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貴方に添い寝屋売ります 1-6 ( No.73 )
日時: 2016/06/27 20:52
名前: 中の人 (ID: 9i/i21IK)

「いただきます!」
「...どーぞ」

改めて自分の家がどれだけ汚いかを確認して、 一応ある机に朝食を並べて座った。
正直、見た目と云い、この料理上手さと云い、女子として生きていくほうがいいんじゃないの?
生まれてくる性別間違えたのかな...?

「...口塞ぐぞ」
「やだ、倉篠さんのえっち」
「......」

待って待って。
今、箸が軋む音が聞こえたよ?聞き間違いじゃなかったよ?
それに今、君が使ってるのプラスチックのやつだよ?

「全部口から漏れてるんだけど」
「えっ、うっそ」
「ほんと」

味噌汁をかき混ぜながら言われる。
私って独り言多いんだなぁ...。

会話はそれきりで途切れた。
久々に誰かがいる朝食なのにな、なんて。
まぁ、独身でコミュ障でろくに人と関わらなかったのは私なんだけどね。

ただただ箸と茶碗が擦れる音が、かろうじて2LDKの部屋で鳴る。
ふと相手を見れば箸を止めて何処かを眺めてるような考えているような。
...昨日もまじまじ見た気がするけど、こうして見ると普通に美形だし、彼女とか居るんだろうな。
や、でも、彼女居れば添い寝屋とかやらないかな。

「...何見てんの」

気づかれた。

「時計見てるだけなんだけど?何、アンタのこと見てるとでも思ったの?自意識過剰?」
「...この部屋に時計とか見当たらないんだけど」

選択肢を間違ったらしい。
って、昨日もこんな事あったような...。
愛しのルンバよ...。

「今日、僕、荷物取りに家に帰るからさ」
「そのまま帰ってくんな」
「あ?」
「すみませんでした、私、なんかすることある?」

謝ればどうにかなる。
意外とちょろいからどうにかなる。

「んー、いや、特には」

ほらね!!
さっすが、昨日会ったばかりなのに分かっちゃう私、天才。
めっちゃ観察してない?凄くない?
いや、別にジロジロ見てるとかそんなのじゃないし、ただの癖なんだけどね?

「ってか、原稿しないといけないんでしょ」

あっ

「現実見せるな、くそが!!」
「なんで僕が怒られんの!?」
「原稿やりたくないよぉぉぉぉぉぉぉ」

食事中ということを忘れて、その辺をゴロゴロする。
正直に言おう。
本当にやりたくない。
もうなんだコイツって目を向けられるのは慣れたよ。
慣れたんだからね、倉篠さん!!!

「...そんな適当で怒られねぇの?」

いつの間にか食べ終わっていたのかご馳走様と言って立ち上がる彼。
こちらも正直に言おう。

「怒られたことなんて一度もない」

なんて言ったって、編集社自体が適当だからね!
適当な癖して失敗とか稀にしかしない、よくわからない所なんだけどね!

「大丈夫なの?」
「全然大丈夫、寧ろ有難い」

ちょっと遅れてご馳走様をすると、きちんとお粗末様って返してくれた。
根はいい人なのかなぁ...。

「だからだらしないんだね、理解した」

もう彼を褒めるのは辞めよう。