コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

根暗本屋店員 1-2 ( No.7 )
日時: 2015/08/23 14:32
名前: 中の人 (ID: 6vxFia0Q)

「うーむ…」
「どうしたんだよ、湊」
「ちょっと、痛いですよ」

お母さんこと桜木 愛雅さんにバシバシと叩かれる。
じとーっと愛雅さんを見るとまた叩かれる。
ちょっと、叩きすぎじゃないですか…?

根暗本屋店員 〜第二話 好きですよ〜

「お前が悩むって珍しいな」
「年中悩んでます」
「ギャルゲーしながらな、いい歳しながら23歳」
「おっさんですか、24歳」

高校生、いや中学3年の時から始めたギャルゲーは23歳になってもやめられることはなかった(当時は受験勉強の合間にやっていた)。
たまに愛雅さんもやってた癖に。
そんな愛雅さんは僕が23になっても相変わらずこうやって隣にいる(仕事はイケメンボイスを生かしてラジオキャスターとテレビキャスターをしている)。

「ギャルゲーじゃなかったら何で悩んでるんだよ」

本屋にほぼ毎週来てくれる高校生の女の子がいること。
若干嫌われてるように思われること。
でも気がついたらその女の子を待ってる自分がいること。
僕が感じてることを精一杯話したつもりだ。

「あー…それはなー…「なに、湊、恋愛?」!?」

「あっ、愛雅先輩、ご無沙汰さんでーす」と僕の隣に座りながら。
え、蓮斗君、なんでいるの…?

「おぉ、蓮斗か」

いや、なに普通に対応してるんでしょうか…?
普通に考えたら不法侵入じゃん。
僕の気が狭かったら通報しちゃうよ?しちゃうよ?

「んー、湊が恋愛とはなぁ…」

頷きながら頭がいいように考え込む蓮斗君。
いくら外見は頭が良さげでも中身は可哀想だもんね(仕事は頭をあまり使わなそうな運搬会社)。
にしても玄関の鍵開けっ放しだったかな…?
戸締りには用心しておこう。

「でも相手は高校生なんだろ?」
「湊、年下すぎるの無理なの?」

そう言われて思いつくのは今日、彼女が希にしか見せない笑顔。
可愛かったな…。

「……アリ…かな」

「うわ、湊真っ赤だぞ」「今頃青春かよー」と野次馬が飛んでるのを耳に通してからはっとする。
嘘、僕、今なんて言ったっけ。
自分でも火照るのを確認して両手で慌てて顔を隠す。
重症だ…。

「うんで、好きなわけ?」

ニヤニヤしながら蓮斗が言う。
そのとなりでニヤニヤしてるもう一人も確認する。
くそ…若干Sコンビめ…。

「…きですよ…」
「ん?」
「好きですよ、優希ちゃんが!」

認めたらもう終わりだと思っていたから好きだなんて口に出したことはなかったけど。
少しツーンとしていて…というかだいぶツーンとしていて。
笑顔が可愛くて。
読書が好きで。
ちょっとドジな佐治…優希ちゃんがどうしようもなく好きだったりするんだ。

「青春だなぁ…」
「頑張れよ、湊」

リア充二人に応援されても複雑だけどとりあえず頷く。
いい幼馴染みと友達が僕にはいるのには変わりはないけど。