コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- 根暗本屋店員 1-1 ( No.6 )
- 日時: 2015/08/23 14:29
- 名前: 中の人 (ID: 6vxFia0Q)
「あっ、えっと…」
「いらっしゃいませ」私の方を3度見くらいしてから。
目つきの悪くて180cmでメガネな店員は今日も元気そうです。
根暗本屋店員 〜第一話 もやし店員〜
見た目は悪くない。
目は大きすぎないし、黒縁の四角いメガネは似合ってるし、身長180前後。
ワイシャツに黒のパンツ、本屋らしいエプロンは可愛い。
ただ
「あの、すみません」
「……」
「あ!の!」
「は、はい…」
めちゃめちゃ気が弱い上にもやしみたいな性格をしてる。
「この本、探してるんですけど」
唯一、彼の大嫌いなところ。
それを省けば普通にイケメンだし、意外と好みだったりする。
「うーんと…ちょっと待ってね」
カウンターの席をガタンと音を立てながら立つと、パソコンのあるところまでいく。
そのままついていくと、ものすごい早さでパソコンのキーボードを打っていく。
このもやし店員……毬楽 湊さんは高専の情報科を卒業したらしい。
そんなに頭良くて情報関係が得意ならそっちの仕事につけばよかったのに…、毎回そう思う。
「…さん、佐治さん…?」
いつの間にか本を見つけてきていたらしい。
毬楽さんの手には本が握られていた。
「これであってるかな…?」
差し出す本の題名は『スキの伝え方』。
ありがとうございます、と言ってできるだけの笑顔で受け取る。
笑顔は苦手だけど。
「佐治さんって笑うんだ…」
「失礼ですよ」
「いやいや、笑ってた方が似合うよってこと」
くすっと笑いかけてくる。
畜生…誰のせいこんな本を買うと思ってんだよ。
「ほんと、馬鹿」
「うん?」
「なんでもないです」
会計を済ませて本屋の外に出る。
改めて見ると小さな本屋だ。
でも以外とマニアックな本もあって家から近いから助かっている。
…本屋に行くのはそれだけの理由じゃないけど。
本屋に背を向けて家に帰ろうとしたとき
「佐治さん…!」
本屋から顔を覗かせるも毬楽さん。
なんだなんだ。
「また来てね…?」
なんで疑問系なの…?
はにかんでいる毬楽さんにべーっと舌を出して、今度こそ本屋に背を向けて歩き出す。
「バカバカ…バーカ…」
真っ赤になってたなんて多分勘違い。