時: 2015/11/14 22:46
名前: 中の人 (ID: N2./lBnZ)

「......」

作家は忙しい。
そして眠れない。

貴方に添い寝屋売ります 第一話
〜作家だから仕方ない〜

「音架ぁぁ...眠れないぃぃ...」
『なにアンタ、そんだけでこの時間帯に電話してきたわけ?』

深夜2時。
基本的、人はぐっすり寝ている丑三つ時だ。
でも私は相変わらず起きていた...違う。
起きてないといけなかった。

「原稿終わらないよぉぉ...」
『私に言うな』

作家として本を書いている私には当然締切がある。
その締切は1週間後。
意外と日にちがあるかも知れないように思えても私はまだ原稿の3分の1くらいしか書いてない。
つまり絶体絶命。

『っていうか、アンタ。もう2日くらい寝てないんでしょ?』

その通り。
締切に追われて、2日も寝ていない。
寝ようとして布団に入ってもどうも原稿が気になって結局眠れないのだ。

『はぁ...馬鹿なの...?』
「音架よりは馬鹿じゃないけど」
『......折角添い寝屋をよこそうと思ったけど気が変わったわ』
「添い寝屋...?」

添い寝と言ったらリア充が布団の中でイチャラブするやつじゃないか。
それで●●●とかに発展するやつじゃないか。

『そう。私最近、イケメン集めて添い寝屋始めたのよ』
「何ソレ!聞いてない!」
『だって言ってないもん』

親友に隠し事とは何故か。

『で、どうするの?』
「お...襲われたりしない...?」
『襲わないわよ、ブス!』

正面から言われたら脛を蹴っているところだ。
にしても添い寝屋、かぁ...。
最近寝てないからなぁ...寝れるかな。
でも体調崩して原稿仕上がらないのも嫌だし...。
書き上げたら最愛の印税が待ってるし...。

「...よし、乗った」
『じゃ、今から向かわせるわ』
「今からぁ!?」

部屋、キタナイ。
お菓子の袋やらネタ用紙やら脱ぎっぱなしの服やら沢山転がってる。
こんな部屋、潔癖症が来たら倒れるよ、究極の片付け下手の音架しか呼べないよ。

『10分したらそっちに着くと思う、じゃ』
「あっ、ちょ、まっ...」

無情にも切れてしまう電話。
10分...。
10分しかない...!

部屋を見渡して息を呑む。
一人で住むなら割と広い部屋だと思うけど、かなり物が散らかっている。
片付けなければいけない...こんな汚い部屋...。

「やるか!!」

スマホを置いて立ち上がった時、隣から五月蝿いと壁を叩かれた。
ごめんよ、隣のオバサン。
でもマンションなんだから勘弁して...。
そして私が完璧に深夜テンションだから...。