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Re: 愛と優しさと罪悪感と。 ( No.2 )
日時: 2015/08/24 21:08
名前: *水沢麻莉衣* (ID: UcGDDbHP)

真夏の海はとても輝いている。
君と海はとても絵になる。
夏風が涼しくルリの髪をなびかせる。

目の前に君がいる。

「ねぇ!みりやたん!これ!
れーとすき!?可愛いでしょ!?」

昨日、買いに行ったんだから!
ひらひらの白とピンクのビキニ。
ルリ、頑張って君の好みに答えてるつもりだけどな。

みりやたんは真顔でビキニをガン見している。
……こんな日にまで……ダークスーツ?

「……1点。あの子の好きな要素ゼロだわ。
あの子はね、どっちかって言うと清楚な方よ」

「うっそ。真逆……?」

「そうね。単刀直入に言えば、最悪なものを選んだわ」

「高かったのに……」

でしょうね、というみりやたんの冷たすぎる声が。
みりやたんは夏らしいものを飲んでいる。
あ、ルリもなんか買ってこようか……。

「ルリちゃん。ご愁傷様ね」

「……うん……」

「あらあらぁ。ルリちゃんだわぁ。あらぁ?
可愛いわねぇ。葵ちゃんそーゆーの好きだわぁ」

「うん……ありがと、葵……」

「いえいえー」

……葵に褒められても!
れーとに褒めてもらいたかったんだよ……っ!

てか、葵、いつからいたの?
気づかなかったよ……。

「あれ、ルリ、大分ふりっふりだね」

後ろから声が聞こえた。
聞きたくない人の声が。

おまえ、なんでこういう時にルリに話しかけるんだ。
なんか上に着て隠そうと思ってたところなのに。

「へんですよね!」

もう開き直ってやるわ!
んのやろー!

君に……振り向いて欲しかっただけなのに。
なんでこうなるの……?
君は遠すぎるよ……。

「別に?ルリには似合ってると思うけど」

「ほぇ……っ?正気?れーと」

「は?正気だけど……」

喜んでくれた……?
似合ってるって言ってくれた……。
ああ。
良かった良かった。
君のために選んだんだから。
そう言ってくれることを望んだのだから。

君が愛おしいよ……。
この気持ちは……なんだか。
嬉しいのに、重くて……ずっしりしてる。

「あっ、そーいえばぁ。葵ぃ、かぐやちゃん呼んだのよぉ。玲斗がいるんだからぁ。女の子と玲斗が二人なんてぇ心配だろうしぃ。」

「は?」
とみりやたんが。

「わぉ……え?」
とれーとが。

「誰?」
とわたしが。

待って。
ほんとうに……誰?
かぐやちゃん……かぐや……ちゃん。
てことは。
「女」という性別ということ。
その位は理解できる。
ルリとれーとが二人なんて……心配になる存在の人。
つまりは。
君のーーーーー。

「彼女!?」

「あー、隠すつもりはなかったんだけど」

どういうことなの!?
いないって……っ!
嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘!!!!
君に彼女なんてそんなの……幻影だ。

「私には隠す気があったわ」

「みりやたん!?」

「だって。あの子に彼女いるなんて聞いたらルリちゃん自身なくすじゃないの」

それはいい気遣いでございました。
シャーロットさま。
ですが。
それを知ってしまった時の気持ちはなんとも言えない。
言葉にならない。

あれ……?
れーとにどんな顔すれば……いいんだっけ……?
迷ってしまうよ。
君にルリの想いを込めて見てもいいの?
駄目でしょ?
そんなの……彼女さんへの罪悪感が……してしまうから。

「……あら?お取り込み中ですか?」

「あらぁ。かぐやちゃん!」

わぁ……。
黒髪のセミロング。
純白のワンピース……。
可愛い……子じゃないか。

前に君の隣にいる子のことを考えたことがあった。
そのものだ。
ルリより可愛いくて……。
清楚で……。

なんだぁ。
バカみたいじゃん。
何一つこの子に勝てる物を持ってない。
かなうはずない。

「花宮かぐやです」

「かぐや……、大丈夫だったの?」

「はい。1人でここまで……来れるよ?」

心配そうなれーとの目。
ルリにはそんなこと言わない。
そんな目、みたことないよ……。

「葵さんに呼んでいただいたの。
玲斗……貴方、海入るのでしょう?」

「まぁ、すこしはね。かぐやは?」

「私も少しくらいなら良いかなぁって……。
一緒に思い出作りたいじゃなぁい?」

「そうだね」

優しく笑ってる。
これはスを出してる目じゃん。
なんだこれ。もうーーー。

見てわかっちゃうじゃん。
君の特別は……この子なんだって。