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貴方に添い寝屋売ります 1-4 ( No.68 )
日時: 2016/04/21 08:32
名前: 中の人 (ID: Jhl2FH6g)

「いっつもどこで寝てるの」
「ここです!」
「は?」
「パソコンの前に座って原稿書いてたら寝落ちしてる日々です!」

ほぼ彼にひれ伏す感じでそう言う。
一方、悠々と私の家にあるマッサージチェア(割と値段が高かったやつ)に座ってる彼。
ぶん殴りたい。

貴方に添い寝屋売ります
〜第4話 駆け引き〜

「なんか今失礼なこと言った?」
「なんも言ってません!」

エスパーなの?
高校時代にもエスパーらしき女の子がいたけど、やっぱりエスパーっているの?
ってか、エスパーってなに!ポケモンにいたなって知識しかないんだけど、エスパーってなに!

浮原ペディア
→エスパーとは超能力者のこと。

...ポケモンってもしかしてみんなエスパーなのか...?

「ポケモンと倉篠さんはエスパーなんで...って、なにその目!」

まるでゴミを見るような目だ!
あっ、今、ちょっと笑わなかった!?鼻で笑わなかった!?

「うっさい、アンタ」
「深夜テンションです!」
「散れ」
「嫌です!」

今更だけど、私と彼じゃ私が1つばかしお姉さん...オバサンって言ったの誰?
なのにこの彼へのひれ伏し具合は自分でも思う。
私はGODだ。

うんうんと1人で頷いていたら気持ち悪いと言われる。
仕方ないじゃない、作家は妄想が豊かで...こう幅広い視点を持ってるんだから(但し、皆が皆とは限らない)。

「あ、」
「な、なんですか...」

コイツ末期かとも言いたいのか蔑むような目で私を見ていた倉篠さんが急に口を開く。

「僕のこと愛斗って呼んで」
「え...?」

予定外の言葉にフリーズしてしまう。

「だから愛斗って呼んでっつってんの」

何、そのアホ面...と言葉では言ってくるもそっぽを向いて少し照れてるよう...あ、れ。
なに、急に、照れ隠し?

「愛斗ってツンデレ...?」
「うっさいなぁ...」
「可愛いの?」
「うっざい、黙って」

正直、こんなに相手が怯んでるのは面白い。
面白いどころじゃない。

私をいじった恨みをはらってやる...!

「あっれぇ、愛斗って意外とピュアなのかなぁ?」
「潰すぞ」
「そんな表情で言われても説得力ないけどね?」

頬を染めながらなんて私がショタコンなら襲われてるぞ。

「いやぁ、はぁ...愛斗可愛いなぁ」

相変わらず睨みつけられてる私だけどそれどころじゃない。
可愛いし、あざとい。
最初もあざといと思ってたのに素もあざといのか...。
っていうか人格多すぎない...?

「アンタも可愛いけどね」
「は?」
「2重だし肌も綺麗で白いし」
「ちょーっとぉ!?待て待て!?」

なぜ私が褒められてるんだ!?
今は私がいじ...褒める番だったんだけど!

徐々に近づいてくる彼に精一杯の警戒を払いながら「可愛い愛斗ちゃん!」と連呼する。
口元だけ笑って目は笑っていない彼には恐怖しか感じなくなって冷や汗が吹き出る。

「僕と駆け引きしようよ」
「え...?」

駆け引き?

「僕、ここに一週間住むから」
「どうして!?やだよ!?」
「家事は全部僕がやる」

「洗濯物も買出しも掃除も全部」と付け加える。
うん、それは嬉しいけど住むな。
狭いから。

「一週間経って僕を追い出さなかったら付き合おう」
「待って!私には君がなになのかわからない!それとも頭のネジが外れてるの!?私と同じ!?」
「アンタとは似ても似つかない」

冷めた目で見られる。
悪かったですねぇ、私はどうせ馬鹿ですよ、はいはい。
それよりなんなの?
付き合う...って、こんなギャグ女と?
中学校の頃、密かに想いを寄せていた先輩に"瑞穂ちゃんって存在がギャグだよねー"って言われた私と?

「気に入ったから、さ」

そう言って「トイレ借りる」と消えていく愛斗。
当然真っ赤になった私に彼が

「トイレどこ!?」

と聞きに来たのは言うまでもない。
ごめんよ、ダンボールでトイレが隠れてて...。