コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- ひとつまみの甘さと0.5ビター 番外 ( No.74 )
- 日時: 2016/09/04 18:02
- 名前: 中の人 (ID: gfIXAr2y)
「...1年だね」
「1年経っちゃいましたね」
「未だに完結しないね...」
「どうしましょう...」
ひとつまみの甘さと0.5ビター 番外
今年はちょっとどころじゃない。
異常な暑さを醸し出している。
「暑いですね」
「暑いなー...」
雪さんと2人、アニメ第1話収録の為に集まった。
雪さんは特にする事はないんだけど、本人希望で現場の見学。
勿論俺はアフレコ現場に居ないといけない。
俺にとっては毎回のアフレコ現場だったし、迷うことはないんだけど、雪さんは初めてだったし、1度集合してから行くことになった。
運転手は俺。
格好いい所を...なんて言いたいけど、運転に自信があるわけじゃないし、あって車がちょっと高めだって事くらい。
そんなんだから安全運転極めて行ったほうが楽。
「雪さん、初めてのアフレコ現場かぁ」
「杏羽ちゃんから現場のとこは良く聞いていたんですけど、凄く楽しみです」
へらりと柔らかい笑みを向けられる。
ここがクーラーの効いた部屋の中ならきゅん、と来てたと思うけど何にせよ炎天下の中。
いつも打ち合わせをしている会社と駐車場が遠いったらなんの。
そっか、と乾いた笑いを零してひたすらに歩く。
遠いとは言ったけど、徒歩で3,4分の所...なのに異様に遠く思える。
夏が暑いって事は冬は寒すぎるってことだ、たまったもんじゃない。
異常気象に内心イライラしながらも表面には出さずにいた。
隣で雪さんが額にタオルを添えながら歩いてるのを見ると、なんかそんな気分になれない。
「...雪さんは悪ノリとか得意?」
「悪ノリ...ですか?」
「うん、ちょっと声優達がね」
乙女ゲームを題材とした話。
...となると勿論キャストらは男性が多くなる。
ってか、最近のアニメ、男性の方が多いから当たり前のようなものだけど。
そんな男性声優は脳内真っピンクっていうか、なんていうか。
下ネタ吐いたり女性陣にちょっかいかけたり。
そんな人達が多い。
俺が止めようと思えば止められるんだけど、年齢も年齢で声優達の方が上な事が多いし、気づけば俺も巻き込まれてる事が多い。
その雰囲気が嫌ならキャストルームには入れない、挨拶さえさせない。
だってさ、ちょっとやそっと話しただけで下ネタ言ってくるんだよ?
俺、やだよ?
「うーん...多分大丈夫...かな?」
大丈夫は大丈夫で困るんだけど、愛想のいい雪さんだし上手く交わしてくれるかな。
俺も一緒に挨拶はしに行こう。
そんな話をしていればやっと駐車場についた。
そのまま車に乗ってエンジンをかける。
「じゃ、出発するよ」
「はーい」
俺の仕事はこれからだ。
格好いい所見せないと、なんて。